190 / 261
高等部2年生
それぞれの思惑 1/4
しおりを挟む
話はテスタコーポ大会前に遡ります。
※オーン視点の話です。
オーンの提案と思惑
---------------------------------------
僕達はライバルではあるけど、1つだけ利害が一致している事がある。『アリアが誰よりも大切で 、何においても最優先』という事だ。
これは“絶対”であり“必然”だ。
今後の計画を練る為、僕の部屋にミネルとエウロ、カウイの3人が集まっている。
アリア達(女性陣)には敢えて声を掛けなかった。
本来であればアリア達にも声を掛けたいところではあるが、そうなると週末にしか集まる事ができない。
(男子寮の忍び込みは、セレスの壮絶なる怒りにより、今後行わない事を誓わされた)
何より、アリア抜きで計画を立てたかった。
アリアはいじけるかもしれないけど、今回は僕達だけで『アリアに危険が及ばない』計画を立てたかったからだ。
いじける姿も見てみたいとは思うけど、ね。
もう二度と魔法祭のような思いはしたくない。
それは、きっとみんな同じ考えだろう。
「近々、上院が集まるパーティーが開催される」
僕が3人に話を切り出す。
「みんなも知っていると思うけど、上院の方々とそのパートナーが集まるパーティーだ。それと一部の上流階級の方々も参加する」
「ああ、そういえばあったな。それが、どうかしたか?」
急にパーティーの話を持ち掛けた僕にエウロが尋ねる。
「今回は上院の家族も参加できるよう国王に提案をしてみようと思っているんだ」
僕の提案を聞き、真っ先にミネルが反応する。
「名目は?」
「より親睦を深める為に。または、子供たちが知り合う出会いの場を設けたいと思っている。で、どうかな? 理由としては弱いかな?」
ミネルが腕を組み、わずかに目を伏せた。
何かを考え出した証拠かな?
「サール国王は、いきなりオーンが提案する事を不審に思うかもしれないが……」
やはり、そうか。
「それでも王が話を通してくれるのであれば、上院の承認は容易に得られるだろう。いまだ“次期王”には婚約者がいないからな。娘がいる親にとっては絶好の機会だ」
「…………」
自分から提案した事だけど、僕にはアリアがいるから面倒だな。
カウイ達に女性が集まるよう上手く誘導する事ができればいいんだけど。
当日までに何か考えておくかな?
僕の考えを察したミネルが、ほくそ笑んだ。
「オーンの元に女性が集まらない事はあり得ないだろう。沢山の女性と知り合って、ぜひ(アリア以外の)婚約者を作ってくれ」
「ミネルなら、そう言うと思ったよ」
予想通りの言葉に思わず苦笑する。
ミネルの言う通り、立場的に難しいか。
こうなったら、ミネル達も道連れにしよう。
……と思ったけど、ミネル達の家系や容姿を考えると、女性達が放っておくはずがない。
何もしなくても大丈夫そうだ。
「まぁ、それは(本気だが)いいとして、オーンの提案は賛成だ」
ミネルが本題へ戻り、話し始めた。
「アリアに上院全員の“魔法の色”を見てもらい、要注意人物を把握しておきたいと考えていた。だが、危険が及ぶ可能性も高い。実行に移すには難しいと思っていた」
エウロが「あっ!」と声を上げる。
「そのパーティーで、アリアに“魔法の色”を確認してもらうんだな!」
エウロがミネルの言いたい事に気がついたようだ。
「──そうだ」
カウイは言葉を発せず、静かに話を聞いている。
「大規模な夜会なら、ジメス上院議長もおかしな行動はできないはずだ。娘は雲隠れ……失踪中な上、魔法も使えないしな」
ミネルがニヤッと笑った。
「アリアは“安全な場所”からジメス上院議長にもお目にかかれる。それに一度に上院を確認し、要注意人物の把握もできる。一石二鳥だな」
さすがだね。
僕の考えていた事を瞬時に把握してくれた。
──僕達には時間がない。
恐らくジメス上院議長は、ジュリアさんの魔法を戻したいと思っている。
アリアの話では、ジュリアさんは詠唱せずに魔法を使えるらしい。
ジメス議長としては、それを利用しない手はない。
間違いなく、近い内にアリアは狙われるだろう。
それだけは……なんとしても避けたい。
その為には今回参加するパーティーで反撃の土台を作り、ジメス上院議長よりも先に行動に移す。
……とはいえ、今回はアリアと一緒に参加する初めてのパーティーだ。
カウイは迷う事なく、真っ先にアリアに踊ってくれるよう頼みそうだな。
考える傍から、心がモヤモヤしてくる。
アリアが僕以外の人と踊るかもしれない、と考えるだけでも嫌気がさすし、誰にも触れさせたくない。
僕個人の意見としては、アリアはパーティーになんて出なくていいんだけどね。
──ただ、今回の計画にアリアは必要不可欠だ。
それにアリアの立場上、この先、上流階級が集まる場に出ないで過ごすのは無理な事も分かっている。
(一応、ご令嬢だしね)
そうなると……誰もアリアに声を掛けようなんて思えなくなるような状況を作るしかないな。
僕の特別な女性は“アリア”だという事を、遠回しにでも知らしめておかないとね。
※オーン視点の話です。
オーンの提案と思惑
---------------------------------------
僕達はライバルではあるけど、1つだけ利害が一致している事がある。『アリアが誰よりも大切で 、何においても最優先』という事だ。
これは“絶対”であり“必然”だ。
今後の計画を練る為、僕の部屋にミネルとエウロ、カウイの3人が集まっている。
アリア達(女性陣)には敢えて声を掛けなかった。
本来であればアリア達にも声を掛けたいところではあるが、そうなると週末にしか集まる事ができない。
(男子寮の忍び込みは、セレスの壮絶なる怒りにより、今後行わない事を誓わされた)
何より、アリア抜きで計画を立てたかった。
アリアはいじけるかもしれないけど、今回は僕達だけで『アリアに危険が及ばない』計画を立てたかったからだ。
いじける姿も見てみたいとは思うけど、ね。
もう二度と魔法祭のような思いはしたくない。
それは、きっとみんな同じ考えだろう。
「近々、上院が集まるパーティーが開催される」
僕が3人に話を切り出す。
「みんなも知っていると思うけど、上院の方々とそのパートナーが集まるパーティーだ。それと一部の上流階級の方々も参加する」
「ああ、そういえばあったな。それが、どうかしたか?」
急にパーティーの話を持ち掛けた僕にエウロが尋ねる。
「今回は上院の家族も参加できるよう国王に提案をしてみようと思っているんだ」
僕の提案を聞き、真っ先にミネルが反応する。
「名目は?」
「より親睦を深める為に。または、子供たちが知り合う出会いの場を設けたいと思っている。で、どうかな? 理由としては弱いかな?」
ミネルが腕を組み、わずかに目を伏せた。
何かを考え出した証拠かな?
「サール国王は、いきなりオーンが提案する事を不審に思うかもしれないが……」
やはり、そうか。
「それでも王が話を通してくれるのであれば、上院の承認は容易に得られるだろう。いまだ“次期王”には婚約者がいないからな。娘がいる親にとっては絶好の機会だ」
「…………」
自分から提案した事だけど、僕にはアリアがいるから面倒だな。
カウイ達に女性が集まるよう上手く誘導する事ができればいいんだけど。
当日までに何か考えておくかな?
僕の考えを察したミネルが、ほくそ笑んだ。
「オーンの元に女性が集まらない事はあり得ないだろう。沢山の女性と知り合って、ぜひ(アリア以外の)婚約者を作ってくれ」
「ミネルなら、そう言うと思ったよ」
予想通りの言葉に思わず苦笑する。
ミネルの言う通り、立場的に難しいか。
こうなったら、ミネル達も道連れにしよう。
……と思ったけど、ミネル達の家系や容姿を考えると、女性達が放っておくはずがない。
何もしなくても大丈夫そうだ。
「まぁ、それは(本気だが)いいとして、オーンの提案は賛成だ」
ミネルが本題へ戻り、話し始めた。
「アリアに上院全員の“魔法の色”を見てもらい、要注意人物を把握しておきたいと考えていた。だが、危険が及ぶ可能性も高い。実行に移すには難しいと思っていた」
エウロが「あっ!」と声を上げる。
「そのパーティーで、アリアに“魔法の色”を確認してもらうんだな!」
エウロがミネルの言いたい事に気がついたようだ。
「──そうだ」
カウイは言葉を発せず、静かに話を聞いている。
「大規模な夜会なら、ジメス上院議長もおかしな行動はできないはずだ。娘は雲隠れ……失踪中な上、魔法も使えないしな」
ミネルがニヤッと笑った。
「アリアは“安全な場所”からジメス上院議長にもお目にかかれる。それに一度に上院を確認し、要注意人物の把握もできる。一石二鳥だな」
さすがだね。
僕の考えていた事を瞬時に把握してくれた。
──僕達には時間がない。
恐らくジメス上院議長は、ジュリアさんの魔法を戻したいと思っている。
アリアの話では、ジュリアさんは詠唱せずに魔法を使えるらしい。
ジメス議長としては、それを利用しない手はない。
間違いなく、近い内にアリアは狙われるだろう。
それだけは……なんとしても避けたい。
その為には今回参加するパーティーで反撃の土台を作り、ジメス上院議長よりも先に行動に移す。
……とはいえ、今回はアリアと一緒に参加する初めてのパーティーだ。
カウイは迷う事なく、真っ先にアリアに踊ってくれるよう頼みそうだな。
考える傍から、心がモヤモヤしてくる。
アリアが僕以外の人と踊るかもしれない、と考えるだけでも嫌気がさすし、誰にも触れさせたくない。
僕個人の意見としては、アリアはパーティーになんて出なくていいんだけどね。
──ただ、今回の計画にアリアは必要不可欠だ。
それにアリアの立場上、この先、上流階級が集まる場に出ないで過ごすのは無理な事も分かっている。
(一応、ご令嬢だしね)
そうなると……誰もアリアに声を掛けようなんて思えなくなるような状況を作るしかないな。
僕の特別な女性は“アリア”だという事を、遠回しにでも知らしめておかないとね。
0
お気に入りに追加
4,961
あなたにおすすめの小説
お前ら、何でスキルを1度しか習得しないんだ?ゴミスキルも回数次第で結構化けます
もる
ファンタジー
生まれも育ちも村人のゲインは15歳。武器と鎧の世界に憧れて、冒険者に成るべく街に向かうのだが、生きてるだけで金のかかる、街での暮らしが出来るのか?スキルだってタダじゃない。村人知識で頑張ります。
ひとまず週一更新しますがストック次第で不定期更新となります。
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
私の婚約者が完璧過ぎて私にばかり批判が来る件について
下菊みこと
恋愛
家柄良し、顔良し、文武両道、そんな婚約者がいるせいで他の人たちに「なんであんな奴が」だの「顔しか取り柄がないくせに」だの言われる私。しかし困ったことに婚約者は私を溺愛しています。私を悪く言う人皆に制裁しようとする婚約者の暴走を止めるのに必死で嫌味なんていちいち気にしてられない!これはそんな私の日常の話。小説家になろう様でも掲載しています。
*途中から数話ほどGL要素入ります!苦手な方は読み飛ばしてください!
すみません、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ書き直してます。皆様がストレスなく読める感じになっているといいのですが…。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ヒロインに転生したけど私貴方と婚約したくないのです
みぃ/現お仕事多忙中
恋愛
【メイン完結】
「マリア!お前とは婚約破棄をして、キャットユー子爵令嬢のリリィと婚約をする!!!」
夜会の中、突然響く私の名前
…………なぜ私のお名前が?
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
その場で思いついた処女作
設定?そんなもんは知らん←
あ、誤字脱字の報告や、言葉の間違いなどは受け付けております\(´°v°)/んぴッ
設定めっちゃくちゃなのは知ってるから
非難中傷は受け付けぬ⸜( ⌓̈ )⸝
7周目は嫌われでした〜別エンディングはバッドエンドで!〜
荒瀬ヤヒロ
恋愛
まただ。また戻った。今回で七回目だ。
第二王子アクセルが魔獣に襲われて命を落とすたびに過去に戻るルイゼル。
(今度はアクセルを死なせないわ!)
恋人であるアクセルを守るために頑張るけれど、いつも失敗して七回目のやり直し。
だけど、七回目の今回はいつもと様子が違っていて——
ハッピーエンドを目指すルイゼルの奮闘の行方は?
とびきりのクズに一目惚れし人生が変わった俺のこと
未瑠
BL
端正な容姿と圧倒的なオーラをもつタクトに一目惚れしたミコト。ただタクトは金にも女にも男にもだらしがないクズだった。それでも惹かれてしまうタクトに唐突に「付き合おう」と言われたミコト。付き合い出してもタクトはクズのまま。そして付き合って初めての誕生日にミコトは冷たい言葉で振られてしまう。
それなのにどうして連絡してくるの……?
迅英の後悔ルート
いちみやりょう
BL
こちらの小説は「僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた」の迅英の後悔ルートです。
この話だけでは多分よく分からないと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる