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中等部 編

14歳、人生で初めて告白されました(後編)

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──そして、ついに週末。
作業を開始する日がやってきた!!

ボランティアの人たちには、事前に日にちと集合場所を伝えてるけど……何名くらい集まるかなぁ?

ドキドキしながら、学校が建つ場所へと向かう。
一緒に向かっているエレも「集まってくれてるといいね」と声を掛けてくれた。

幼なじみ達は、もちろん来るって言ってたし、ヤン爺さんも顔を出してくれるって言ってた。
不安になりながらも集合場所に辿り着くと……。

えーーーーーー!!

すごい人の数! 数!! 数!!!
ざっと500人? いや、それ以上にいるような……多すぎて、もう分からない!!

……けど、集まってくれただけでも、みんなの頑張りが通じたようで嬉しい!!!

「な、何ごと?」

到着したセレス達も驚いている。

「急に日程を決めたが、予想以上に集まったな」

ミネルが冷静に言っているように見えるけど、嬉しそうだ。

「アリアー」

──この声は! ヤン爺さん!!

「ヤン爺さん! 朝早くから来てくれたんですね!」
「ああ。わしは役に立てそうもないからな。若いのを連れてきた」

そういうと、ヤン爺さんの後ろには、ざっと50名以上の人たち!
さらに増えた!
ヤン爺さん、声を掛けてくれたんだ!!

「アリアです。皆さんありがとうございます!」

ヤン爺さんの知り合いの方たちにお礼を言うと、「この子がアリアちゃんか!」「ヤン爺さんにおどされてねぇ」と冗談交じりに盛り上がっている。

そんな中、セレスが私とヤン爺さんの元へとやってきた。

「あら? この方がアリアが大変お世話になったと言っていた“ヤン爺”様?」

セレスがヤン爺さんの前でニコッと微笑んだ。

「はじめまして。アリアの親友、セレスです」

ヤン爺さんに挨拶したタイミングで、今度はルナがやってきた。

「アリアの大親友、ルナです」

セレスがキッとルナを睨みつける。

「失礼しました。間違えましたわ。大、大、大親友のセレスです!」
「じゃあ、私は……」

ま、まさか、ここでも言い合い!?
悪化する前に、急いで止めに入る。

「ちょ、ちょっと2人ともストッープ!!」
「ほぉ~、アリアの友人は皆、美人さんだなー」

ヤン爺さんは、言い合いなんか気にしていないようで、のん気に笑っている。
……ヤン爺さん、鼻の下が伸びてるよ。

セレスとルナの気持ちは嬉しいんだけどさ~。
どっちも大好きだから、仲良くしてほしいんだけどな。

私が2人の言い合いを止めている間に、ミネルがこの場にいる人たち全員を集める。
そして、テキパキと指示を出し始めた。

「《土の魔法》が使える方たちは、こちらへ集まってください。……セレス何してんだ! ちゃんと指示しろ!」

セレスを叱りつけるように、ミネルが声を上げる。

「はっ! わ、分かったわ!」

その声に反応したセレスが、急いでミネルの元へ走っていった。

昨日の時点で、すでに各々の分担は決めてある。
集まった人たちに指示を出す為、優秀な幼なじみ達とエレは、建築に必要な知識についてもこの1ヶ月半の間に勉強してくれていた。

私も勉強はしたけど、みんなには負けてる気がするな……。
本当にみんなは凄いや。

セレスが担当する《土の魔法》チームは、メインとなる部分、学校が建つ部分の土地の整備から始めてもらう。

別な場所には《緑の魔法》の人たちが集まっている。
木や植物を生み出せる《緑の魔法》チームは、ルナの指示の元、学校を建てるのに必要な木を作り出す作業をしてもらう。

作り出してもらった木は、オーンの指示のもと、力がある大人たちが伐採、製材、加工する。

工程が別れている分、他のチームより人数が多いけど、オーンに任せているからきっと大丈夫なはず。
加工した木材は、土地が整備された後に使うので、現状は一ヶ所にまとめて置く事になる。

運ぶのはエウロを中心した《風の魔法》チーム!
その他にも《風の魔法》チームは、必要な資材の手配や運搬も行うと言っていた。

それと、もう1つ。
加工した木材は《知恵の魔法》チームにも渡る。
ミネルが中心となって、机や椅子、ドアなど学校に必要な備品を作る事になっている。

材料さえあれば、すぐに物を作れるって……本当に便利!

エレと私は、グラウンドや学校が建つ場所以外の整備を、魔法が使えない人たちと一緒に行う。
魔法だけに頼っていると、他の作業が進まなくなっちゃうからね。

進められるところは、進めておかないと!

何日? 何か月? 掛かるか分からないけど、ミネルは「思っていたより、早く建つかもしれない」と言っていた。

「平日に集まれる人たちの為にも、前もって指示を出しておかないとな」とも言っていた。
本当に無駄がない。尊敬するよ。

グラウンドが広いので、私とエレが二手に分かれて指示を出す。
現場を見ながら私自身も作業を進めていると、ヤン爺さんの知り合いという男性がこちらにやって来た。

「最近、ヤン爺の話によく出てくるアリアだっけ? 俺は、ムイ。よろしくな!」
「よろしくお願いします。今日は参加してくれて、ありがとうございます」
「同じ年みたいだから、敬語はいらないぜ?」

どうやら明るくて、人懐っこい青年みたいだ。
軽く世間話をした後、お互いに作業を続けた。

しばらくすると、お昼の時間となった為、みんなが一斉に休憩へと入っていく。

1人、用意していたおにぎりを頬張っていると、近くにいたムイが話し掛けてきた。
せっかくなので、会話をしつつ一緒にお昼を食べる。

話しているうちに、ふと視線を感じ、何気なく顔を上げてみた。
なぜか分からないけれど、ムイがじーっと私を見ている……?

ど、どうしたのかな?
私の顔に土でもついてる!?

「アリアってよく見たら結構、可愛い顔してるじゃん」
「……ん?」
「彼氏がいないなら、俺が付き合ってやってもいいぜ?」

えっ!? えーーーっ!!!

言い方はかなり偉そうだけど、じ、じ、人生で初めて告白された!?
さらに可愛いって! 学校では目立たぬ生徒だけど、町内では結構イケてるのかな!?

初めての告白? に戸惑っていると、背後から突然、複数の影が……。

「(私の)アリアは、(大切な友人なんだから)私が認めた人じゃないと絶対に許さないわ! そして、それは決して、絶対、死んでもアナタではないわ!!」 
    
セレス!
それは、おかん通り越して、おとんのセリフ!!

「(兄様と結婚するから)アリアは絶対ダメ! 代わりにセレスで」

ルナ!
珍しく、目に見えて感情的。そして、セレスが怒ってるよー。
本当にこの2人は……。

「アリアは(なぜか分からないけど……)ダメだ。(なぜか分からないけど……)絶対ダメだ!」

な、なぜ、エウロまで!? 
なんか深刻な顔をしてる??

「失礼ですが(僕も言いたいのをまだ我慢してるのに)まさか今日知り合ったばかりの貴方がそういう事を言うのは……。さらに『付き合ってやってもいい』? ダメに決まってるでしょう!? 髪の毛、全部剃りますよ?」     

オーン??
笑顔で淡々と言ってるけど、途中から話してる内容おかしいから!

「お前がこいつを扱いきれるはずないだろう。諦めろ」

ミネル……。
それはどういう意味? 珍獣扱い!?

最後に現れたのはエレ。

「(僕の大切な)アリアは諦めてください。代わりに僕じゃダメですか!? …………今、僕にときめきましたね? 僕にときめいてるような人(そんな奴)にアリアをあげるわけないでしょう!?」

エレにときめかない人なんているのかな!?
そうなると、私は永遠に彼氏ができない事になるけど……。

幼なじみ達からの総攻撃? に、ムイの表情がみるみる青ざめていく。

「じょ、冗談だよ! 冗談! ははっ、休憩もしたし……俺、あっちで作業しよー」

独り言のように早口で話すと、ムイはそそくさと去って行ってしまった。

しまいにはヤン爺さんから「お前にはまだ早い! アリアに言う前にわしを通せ!!」と、お尻を叩かれている。
なんか……ごめんね、ムイ。

人生で初めて告白された?? のに、まさか返事もせずに終わるとは……。
これがこの世界での最初で最後のチャンスだったとしたら、どうするんだよ!!
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