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後日談-1.コップ一杯の水*
しおりを挟む止めるのは簡単だ。初期魔法”コップ一杯の水”を召喚すればいい。
****
ユリウス君は執拗だ。
彼は植物を丹念に観察する。それが難しいといわれる具現化魔術や繊細な魔法操作に繋がっており、魔術師としても研究者としても類まれなる才能に繋がっている。
しかし、その特性がセックスで発揮された場合ーー変態と言わざるを得ないと、僕は思う。
最近のユリウス君はパーツごとにしつこく、執拗に、執心して愛撫を施す。
少し前までそれは背中だった。
「ひ、やぁああっ。もう、やめ……」
うつぶせに寝かされ、手足は触手でまとめられたままずっと背中を弄られている。背中のへこみを何度もユリウス君の爪先がなぞる。立ったまま背後をとられ、その後は背面坐位でのけぞるように刺激され、力が抜けたところをうつぶせに転がされた。触手がおざなりに乳首や性器をくすぐるが、恋人はずっと背中に夢中だ。今回だけではない。このところずっと。
体中が性感帯になったようでびくびくとした反応が止まらない。でも、強い決定的な刺激がないままなのがつらい。もがいてもユリウス君が体重をかけて押さえつけている。
「先生。かわいい。背中にかけていいですか?」
熱いモノが尻から背中にかけて擦りつけられた。興奮していることは声からわかるが、その顔がみたい。しかし触手に縛られてそれは叶わなかった。
「ふ、うぅ」
涙がこぼれた。ユリウス君の顔がみたい。キスがしたい。「でる」という低い声とともに背中に精液がかけられた。ここで僕の限界がきた。
「っ?!」
”コップ一杯の水”を僕はユリウス君の頭の上に落とした。触手がしゅるっと消える。僕を起こして顔をのぞきこんだユリウス君が、涙に気がついて慌ている。
「え?え!? 先生、痛かったですか?! 気持ち悪かった?」
頬を両手で包んで生徒が動揺する。僕はびしょびしょに濡れた彼に正面から抱きついた。年上の、教師のプライドで顔が見えなくて怖くなったとは言えない。
「すみません。俺が暴走していたら、水をかけてくださいね。絶対に止まります」
「……うん」
きれいな銀髪から水が滴る恋人が自分のことは差し置いてタオルで僕をぬぐう。視線でねだるとやっと優しいキスをもらえた。
ーーこれが前回までの記憶。
今のユリウス君はどうやら、僕の足に夢中だ。
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