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第10章
第4話
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「磯部くんがいま見ているのは、ちょうどそのシステムね」
画面が切り替わる。
水漏れを示すような警告は、水道局画面では表示されていなかった。
「なんか、おかしくないですか?」
「あのね、実際には、普通に分からないものなのよ」
電話がつながった。
モニターにうつる水道局の事務室に、呼び出し音が鳴り響く。
閑散とした事務所で、受話器を取る職員の背中が映し出された。
ドンッ! 突然の衝撃が地下を揺らす。
いづみと目があった。
「下だ!」
この秘密基地に隠された、もう一つの地下へ向かう。
不吉な音が、俺の鼓膜を刺激した。
「水漏れだ……」
整然と並べられた量子コンピューターのサーバー保管室に、どこからか流水音が聞こえる。
竹内も駆け下りてきた。
「俺はちゃんとゆっくりバルブを閉めたぞ!」
「どっから水漏れが……」
場所を特定しようにも、あっという間に水深が3センチを超えてきている。
「もう遅い。データは本部と共有されている。すぐに上の資材を運び出そう」
「運び出すって、どこに?」
この上の階にはトレーニングジムと戦闘機や潜水艦のデモ機が並んでいる。
さらに上の司令部はどうなる?
テーブル回りのどれもこれもが、特殊な機械や実験装置だ。
竹内が駆け上がるのに続いて、俺も駆け上がった。
いづみはスプリンクラーを作動させる。
「ごめんなさいね。あなたのアンドロイド、最後まで作ってあげられなくて」
警報の鳴り響くなか、部隊のPCに容赦なく水が降り注ぐ。
「ガス消火設備に変えたんじゃなかったのか!」
大型設備搬送用のエレベーター口が開いた。
貴重な成果物を詰め込んだトラックの荷台が閉じられる。
運転席にいるのは、いづみ? それとも、そのアンドロイド?
「私、ここのこと結構好きだったのよ」
助手席に、もう一人のいづみが乗り込んだ。
「さようなら」
短く切りそろえた髪が、大きく開いた搬送口からの風に揺れる。
それが走り去るのを、俺と竹内はただ見送るしか出来ない。
「い、飯塚さんに連絡を……」
「……無駄だろうな」
竹内はため息をつき、力なく首を横に振る。
「多分、あの二人はグルだ」
『災害時保護モードにより、終了します』
司令部の巨大ディスプレイはそう言い残し、自ら黒く暗転した。
画面が切り替わる。
水漏れを示すような警告は、水道局画面では表示されていなかった。
「なんか、おかしくないですか?」
「あのね、実際には、普通に分からないものなのよ」
電話がつながった。
モニターにうつる水道局の事務室に、呼び出し音が鳴り響く。
閑散とした事務所で、受話器を取る職員の背中が映し出された。
ドンッ! 突然の衝撃が地下を揺らす。
いづみと目があった。
「下だ!」
この秘密基地に隠された、もう一つの地下へ向かう。
不吉な音が、俺の鼓膜を刺激した。
「水漏れだ……」
整然と並べられた量子コンピューターのサーバー保管室に、どこからか流水音が聞こえる。
竹内も駆け下りてきた。
「俺はちゃんとゆっくりバルブを閉めたぞ!」
「どっから水漏れが……」
場所を特定しようにも、あっという間に水深が3センチを超えてきている。
「もう遅い。データは本部と共有されている。すぐに上の資材を運び出そう」
「運び出すって、どこに?」
この上の階にはトレーニングジムと戦闘機や潜水艦のデモ機が並んでいる。
さらに上の司令部はどうなる?
テーブル回りのどれもこれもが、特殊な機械や実験装置だ。
竹内が駆け上がるのに続いて、俺も駆け上がった。
いづみはスプリンクラーを作動させる。
「ごめんなさいね。あなたのアンドロイド、最後まで作ってあげられなくて」
警報の鳴り響くなか、部隊のPCに容赦なく水が降り注ぐ。
「ガス消火設備に変えたんじゃなかったのか!」
大型設備搬送用のエレベーター口が開いた。
貴重な成果物を詰め込んだトラックの荷台が閉じられる。
運転席にいるのは、いづみ? それとも、そのアンドロイド?
「私、ここのこと結構好きだったのよ」
助手席に、もう一人のいづみが乗り込んだ。
「さようなら」
短く切りそろえた髪が、大きく開いた搬送口からの風に揺れる。
それが走り去るのを、俺と竹内はただ見送るしか出来ない。
「い、飯塚さんに連絡を……」
「……無駄だろうな」
竹内はため息をつき、力なく首を横に振る。
「多分、あの二人はグルだ」
『災害時保護モードにより、終了します』
司令部の巨大ディスプレイはそう言い残し、自ら黒く暗転した。
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