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第21章
第4話
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「だから、俺がなんとかすればいいんだろ?」
「あっそ。じゃあ別にいいのよね。庭木くんに任せておいて」
どうやら奥川は、腹を立てたようだ。
「まぁ結果的には、そうなってしまってるよね」
「私、部活に行くから。後はよろしく」
完全に怒った奥川は、廊下をずんずん歩いて、あっという間に消えてしまった。
俺はまだ、奥川の感触が残る腕に、そっと触れる。
「あぁ、もう。奥川って、本当に扱いが難しいんだよなぁ!」
さっきまで、「奥川さん」と呼んでいた庭木が、急に呼び捨てになった。
「俺の前でお前と腕組んだりしてさ、そんな挑発に、誰がのるかっつーの」
「別にお前の前じゃなくても、そういう時あるけど」
「は? いつ?」
本当は別にないけど。
小学校か、それくらい、ずっと前の話だけど。
「いつって、たまに」
「なんだよ。あの女も、結局バカなんだな」
庭木は笑った。
「なにが?」
「別に。女なんて、結局はそんなもんなんだよな。俺と違って、お前は騙されんなよ。奥川と、つき合ってるわけじゃないんだろ?」
それには答えられない。
俺に答える義務もなければ、その必要もない。
「奥川は、そんな奴じゃない」
「まぁ、いいんだけどね」
庭木は激しく首を横に振った。
イライラとして、ため息をつく。
「これだから、困るんだよ」
庭木は、謎の微笑みを残して立ち去った。
俺は一人取り残されて、ポツンとしている。
あぁ、コレがアレか。
女子たちがたまに言う、「ウザ庭木」とかっていうヤツだ。
生徒会長やってるからって、自分が無条件でモテてるとか、一段上とか、勘違いしてんじゃねーぞって、やつだ。
男には普通に接することが出来るのに、女子にはやたらと、上から構える。
庭木自身は、自分が無意識にそんな態度をとっていることに、全く気がついていないみたいだ。
あいつはとにかく、女子受けが悪い。
いいや、庭木のことなんて。
とにかく理科室に行こう。
俺はようやく理科室にはいると、シリンダーを手にとった。
なんだか人間を相手にしているよりも、コイツらの相手をしている方が、気が楽に思えてきた。
今はとにかく、マシン作りだ。
「あっそ。じゃあ別にいいのよね。庭木くんに任せておいて」
どうやら奥川は、腹を立てたようだ。
「まぁ結果的には、そうなってしまってるよね」
「私、部活に行くから。後はよろしく」
完全に怒った奥川は、廊下をずんずん歩いて、あっという間に消えてしまった。
俺はまだ、奥川の感触が残る腕に、そっと触れる。
「あぁ、もう。奥川って、本当に扱いが難しいんだよなぁ!」
さっきまで、「奥川さん」と呼んでいた庭木が、急に呼び捨てになった。
「俺の前でお前と腕組んだりしてさ、そんな挑発に、誰がのるかっつーの」
「別にお前の前じゃなくても、そういう時あるけど」
「は? いつ?」
本当は別にないけど。
小学校か、それくらい、ずっと前の話だけど。
「いつって、たまに」
「なんだよ。あの女も、結局バカなんだな」
庭木は笑った。
「なにが?」
「別に。女なんて、結局はそんなもんなんだよな。俺と違って、お前は騙されんなよ。奥川と、つき合ってるわけじゃないんだろ?」
それには答えられない。
俺に答える義務もなければ、その必要もない。
「奥川は、そんな奴じゃない」
「まぁ、いいんだけどね」
庭木は激しく首を横に振った。
イライラとして、ため息をつく。
「これだから、困るんだよ」
庭木は、謎の微笑みを残して立ち去った。
俺は一人取り残されて、ポツンとしている。
あぁ、コレがアレか。
女子たちがたまに言う、「ウザ庭木」とかっていうヤツだ。
生徒会長やってるからって、自分が無条件でモテてるとか、一段上とか、勘違いしてんじゃねーぞって、やつだ。
男には普通に接することが出来るのに、女子にはやたらと、上から構える。
庭木自身は、自分が無意識にそんな態度をとっていることに、全く気がついていないみたいだ。
あいつはとにかく、女子受けが悪い。
いいや、庭木のことなんて。
とにかく理科室に行こう。
俺はようやく理科室にはいると、シリンダーを手にとった。
なんだか人間を相手にしているよりも、コイツらの相手をしている方が、気が楽に思えてきた。
今はとにかく、マシン作りだ。
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