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第14章
第4話
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柱の陰で振り返る。
細木はうれしそうにニコニコ笑っていて、ふざけた様子で桃を膝で蹴飛ばした。
桃たちはずっとたのしそうに笑いあっていて、浦島の腕は、笑い転げる金太郎の肩にのる。
細木がこん棒を振り回すと、桃は腰の刀を鞘ごと抜いた。
それを細木に渡す。
細木はその刀身を、うれしそうに引き出した。
何よりも眩しく輝くそれを、細木は振り回す。
ほら、ね。
やっぱりそういうこと。
教室に戻ったら、いっちーとさーちゃん、キジが待っていてくれた。
あたしはへらへら笑って言う。
「細木に謝ろうとしたけど、謝れなかった」
「どうして?」
さーちゃんが聞いてくる。
「……。なんか、別に聞きたくないって……」
いっちーと目が合わせられなくて、それでもじっと見られているのは分かるから、余計にそっちを見ることが出来ない。
「なんか、結局どうでもいいみたいだった。こんなこと」
「……。そっか」
「でも、これからも、細木とは普通にする」
部活のことは桃と金太郎と浦島と、いっちーとさーちゃんがちゃんとやってくれてるっぽいから、それでいいんだと思う。
あたしは大人しくみんなの言うことを聞いて、「うんうん」と返事をしておけば大丈夫。
その方がみんなで上手くいくなら、結局はそれが最適解だと思うんだ。
最近は何となく、部活に出てもキジと一緒にただ座っている。
さーちゃんの髪がまた少し伸びて、前髪が出来た。
今は揃わない髪を頭のてっぺんで結び、他は伸びるがままに任せている。
彼女の金色の髪がやわらかなウェーブを描いているなんて、知らなかった。
遅れていた工事もほぼ終わって、部活が再開された。
それに合わせて、勧誘も始まる。
金太郎の作ったポスターが壁に貼られ、在校生に限定して公開される部活アカウント運用解禁ももうすぐだ。
今日はそのタイムラインに流す画像の撮影に来ていた。
「だからなんで昼休み?」
「『お弁当も一緒に食べてます』みたいな?」
桃はうれしそうに、いっちーと浦島の作った豪華弁当を広げた。
「『いつも』ってワケじゃないじゃん」
「だけど、特別な時にはいつもこうしてるよ」
桃はレジャーシートを広げる。
あたしが『いつも』、という言葉に引っかかっていることにも、桃は気づかない。
「ほら、ももちゃんもキジも座って」
金太郎がスマホのカメラを向けた。
「あたしはいいよ」
「ダメだよ。部長と幹部役員は写らないと」
金太郎の爽やか王子スマイルには、きっと誰もあらがえないように出来ている。
あたしの隣に、いっちーが座った。
久しぶりに横に並んだ彼女からは、懐かしいシャンプーの匂いがする。
そんなことにも久しぶりすぎて、涙が出そう。
「ほら、キジとさるも並べ」
浦島に促されて、2人もフレーム内に収まる。
大きなタッパーに入れられた、ピクニック仕様の豪華弁当を囲んで座った。
元は女子校だったから、そこには女の子しか入れない。
部活が再開されたとはいえ、入部手続きが始まっていない今は、桃たちはまだ正式な部員ではないのだ。
「なんか、弁当詐欺っぽくない? 全部浦島が作ったの?」
「これ作ったの、私だから」
いっちーがつぶやく。
そっか。
いっちーはあたしと違ってお弁当作るのも得意だった。
浦島はあれこれと構図に文句をつけ、金太郎に要求されるがままポーズを取る。
いっちーは慣れっこなのか淡々と受け流し、さーちゃんは楽しそうだった。
キジはずっとムッと強ばっている。
「体調悪い?」
一通りの撮影が終わって、ようやくご飯を食べられるようになったのに、あたしはガチガチに固まったままのキジに声をかけた。
細木はうれしそうにニコニコ笑っていて、ふざけた様子で桃を膝で蹴飛ばした。
桃たちはずっとたのしそうに笑いあっていて、浦島の腕は、笑い転げる金太郎の肩にのる。
細木がこん棒を振り回すと、桃は腰の刀を鞘ごと抜いた。
それを細木に渡す。
細木はその刀身を、うれしそうに引き出した。
何よりも眩しく輝くそれを、細木は振り回す。
ほら、ね。
やっぱりそういうこと。
教室に戻ったら、いっちーとさーちゃん、キジが待っていてくれた。
あたしはへらへら笑って言う。
「細木に謝ろうとしたけど、謝れなかった」
「どうして?」
さーちゃんが聞いてくる。
「……。なんか、別に聞きたくないって……」
いっちーと目が合わせられなくて、それでもじっと見られているのは分かるから、余計にそっちを見ることが出来ない。
「なんか、結局どうでもいいみたいだった。こんなこと」
「……。そっか」
「でも、これからも、細木とは普通にする」
部活のことは桃と金太郎と浦島と、いっちーとさーちゃんがちゃんとやってくれてるっぽいから、それでいいんだと思う。
あたしは大人しくみんなの言うことを聞いて、「うんうん」と返事をしておけば大丈夫。
その方がみんなで上手くいくなら、結局はそれが最適解だと思うんだ。
最近は何となく、部活に出てもキジと一緒にただ座っている。
さーちゃんの髪がまた少し伸びて、前髪が出来た。
今は揃わない髪を頭のてっぺんで結び、他は伸びるがままに任せている。
彼女の金色の髪がやわらかなウェーブを描いているなんて、知らなかった。
遅れていた工事もほぼ終わって、部活が再開された。
それに合わせて、勧誘も始まる。
金太郎の作ったポスターが壁に貼られ、在校生に限定して公開される部活アカウント運用解禁ももうすぐだ。
今日はそのタイムラインに流す画像の撮影に来ていた。
「だからなんで昼休み?」
「『お弁当も一緒に食べてます』みたいな?」
桃はうれしそうに、いっちーと浦島の作った豪華弁当を広げた。
「『いつも』ってワケじゃないじゃん」
「だけど、特別な時にはいつもこうしてるよ」
桃はレジャーシートを広げる。
あたしが『いつも』、という言葉に引っかかっていることにも、桃は気づかない。
「ほら、ももちゃんもキジも座って」
金太郎がスマホのカメラを向けた。
「あたしはいいよ」
「ダメだよ。部長と幹部役員は写らないと」
金太郎の爽やか王子スマイルには、きっと誰もあらがえないように出来ている。
あたしの隣に、いっちーが座った。
久しぶりに横に並んだ彼女からは、懐かしいシャンプーの匂いがする。
そんなことにも久しぶりすぎて、涙が出そう。
「ほら、キジとさるも並べ」
浦島に促されて、2人もフレーム内に収まる。
大きなタッパーに入れられた、ピクニック仕様の豪華弁当を囲んで座った。
元は女子校だったから、そこには女の子しか入れない。
部活が再開されたとはいえ、入部手続きが始まっていない今は、桃たちはまだ正式な部員ではないのだ。
「なんか、弁当詐欺っぽくない? 全部浦島が作ったの?」
「これ作ったの、私だから」
いっちーがつぶやく。
そっか。
いっちーはあたしと違ってお弁当作るのも得意だった。
浦島はあれこれと構図に文句をつけ、金太郎に要求されるがままポーズを取る。
いっちーは慣れっこなのか淡々と受け流し、さーちゃんは楽しそうだった。
キジはずっとムッと強ばっている。
「体調悪い?」
一通りの撮影が終わって、ようやくご飯を食べられるようになったのに、あたしはガチガチに固まったままのキジに声をかけた。
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