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第13章
第5話
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「明日はお昼、一緒に食べようって。桃たちが」
だからどうして、そんなことをあたしに聞くんだろう。
「え、別にどっちでもいいんだけど」
「金太郎と浦島が、みんなにお弁当作ってくるって。さーちゃんとキジも誘ってる」
あたしはそれにもまた、どういう反応をしていいのか分からないから、「うん」とだけうなずいておいた。
学校工事の資材置き場にされてしまった演武場は、まだ使えない。
本当だったら、いっちーと練習したいんだけどな……。
「……。まぁ、昼休みだけなんだったらいいか」
「なにが?」
「ううん。なんでもない」
面倒くさい。
そんな面倒な明日なんて来なければいいと思っていたのに、やっぱり次の日というのはやってきて、どうなるのかと思っていたけど、その日は天気もよくて、なぜか校内の芝生の上で、みんなでお弁当を食べた。
立派な重箱に詰められたそれは、料理の得意な金太郎と浦島が作ったんだって。桃も手伝いはしたらしい。
普通にどうでもいい話しをして、いっちーとかは笑っていたけど、みんなは楽しそうにしていたから、それはそれでよかったと思っている。
細木に呼び出されたのは、その放課後だった。
「ようやく演武場が使えるようになったぞ」
担任を持つようになったから、今は体育科準備室の机の下ではなく、職員室にいる。
「うっそ、ホント!」
「新入部員の受け入れ準備しとけよ」
「え?」
細木はニヤリと笑った。
「今年度から、サークルから部へと昇格だ」
「やったー!」
生まれて初めて細木がエライと思った。
あたしは教室に駆け込む。
「いっちー!」
飛び込んだ教室には、いっちーと腰に刀をぶら下げた桃がいて、ゆったりと何かを話していて、騎士道一直線のナイトみたいだったいっちーが、厳格な修道院の聖女か、凜々しいお姫さまみたいに見える。
隣にどんな人がいるかで、こんなにも違って見えるのか。
いっちー自身は何にも変わっていないのに。
「もも?」
いっちーに気づかれた。
「あー……。何でもない。邪魔した」
くるりと背を向ける。
あたしが遠慮する必要はないって、それは分かってるんだけど、やっぱり近寄りがたい。
いっちーにはきっともう、鬼退治なんかよりも大切なものが出来てしまったような、そんな気がする。
「待って!」
いっちーが追いかけてくる。
それを察して、全力で走り出した。
「あたし、なんで逃げてんのー!」
「それはこっちのセリフー!」
ゆったりとした放課後の、廊下を駆け抜け階段を飛び降りる。
校舎の角を曲がったのに、いっちーはまだ諦めてくれない。
渡り廊下を越え、校舎を移り、とにかく学校中を走りまくって走りまくって、本気の全力疾走に息切れしている。
ようやく足の動きが鈍ってきた。
それはいっちーも同じで、あたしはついに捕まる。
だからどうして、そんなことをあたしに聞くんだろう。
「え、別にどっちでもいいんだけど」
「金太郎と浦島が、みんなにお弁当作ってくるって。さーちゃんとキジも誘ってる」
あたしはそれにもまた、どういう反応をしていいのか分からないから、「うん」とだけうなずいておいた。
学校工事の資材置き場にされてしまった演武場は、まだ使えない。
本当だったら、いっちーと練習したいんだけどな……。
「……。まぁ、昼休みだけなんだったらいいか」
「なにが?」
「ううん。なんでもない」
面倒くさい。
そんな面倒な明日なんて来なければいいと思っていたのに、やっぱり次の日というのはやってきて、どうなるのかと思っていたけど、その日は天気もよくて、なぜか校内の芝生の上で、みんなでお弁当を食べた。
立派な重箱に詰められたそれは、料理の得意な金太郎と浦島が作ったんだって。桃も手伝いはしたらしい。
普通にどうでもいい話しをして、いっちーとかは笑っていたけど、みんなは楽しそうにしていたから、それはそれでよかったと思っている。
細木に呼び出されたのは、その放課後だった。
「ようやく演武場が使えるようになったぞ」
担任を持つようになったから、今は体育科準備室の机の下ではなく、職員室にいる。
「うっそ、ホント!」
「新入部員の受け入れ準備しとけよ」
「え?」
細木はニヤリと笑った。
「今年度から、サークルから部へと昇格だ」
「やったー!」
生まれて初めて細木がエライと思った。
あたしは教室に駆け込む。
「いっちー!」
飛び込んだ教室には、いっちーと腰に刀をぶら下げた桃がいて、ゆったりと何かを話していて、騎士道一直線のナイトみたいだったいっちーが、厳格な修道院の聖女か、凜々しいお姫さまみたいに見える。
隣にどんな人がいるかで、こんなにも違って見えるのか。
いっちー自身は何にも変わっていないのに。
「もも?」
いっちーに気づかれた。
「あー……。何でもない。邪魔した」
くるりと背を向ける。
あたしが遠慮する必要はないって、それは分かってるんだけど、やっぱり近寄りがたい。
いっちーにはきっともう、鬼退治なんかよりも大切なものが出来てしまったような、そんな気がする。
「待って!」
いっちーが追いかけてくる。
それを察して、全力で走り出した。
「あたし、なんで逃げてんのー!」
「それはこっちのセリフー!」
ゆったりとした放課後の、廊下を駆け抜け階段を飛び降りる。
校舎の角を曲がったのに、いっちーはまだ諦めてくれない。
渡り廊下を越え、校舎を移り、とにかく学校中を走りまくって走りまくって、本気の全力疾走に息切れしている。
ようやく足の動きが鈍ってきた。
それはいっちーも同じで、あたしはついに捕まる。
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