偶然の旅人
私の住んでいる地域の桜は、4月2日に満開になるらしい。だが、そんな話はどうでも良いのだ。
今、私は、パソコンの横に置いた二千円札に大変困らされている。目の前に二千円札が存在していて、その存在が私をひどく困惑させている。ちなみに言っておくが、こんな紙幣があったっけ? などと首を傾げるほど私は世間に疎くはない。
ちゃんと二千円札が、2000年に発券されたことくらい知っている。そして、この二千円札は、2001年の4月の桜が咲いている時期に、私が使った二千円札である。間違いない。16年振りに私の手元に戻ってきたようだ。金は天下の回り物というけれど、これはお金を抽象化した概念であると私は認識していた。具体的に、使ったお札がまた自分の所に帰ってくるなんて想像をしたことなど一度もなかった。
今、私は、パソコンの横に置いた二千円札に大変困らされている。目の前に二千円札が存在していて、その存在が私をひどく困惑させている。ちなみに言っておくが、こんな紙幣があったっけ? などと首を傾げるほど私は世間に疎くはない。
ちゃんと二千円札が、2000年に発券されたことくらい知っている。そして、この二千円札は、2001年の4月の桜が咲いている時期に、私が使った二千円札である。間違いない。16年振りに私の手元に戻ってきたようだ。金は天下の回り物というけれど、これはお金を抽象化した概念であると私は認識していた。具体的に、使ったお札がまた自分の所に帰ってくるなんて想像をしたことなど一度もなかった。
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※ 8/4 誤字修正しました。
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帰ってくる紙幣の話から半村良の『赤い斜線(たしかそんな題)』と言う短編を思い出した。
……
ある商売人の元に、赤い斜線の入った一万円札が来て、支払いに使ったら戻ってくる、支払いに使ったら戻ってくる。
を、何度も繰り返し、その分売上が減少、商売がたち行かなくなってホームレスに(この辺の理屈がよく解らん……読んだの小学生の頃だし)
そしたら今度はその一万円札が男が困窮したときに風に吹かれてとかたまたま落ちてたとかで帰って来て困窮をしのげる。
を繰り返してる男。
最後にはその一万円札がへたってきていて『あと何回俺のところに来るのだろう』と男が心配し、インタビュアー(男の聞き書きと言う形で著述)に、『兄さんの財布にも赤い斜線の入った一万円札はないかい?』
で、インタビュアーの財布にもしっかり入ってました。
ってオチです。
こっちはちょっとホラー入ってます。
社怪人様
ご感想ありがとうございます。
半村良という作家をすみません、知りませんでした……。
wikiで調べたら、辛うじて「戦国自衛隊」を知っているという感じです。原作というか映画のタイトルを知っているだけでした。
ですが、直木賞を受賞している作家の作品を連想していただけるとは、光栄の極みです!
ホラーで言えば、捨てたはずのものがいつの間にかまた同じ場所に戻ってきている、なんて話は良く聞きますね(*^_^*)
ちなみに、今回の拙作の発想の下地となった作品は、二つあります。
(ご感想を下さった意図が、『よくある設定だった』ということを婉曲に表現されている気がしたので、
ご指摘の通りです、という意味で、元ネタを披露させていただきます)
角田光代『旅する本』という作品です。新潮文庫『さがしもの』という文庫本に収録されています。
もう一つが、誰かの自伝だったと思うのですが、タイトルとか忘れました!
『子どもの時に来ていたセーターを古着として売った。そして、大学生ぐらいでバックパッカーで発展途上国を旅していたら、
そのセーターを着ている子どもと出会った。そして、紛れもなく自分が昔着ていたセーターだった!』
というような話です。
あとは、電話番号がメモしてあるお札に巡り合ったという私の実体験でしょうか。
でも、ありふれた設定の拙作に、感想を戴けて感謝です!
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