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第十三話
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三人は、まずは街の中で達成できる屋敷の外壁掃除の依頼に向かう。
場所はギルドからしばらく歩いて、街の北側に位置する住宅街の一角だった。
「おおお、これはでかいな」
地図を確認しながらたどり着いた先にあったのは、まるで城と見まごうばかりの巨大な屋敷だった。
「ガウガ(デカい)」
「きゅっきゅー(おっきー)」
ガルムとプルルも屋敷のサイズに驚いている様子だった。
「おい、お前は何者だ」
大きな屋敷だけあり、警備の兵士が不審な様子のクライブたちに声をかけてくる。
全身鎧で槍を手にしているため、顔は確認できないがクライブよりも少し身長が大きい。
「あぁ、すみません。依頼を見てきたんですけど、屋敷のあまりの大きさに驚いてしまいました」
クライブはそう言いながら、冒険者ギルドカードと依頼受領の用紙を衛兵に見せる。
「……お前が旦那様の依頼を受けた冒険者か。しかし、その……なんだ。その細い腕で屋敷の外壁を全て掃除するとなると、ことだぞ? 魔物を連れているみたいだが、そいつらに掃除させるわけにもいかないだろうし……」
本当に依頼を達成できるのか、表情は見えないが衛兵は懐疑的な雰囲気でクライブを見ていた。
「まあまあ、こちらにも考えがありますのでやらせて下さい。作業には早速取り掛かってもいいですか?」
「あぁ、いや。一度旦那様に会って説明をしてから取り掛かるようにしてくれ。今、中に案内する」
そう言うと、衛兵はもう一人の衛兵に目配せをしてクライブたちを門の中にいれる。
衛兵はお屋敷の入り口をノックして、中にいた執事にクライブたちのことを伝え、持ち場に戻る。
「あなたが依頼を受けて下さった冒険者様ですね。それでは、旦那様のもとへとご案内いたします」
「お願いします」
案内を引き継いだのは、タキシード姿でオールバックで眼鏡といういわゆる執事といった姿の人族の男性である。
屋敷の中は何やら音楽が流れており、それ以外は掃除の音などがするだけで静かだった。
ガルムとプルルを連れているが、特に何も言われないためクライブは触れないことにしている。
階段を上がり、廊下を進んでいくと大きな扉の部屋に到着する。
「旦那様、外壁掃除の依頼を受けた冒険者様がいらっしゃいました」
ノックをしてから、執事が部屋の中へと声をかける。
『入ってもらいなさい』
中から落ち着いた低い声を聞こえてくる。
「どうぞ、お入り下さい」
執事はゆっくりと扉を開けて、クライブたちを中へと誘導する。
「ふむ、君たちがうちの外壁を掃除してくれる冒険者か」
そこにいたのは、猫の獣人の男性だった。種別は三毛猫。人ベースの獣人ではなく、猫ベースの獣人でありその顔も三毛猫そのものである。
獣人であるため、年齢はわかりづらいが落ち着いた雰囲気からそれなりの年齢であることがわかる。
この部屋に来るまで執事、メイドなどを何人か見かけたが全て人族であったため、旦那様と呼ばれるこの屋敷の主人も人族だとクライブは思い込んでいた。
「あっ、えっと、はい」
驚いているクライブはなんとか返事をするだけで精一杯だった。
「ふふふっ、私が猫の獣人だから驚いているのだね。わかるよ。この家の使用人は全員人族だからね。私は今回依頼をしたこの屋敷の主人、マクスウェルだ。よろしく頼む」
そう言うとマクスウェルは手を差し出し、クライブもその手を取って握手をする。
「それで、君と、そちらの魔物の三人でうちの外壁掃除を全て?」
かなりの大きさの屋敷であるため、ゴシゴシと壁を掃除するのでは何日あっても終わらないであろうとマクスウェルは考えている。
「えっと、ちょっと特別な方法を考えているんですけど、それを納得して頂ければ早く終わると思います」
クライブはそう言うと、ガルムの頭の上にいるプルルを抱える。
「それは、どういうものなんだ? まずは見せてほしいんだが」
「わかりました」
クライブはキョロキョロと部屋の中を見る。
すると、絨毯に目が留まる。
「あの、あそこのシミはワインか何かで?」
「あぁ、その通りだ。すぐに掃除をしてもらったんだが、シミが抜けないので早々に交換をしようと考えている」
クライブは説明を聞きながらシミへと移動し、プルルをおろす。
「きゅっきゅー」
鳴き声をあげるとプルルは絨毯のシミを吸収する。
それを確認したクライブはプルルを再度持ち上げた。
「どうでしょうか?」
「どれどれ……おぉ、これはすごい! ……濡れてもいないし、綺麗だ」
マクスウェルはしゃがんで絨毯を確認して、その効果を実感した。
「スライムが汚れを吸収する。という方法に納得してもらえるのであれば、外壁はすぐに綺麗になりますが、いかがですか?」
もしかしたら、魔物を使うという方法を納得しない可能性もあったためクライブが確認する。
「いやいや、是非頼みたい! これなら、汚れが綺麗にとれるはずだ。しかし、その、彼? 彼女? 一人で屋敷全体の掃除が可能なのか?」
この質問にクライブはニヤリと笑う。
「そこはちゃんと手がありますのでご安心下さい。早速取り掛かろうと思うのですが……ご覧になります?」
ここまでのやりとりで掃除方法に興味があるように見えた。だから、クライブは質問をした。
「も、もちろんだ! ささ、こっちだ。外に行こう」
そして、見事マクスウェルは食いつき、自ら外へと案内をしてくれた。
一階に移動、そして一室に入り、そこから中庭へと出る。
「それでは頼む」
「わかりました。プルル、みんなを出してくれ」
クライブは返事をすると、プルルに指示を出す。
「きゅっきゅきゅーーー!」
大きな声を出すと、プルルの身体が大きくなり、そして分裂した。
「な、なんとお!?」
マクスウェルが期待通りの反応を見せる。
「よし、それじゃあみんな、屋敷の外壁の掃除だああ!」
クライブが壁を指さすとスライムたちが一斉に動き出して、壁に張り付いていく。
プルルを含めて155体のスライムが外壁に張り付き、移動しながら汚れを吸収していく。
様々な色のスライムが動く様は、奇妙で、しかしどこか美しくもあった。
「お、おぉぉおお、こ、これはすごい。たくさんのスライムが動いて、動いたそばから壁が綺麗になっていく」
「みんな、ついでに屋根も綺麗にしてくれ!」
クライブの指示に反応して、スライムたちが次々に屋敷を綺麗にしていく。
スライムたちが外壁全ての汚れを吸収し、掃除を終えるまでにかかった時間は一時間程度だった。
掃除を終えたスライムたちは、再度合体してプルルがメインになって元のサイズに戻って行く。
見上げるほどの屋敷で普通に掃除したら何日もかかるはずの作業。
クライブとスライムたちの協力ですっかり屋敷はピカピカの状態に戻った。
「ま、まさかこの短時間で、しかもまるで新築のような状態になるとは!」
マクスウェルはほくほくとした笑顔で屋敷を眺め、驚いている。
「ということで、依頼は完了でいいですか?」
「もちろんだ! 依頼していた以上の結果を残してくれた! これは依頼に出した金額では足らないな。ちょ、ちょっと待っていてくれ。シムズ! シムズはいるか!」
気分がよくなったマクスウェルは一人で話を進め、誰かを呼んでいる。
呼ばれてやってきたのは、先ほどマクスウェルの部屋まで案内してくれた執事だった。
シムズに何かを指示すると、マクスウェルはクライブたちを部屋の中に入るように促す。
そこからはメイドによって応接間へと案内され、そこでお茶を出された。
まるでお客様待遇であることにクライブは戸惑っている。
「えっと……」
どういう状況なのかとメイドに質問しようとするが、黒髪ショートのメイドはニコリと笑って一礼すると部屋から出て行ってしまった。
美味しいお茶と、美味しい茶菓子に手をつけて待っていると、十分ほどしてマクスウェルが執事のシムズを伴って戻ってきた。
「ふむ、待たせたな。これは私からの礼だ。受け取ってくれ」
マクスウェルがそう言うと、テーブルの上にドサリと重みのある袋が置かれた。
中からは金属が擦れるような音が聞こえてくる。
「えっ? 礼って、まさか……えぇぇええええ! こ、こんなに!?」
中を覗いてみたクライブは、袋一杯に金貨が詰まっていた。
ガルムとプルルはこれがお金と呼ばれるもので、これがあれば主のクライブが喜ぶとわかっているため、ご機嫌になっていた。
後書き編集
お読みいただきありがとうございます。
「面白かった」「続きが読みたい」と思った方は、感想、評価、ブックマークなどで応援して頂ければ幸いです。
場所はギルドからしばらく歩いて、街の北側に位置する住宅街の一角だった。
「おおお、これはでかいな」
地図を確認しながらたどり着いた先にあったのは、まるで城と見まごうばかりの巨大な屋敷だった。
「ガウガ(デカい)」
「きゅっきゅー(おっきー)」
ガルムとプルルも屋敷のサイズに驚いている様子だった。
「おい、お前は何者だ」
大きな屋敷だけあり、警備の兵士が不審な様子のクライブたちに声をかけてくる。
全身鎧で槍を手にしているため、顔は確認できないがクライブよりも少し身長が大きい。
「あぁ、すみません。依頼を見てきたんですけど、屋敷のあまりの大きさに驚いてしまいました」
クライブはそう言いながら、冒険者ギルドカードと依頼受領の用紙を衛兵に見せる。
「……お前が旦那様の依頼を受けた冒険者か。しかし、その……なんだ。その細い腕で屋敷の外壁を全て掃除するとなると、ことだぞ? 魔物を連れているみたいだが、そいつらに掃除させるわけにもいかないだろうし……」
本当に依頼を達成できるのか、表情は見えないが衛兵は懐疑的な雰囲気でクライブを見ていた。
「まあまあ、こちらにも考えがありますのでやらせて下さい。作業には早速取り掛かってもいいですか?」
「あぁ、いや。一度旦那様に会って説明をしてから取り掛かるようにしてくれ。今、中に案内する」
そう言うと、衛兵はもう一人の衛兵に目配せをしてクライブたちを門の中にいれる。
衛兵はお屋敷の入り口をノックして、中にいた執事にクライブたちのことを伝え、持ち場に戻る。
「あなたが依頼を受けて下さった冒険者様ですね。それでは、旦那様のもとへとご案内いたします」
「お願いします」
案内を引き継いだのは、タキシード姿でオールバックで眼鏡といういわゆる執事といった姿の人族の男性である。
屋敷の中は何やら音楽が流れており、それ以外は掃除の音などがするだけで静かだった。
ガルムとプルルを連れているが、特に何も言われないためクライブは触れないことにしている。
階段を上がり、廊下を進んでいくと大きな扉の部屋に到着する。
「旦那様、外壁掃除の依頼を受けた冒険者様がいらっしゃいました」
ノックをしてから、執事が部屋の中へと声をかける。
『入ってもらいなさい』
中から落ち着いた低い声を聞こえてくる。
「どうぞ、お入り下さい」
執事はゆっくりと扉を開けて、クライブたちを中へと誘導する。
「ふむ、君たちがうちの外壁を掃除してくれる冒険者か」
そこにいたのは、猫の獣人の男性だった。種別は三毛猫。人ベースの獣人ではなく、猫ベースの獣人でありその顔も三毛猫そのものである。
獣人であるため、年齢はわかりづらいが落ち着いた雰囲気からそれなりの年齢であることがわかる。
この部屋に来るまで執事、メイドなどを何人か見かけたが全て人族であったため、旦那様と呼ばれるこの屋敷の主人も人族だとクライブは思い込んでいた。
「あっ、えっと、はい」
驚いているクライブはなんとか返事をするだけで精一杯だった。
「ふふふっ、私が猫の獣人だから驚いているのだね。わかるよ。この家の使用人は全員人族だからね。私は今回依頼をしたこの屋敷の主人、マクスウェルだ。よろしく頼む」
そう言うとマクスウェルは手を差し出し、クライブもその手を取って握手をする。
「それで、君と、そちらの魔物の三人でうちの外壁掃除を全て?」
かなりの大きさの屋敷であるため、ゴシゴシと壁を掃除するのでは何日あっても終わらないであろうとマクスウェルは考えている。
「えっと、ちょっと特別な方法を考えているんですけど、それを納得して頂ければ早く終わると思います」
クライブはそう言うと、ガルムの頭の上にいるプルルを抱える。
「それは、どういうものなんだ? まずは見せてほしいんだが」
「わかりました」
クライブはキョロキョロと部屋の中を見る。
すると、絨毯に目が留まる。
「あの、あそこのシミはワインか何かで?」
「あぁ、その通りだ。すぐに掃除をしてもらったんだが、シミが抜けないので早々に交換をしようと考えている」
クライブは説明を聞きながらシミへと移動し、プルルをおろす。
「きゅっきゅー」
鳴き声をあげるとプルルは絨毯のシミを吸収する。
それを確認したクライブはプルルを再度持ち上げた。
「どうでしょうか?」
「どれどれ……おぉ、これはすごい! ……濡れてもいないし、綺麗だ」
マクスウェルはしゃがんで絨毯を確認して、その効果を実感した。
「スライムが汚れを吸収する。という方法に納得してもらえるのであれば、外壁はすぐに綺麗になりますが、いかがですか?」
もしかしたら、魔物を使うという方法を納得しない可能性もあったためクライブが確認する。
「いやいや、是非頼みたい! これなら、汚れが綺麗にとれるはずだ。しかし、その、彼? 彼女? 一人で屋敷全体の掃除が可能なのか?」
この質問にクライブはニヤリと笑う。
「そこはちゃんと手がありますのでご安心下さい。早速取り掛かろうと思うのですが……ご覧になります?」
ここまでのやりとりで掃除方法に興味があるように見えた。だから、クライブは質問をした。
「も、もちろんだ! ささ、こっちだ。外に行こう」
そして、見事マクスウェルは食いつき、自ら外へと案内をしてくれた。
一階に移動、そして一室に入り、そこから中庭へと出る。
「それでは頼む」
「わかりました。プルル、みんなを出してくれ」
クライブは返事をすると、プルルに指示を出す。
「きゅっきゅきゅーーー!」
大きな声を出すと、プルルの身体が大きくなり、そして分裂した。
「な、なんとお!?」
マクスウェルが期待通りの反応を見せる。
「よし、それじゃあみんな、屋敷の外壁の掃除だああ!」
クライブが壁を指さすとスライムたちが一斉に動き出して、壁に張り付いていく。
プルルを含めて155体のスライムが外壁に張り付き、移動しながら汚れを吸収していく。
様々な色のスライムが動く様は、奇妙で、しかしどこか美しくもあった。
「お、おぉぉおお、こ、これはすごい。たくさんのスライムが動いて、動いたそばから壁が綺麗になっていく」
「みんな、ついでに屋根も綺麗にしてくれ!」
クライブの指示に反応して、スライムたちが次々に屋敷を綺麗にしていく。
スライムたちが外壁全ての汚れを吸収し、掃除を終えるまでにかかった時間は一時間程度だった。
掃除を終えたスライムたちは、再度合体してプルルがメインになって元のサイズに戻って行く。
見上げるほどの屋敷で普通に掃除したら何日もかかるはずの作業。
クライブとスライムたちの協力ですっかり屋敷はピカピカの状態に戻った。
「ま、まさかこの短時間で、しかもまるで新築のような状態になるとは!」
マクスウェルはほくほくとした笑顔で屋敷を眺め、驚いている。
「ということで、依頼は完了でいいですか?」
「もちろんだ! 依頼していた以上の結果を残してくれた! これは依頼に出した金額では足らないな。ちょ、ちょっと待っていてくれ。シムズ! シムズはいるか!」
気分がよくなったマクスウェルは一人で話を進め、誰かを呼んでいる。
呼ばれてやってきたのは、先ほどマクスウェルの部屋まで案内してくれた執事だった。
シムズに何かを指示すると、マクスウェルはクライブたちを部屋の中に入るように促す。
そこからはメイドによって応接間へと案内され、そこでお茶を出された。
まるでお客様待遇であることにクライブは戸惑っている。
「えっと……」
どういう状況なのかとメイドに質問しようとするが、黒髪ショートのメイドはニコリと笑って一礼すると部屋から出て行ってしまった。
美味しいお茶と、美味しい茶菓子に手をつけて待っていると、十分ほどしてマクスウェルが執事のシムズを伴って戻ってきた。
「ふむ、待たせたな。これは私からの礼だ。受け取ってくれ」
マクスウェルがそう言うと、テーブルの上にドサリと重みのある袋が置かれた。
中からは金属が擦れるような音が聞こえてくる。
「えっ? 礼って、まさか……えぇぇええええ! こ、こんなに!?」
中を覗いてみたクライブは、袋一杯に金貨が詰まっていた。
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