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第三十八話
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ヤマトとユイナは颯爽と街を出て、大量のモンスターがはびこる大平原へとやってきた。
「やっぱりモンスター多いなあ」
「うん、橋よりも圧倒的に多いねえ」
最初に見た時はただただ驚いていた二人だったが、レベルがかなり上がった今はこれくらいならなんとかなりそうだと思っていた。
「目標は西の方角、モンスターが最初に増え始めたエリアだけど……」
「もっちろん片っ端から倒していくよ!」
好戦的に微笑んだユイナは既に弓を構えていた。弓聖のスキルには範囲攻撃を行えるものがいくつかあるため、一気に数を減らしていこうと考えていた。
「オッケー、俺もそう考えていたところだよ」
彼女のやる気に触発されたように口元だけで笑ったヤマトは右手にフレイムソードを、左手には魔法を用意していた。
「それじゃ、いっくよー! “アローシャワー”!」
ユイナは自分で開始の合図をすると敵に一度引いただけで大量の矢を放っていく。スキル名にあるように力強い矢のシャワーが彼女の狙った範囲にいたモンスターたちを逃さないと降りかかり、一気に屠っていく。
弓聖レベル176ともなれば、多少強いモンスターが出たところでその一撃一撃が致命傷となるのだ。
「んふー! 一気に倒せるのはきっもちいいねえ!」
制限されていた力を取り戻したかのように楽しげにスキルを繰り出し続けていくユイナ。手前にいた数十匹のモンスターがまとめて一瞬で倒されていくのを見るのは圧巻だった。
「すごいね! これは僕も負けていられないな、“フレイムグラウンド”!」
ユイナに負けじとヤマトは左手に貯めた魔力で炎のクラス4の魔法を放つ。モンスターの足元からドンと円形に炎が吹きあがっていき、そのままモンスターを飲み込んでいく。それらは逃げ惑うモンスターを追いかけるように次々と吹きあげているが、その炎の勢いとは裏腹に大平原の草などを焼くことはない。
「うっわー、ヤマトもドカンといくねえ!」
ヤマトのフレイムグラウンドが倒したモンスターの数は、ユイナのそれとほぼ同数であった。二カッと笑ったユイナの視線の先では焼き尽くされたモンスターが消滅していっているのが見えていた。
レベルがあがり、職業もクラスチェンジをしている二人は確かな手ごたえを感じており、自分たちの力を試しながら次々にモンスターを倒していく。
そんな光景をあとから追いかけてきたキャティとラパンは呆然と立ち尽くして見ていた。
「す、すごい……」
「いや、確かにすごいけど、これすごいとかっていうレベルじゃないだろ!?」
魅了されたようにポソリと呟くラパンの言葉に反応するキャティだったが、あまりのできごとにおかしなツッコミをいれてしまっていた。
最初に会った時のヤマトとユイナは、モンスターに追われて逃げ惑っており、強さを感じることはできず、むしろ頼りなさを感じていた。
しかし、どこかから戻ってきた二人には圧倒的な自信が備わっており、大平原のモンスターたちを蹂躙するような目の前の結果を生み出している。
「ど、どうしよう……?」
すさまじい二人の猛攻にラパンは加勢すべきか、以前にどうするのがいいのか判断できず、困惑したようにキャティに質問する。
「ど、どうって、どうにもできないでしょ。あんな戦い方の二人に混ざって戦おうとしたら、足手まといにしかならないし」
頭を抱えたくなったキャティは自分たちとヤマトたちとの力の差を感じており、その差は決して越えられないほどの大きな壁であるとわかっていた。
「じゃあ……」
「あぁ、見ているしかない……」
大平原に視線を移した二人は息を飲んで二人の戦い振りを見守るしかできなかった。
「ユイナ、片っ端からとはいったけどさすがにこれはキリがないね!」
炎の魔法を大きくぶっ放したヤマトは魔力を纏わせたフレイムソードでモンスターを倒しながらユイナに声をかける。
「結構片づけたつもりなんだけど……これは一気に西を目指すのが得策かな?」
そんなユイナは弓から短剣に持ち替えて近接戦闘で戦っている。短剣に関しては弓聖の能力に引きずられるため、弓の時と劣ることない実力を発揮していた。
そんな二人は背中を合わせて会話をしている。周囲には二人を囲むように距離を保ってモンスターたちが大量に待ち構えている。
「よし、それじゃ一発でかいのを撃ち込んだらそこから一気に西に行こう!」
「オッケー!」
目標を定めた二人は近場のモンスターを近接武器でそれぞれ大きく弾き飛ばすと、大技の準備を始める。
「“デッドアローレイン”!」
さっと弓に持ち替えたユイナのこれはファイブヘッドリザードドラゴンにも使った攻撃であり、あの時よりも範囲を広く、手数を重視した攻撃を放つ。一本の空まで打ちあがった矢は、空中で分裂して大きな範囲を飲み込むように地上にいるモンスターに次々と突き刺さっていった。
「“エンシェント……フレイム”!」
こちらも同じ戦いでヤマトが使った魔法。この魔法もヤマトがアレンジを加えており、広範囲にわたって攻撃できるようにしていた。触れてしまえば一瞬で解けそうなほど勢いよく燃え盛る炎の渦。
ヤマトの魔法にアクセサリーが強い光を放ちながらサポートするように威力を跳ね上げる。
先ほどまでのフレイムグラウンドとはけた違いの威力に、大草原を焦土と化してしまうような一撃。それだけ多くのモンスターを倒すこととなる。
ヤマトは魔法を放った一帯の草が燃え尽きてしまって地面がむき出しになっていることに若干の焦りを覚えるが、やってしまったことを気にしても仕方ないと、急ぎ、足を西へと向けていた。その後ろを援護するようにユイナが追いかける。
「あれ……一体なんなんだ?」
その一部始終を見ていたキャティが頬を引くつかせながら思わずぽつりとつぶやく。
「あんな魔法見たことない……」
草の焼ける匂いと魔法の余波で周囲の暑い空気を感じながらキャティは結果に驚き、ラパンはヤマトが使った魔法がなんなのかわからないため、魅入るように目の前の光景を見ていた。
「……あれって、なんとかなるのかな?」
燃え尽きた草の心配をするキャティ。むき出しの地面は草など最初からなかったかのように綺麗だ。
「聖地の草だから、しばらくしたらすぐに生えてくると思うけど……これは大ごとになりそうな気がするから、私たちも姿を隠しましょう。見ていたことですら、色々聞かれそうだから」
誰かに見つかり、二人がなぜこんな状況になったのか知っていることがばれれば、しばらくの間自由に動くことができなくなる。冒険者としてそれは致命的なことだ。ハッと我に返ったラパンはキャティとともにこの場をあとにする。
彼女らはヤマトとユイナのことを話すなど言語道断のことであると考えていた。少しの時間しか共にしていないが、彼らの人の良さをしっかりと感じ取っていたキャティとラパンはそんな二人を裏切ることなど一ミリも考えていない。
「――この街の、いえ、私たちの命運はあの二人に握られているのね……」
彼らによって街に押し寄せようとしていたモンスターたちは大半が倒されるか逃げ惑い、キャティたちがいる街の方に来る様子はない。
だがどこからかやってきていまだ増え続けるモンスターたち。もうこれは自分たちがなんとかできる次元を超えており、この先はとてつもない力を持っている二人に任せるしかないと、キャティもラパンも結論付けていた。
ヤマト:剣聖LV181、大魔導士LV174
ユイナ:弓聖LV177、聖女LV162
エクリプス:馬LV15
「やっぱりモンスター多いなあ」
「うん、橋よりも圧倒的に多いねえ」
最初に見た時はただただ驚いていた二人だったが、レベルがかなり上がった今はこれくらいならなんとかなりそうだと思っていた。
「目標は西の方角、モンスターが最初に増え始めたエリアだけど……」
「もっちろん片っ端から倒していくよ!」
好戦的に微笑んだユイナは既に弓を構えていた。弓聖のスキルには範囲攻撃を行えるものがいくつかあるため、一気に数を減らしていこうと考えていた。
「オッケー、俺もそう考えていたところだよ」
彼女のやる気に触発されたように口元だけで笑ったヤマトは右手にフレイムソードを、左手には魔法を用意していた。
「それじゃ、いっくよー! “アローシャワー”!」
ユイナは自分で開始の合図をすると敵に一度引いただけで大量の矢を放っていく。スキル名にあるように力強い矢のシャワーが彼女の狙った範囲にいたモンスターたちを逃さないと降りかかり、一気に屠っていく。
弓聖レベル176ともなれば、多少強いモンスターが出たところでその一撃一撃が致命傷となるのだ。
「んふー! 一気に倒せるのはきっもちいいねえ!」
制限されていた力を取り戻したかのように楽しげにスキルを繰り出し続けていくユイナ。手前にいた数十匹のモンスターがまとめて一瞬で倒されていくのを見るのは圧巻だった。
「すごいね! これは僕も負けていられないな、“フレイムグラウンド”!」
ユイナに負けじとヤマトは左手に貯めた魔力で炎のクラス4の魔法を放つ。モンスターの足元からドンと円形に炎が吹きあがっていき、そのままモンスターを飲み込んでいく。それらは逃げ惑うモンスターを追いかけるように次々と吹きあげているが、その炎の勢いとは裏腹に大平原の草などを焼くことはない。
「うっわー、ヤマトもドカンといくねえ!」
ヤマトのフレイムグラウンドが倒したモンスターの数は、ユイナのそれとほぼ同数であった。二カッと笑ったユイナの視線の先では焼き尽くされたモンスターが消滅していっているのが見えていた。
レベルがあがり、職業もクラスチェンジをしている二人は確かな手ごたえを感じており、自分たちの力を試しながら次々にモンスターを倒していく。
そんな光景をあとから追いかけてきたキャティとラパンは呆然と立ち尽くして見ていた。
「す、すごい……」
「いや、確かにすごいけど、これすごいとかっていうレベルじゃないだろ!?」
魅了されたようにポソリと呟くラパンの言葉に反応するキャティだったが、あまりのできごとにおかしなツッコミをいれてしまっていた。
最初に会った時のヤマトとユイナは、モンスターに追われて逃げ惑っており、強さを感じることはできず、むしろ頼りなさを感じていた。
しかし、どこかから戻ってきた二人には圧倒的な自信が備わっており、大平原のモンスターたちを蹂躙するような目の前の結果を生み出している。
「ど、どうしよう……?」
すさまじい二人の猛攻にラパンは加勢すべきか、以前にどうするのがいいのか判断できず、困惑したようにキャティに質問する。
「ど、どうって、どうにもできないでしょ。あんな戦い方の二人に混ざって戦おうとしたら、足手まといにしかならないし」
頭を抱えたくなったキャティは自分たちとヤマトたちとの力の差を感じており、その差は決して越えられないほどの大きな壁であるとわかっていた。
「じゃあ……」
「あぁ、見ているしかない……」
大平原に視線を移した二人は息を飲んで二人の戦い振りを見守るしかできなかった。
「ユイナ、片っ端からとはいったけどさすがにこれはキリがないね!」
炎の魔法を大きくぶっ放したヤマトは魔力を纏わせたフレイムソードでモンスターを倒しながらユイナに声をかける。
「結構片づけたつもりなんだけど……これは一気に西を目指すのが得策かな?」
そんなユイナは弓から短剣に持ち替えて近接戦闘で戦っている。短剣に関しては弓聖の能力に引きずられるため、弓の時と劣ることない実力を発揮していた。
そんな二人は背中を合わせて会話をしている。周囲には二人を囲むように距離を保ってモンスターたちが大量に待ち構えている。
「よし、それじゃ一発でかいのを撃ち込んだらそこから一気に西に行こう!」
「オッケー!」
目標を定めた二人は近場のモンスターを近接武器でそれぞれ大きく弾き飛ばすと、大技の準備を始める。
「“デッドアローレイン”!」
さっと弓に持ち替えたユイナのこれはファイブヘッドリザードドラゴンにも使った攻撃であり、あの時よりも範囲を広く、手数を重視した攻撃を放つ。一本の空まで打ちあがった矢は、空中で分裂して大きな範囲を飲み込むように地上にいるモンスターに次々と突き刺さっていった。
「“エンシェント……フレイム”!」
こちらも同じ戦いでヤマトが使った魔法。この魔法もヤマトがアレンジを加えており、広範囲にわたって攻撃できるようにしていた。触れてしまえば一瞬で解けそうなほど勢いよく燃え盛る炎の渦。
ヤマトの魔法にアクセサリーが強い光を放ちながらサポートするように威力を跳ね上げる。
先ほどまでのフレイムグラウンドとはけた違いの威力に、大草原を焦土と化してしまうような一撃。それだけ多くのモンスターを倒すこととなる。
ヤマトは魔法を放った一帯の草が燃え尽きてしまって地面がむき出しになっていることに若干の焦りを覚えるが、やってしまったことを気にしても仕方ないと、急ぎ、足を西へと向けていた。その後ろを援護するようにユイナが追いかける。
「あれ……一体なんなんだ?」
その一部始終を見ていたキャティが頬を引くつかせながら思わずぽつりとつぶやく。
「あんな魔法見たことない……」
草の焼ける匂いと魔法の余波で周囲の暑い空気を感じながらキャティは結果に驚き、ラパンはヤマトが使った魔法がなんなのかわからないため、魅入るように目の前の光景を見ていた。
「……あれって、なんとかなるのかな?」
燃え尽きた草の心配をするキャティ。むき出しの地面は草など最初からなかったかのように綺麗だ。
「聖地の草だから、しばらくしたらすぐに生えてくると思うけど……これは大ごとになりそうな気がするから、私たちも姿を隠しましょう。見ていたことですら、色々聞かれそうだから」
誰かに見つかり、二人がなぜこんな状況になったのか知っていることがばれれば、しばらくの間自由に動くことができなくなる。冒険者としてそれは致命的なことだ。ハッと我に返ったラパンはキャティとともにこの場をあとにする。
彼女らはヤマトとユイナのことを話すなど言語道断のことであると考えていた。少しの時間しか共にしていないが、彼らの人の良さをしっかりと感じ取っていたキャティとラパンはそんな二人を裏切ることなど一ミリも考えていない。
「――この街の、いえ、私たちの命運はあの二人に握られているのね……」
彼らによって街に押し寄せようとしていたモンスターたちは大半が倒されるか逃げ惑い、キャティたちがいる街の方に来る様子はない。
だがどこからかやってきていまだ増え続けるモンスターたち。もうこれは自分たちがなんとかできる次元を超えており、この先はとてつもない力を持っている二人に任せるしかないと、キャティもラパンも結論付けていた。
ヤマト:剣聖LV181、大魔導士LV174
ユイナ:弓聖LV177、聖女LV162
エクリプス:馬LV15
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