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最終話 これから始まるっぽい
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ルドが語った話の内容は、とてもすぐには消化しきれそうにないものばかりだった。
ルドとエタは魔族で、僕の身体には、一ノ瀬優と歌姫の力を持つ妖精の命が宿っているかもしれないんだ。
どうしよう。僕が、前世の記憶を持っていることとか、転生した目的があることとかを、ルドに話すなら今かもしれない。
「ルド――」
「身体の調子は大丈夫か?」
「え?」
意を決して、転生したことを告白しようとしたところで、少し間をあけて横に並んでいたルドが、身体をくっつけてきた。
「歌姫の再生の力は、自分の生命力を代償にすると言っただろう? もしウィルがまだ辛いようなら、いくらでも俺のを渡すから言ってくれ」
「え、う、うん。ありがとう……」
どうしよう。すごく嬉しい。ルドへの気持ちを自覚してからというもの、彼の一挙手一投足に、心臓が暴れだしてしまう。
本当は、体調は全然よかったんだけど、ただルドとくっつきたかったから、お言葉に甘えて、僕も、ルドに身体を寄せた。すると、ルドは、僕の肩を抱き、もっと身体を密着させてきた。
ななななななななななんなのこれ!? もう心臓がもたないんだけど!!!!
おかしい。自分で言うのもなんだが、前世では、プレイボーイだったのに。こんな、ただ肩を抱かれたくらいで、どうしてこんなにドキドキするんだ!?
「どうだ? 良くなってきたか?」
「ウ、ウン! ヨクナッテキタトオモウ」
あまりの密着具合に緊張してしまって、返事も片言になってしまった。
「ウィル? 本当か? 身体が熱い。熱でもあるんじゃ――」
そう言うと、ルドは顔を覗き込んできた。ひーーーー!! そんなふうに至近距離で見つめられると、恥ずかしくてたまらない。
「あーーーーーーー!!!! ルドずるい! またチューしようとしてるーーーー!! ボクもしたい!!!」
「な――!?」
さっきまで寝ていたエタが、起きてしまったようだ。僕たちの方を見て、泣き叫んでいる。どうしたのかな? もしかして寝ぼけてる? エタの言っていることが理解できなくて、ルドの顔を見るが、なにやら慌てふためいている様子だ。
「ルドのバカバカバカ!!! ボクが寝ている隙にまたチューしようとするなんて、ズルイズルイズルイ!!!」
「だ、黙れ! お前はもう寝ろ!」
エタの謎の発言に首を傾げていると、ルドがパチンと指を鳴らした。
「すやぁ――――」
ルドが指を鳴らした瞬間、寝ぼけて騒いでいたエタが、また突然、ベッドに沈み込んだ。もしかして、今、エタに魔法をかけなかった?
「ルド、もしかして今、エタに……」
「うっ、気のせいだ。エタも寝ぼけていたんだろう」
怪しい。目が泳いでいる。魔族の記憶を取り戻したことで、バリバリ魔法を使えるようになったと推測する! 間違いない! 絶対今、エタに魔法をかけて、無理やり眠らせたんだ!
ただ、こんなに慌てるルドは珍しくて、ちょっと可愛いと思ってしまった。五十三歳の男性に、可愛いは失礼だろうか。それにしても、エタが言っていた、『マタチュー』とはなんだろう。
「ねぇルド? 『マタチュー』って何?」
「は?」
「今エタが言っていた、『マタチュー』しようとしてたって……エタが駄々をこねるほど面白いことなの?」
「う……ウィルは何も知らなくていい!」
「そんな! 教えてくれたっていいじゃないか! ルドとエタだけ知っていて、僕だけ知らないなんてずるい!」
「ウィルまでエタ化するんじゃない!」
「ずるい! 教えてよ! 『マタチュー』って何なの!?」
「何でもない! もう寝るぞ!」
「教えてよ~! ねえ! 教えてってば!」
歌姫の力を使い果たして死んでしまったと思ったのに、こうやってまたルドと話すことができて、僕はなんて幸せなんだろう。たとえ前世の父を見つけられなくて、次に死んだときに地獄に落ちたとしても、この世界で、ルドに会えたってことだけで、転生して良かったと思える。
できるだけ長くルドと一緒にいられるよう、これからももっともっと精進しよう。そしていつか、ルドが心から信頼してくれるような人間になりたい。
***
――――三年後。
僕とルドとエタの三人は、リヒトリーベ王国の遥か南にあるライデンシャウト王国にいた。
あの日、エルフの里で歌姫の力を使い、一度死にかけた僕は、ルドが、生命力を共有してくれたことで、一命を取りとめた。
次の日、もう一度、エルフの里の入り口があった場所に行ってみたけれど、再び里に入ることはできなかった。きっと、エルフ族が僕らを迎え入れる意思がない限り、もう二度とあの里に入ることはできないだろう。
「ウィル! ボクと結婚して!」
「も~エタ、またそんなこと言って」
あれから僕とルドは、エタを、元いた孤児院に帰すか、もしくは、他の施設に送り届けるかを話し合った。しかし、エタ本人が、僕たちと旅をすることを望んだため、こうして、三人パーティで冒険者登録をして、世界中を旅している。
ルドの言った通り、エタは、一年もしないうちに僕の身長を追い越してしまった。相変わらず、大きな瞳をしているが、幼さは消え、すっかり大人の男性になってしまった。成長したエタは、ことあるごとに、僕に『結婚して』と言うようになった。この感じ、ちょっとハインツさんを思い出す。だけど、彼の名前を出すと、二人とも不機嫌になるので、なるべく彼の名前は出さないようにしている。
僕は今年二十歳になるが、これもルドの言った通り、まったく身体的な成長の兆しがない。今では、三人の中で一番背が低く、一番の年少者に見える。実際僕が一番年下だったんだけど、なんかちょっと悔しい。
ルドも相変わらず、アホみたいな強さで、この旅で大いに活躍してくれている。ただ、僕もあの頃のままというわけではなく、今では、上級回復魔法と、上級光魔法を使えるようになっていた。それに、いざというときには歌姫の力もある。当時みたいに、実力不足の自分に落ち込むことも、少しずつなくなってきていた。まぁ、ルドもエタも魔族だから、魔法の実力でも、全然適わないんだけどね。それでも、自分を卑下することなく、ルドと肩を並べて旅できるようになったことは、すごい進歩だと思う。
実は、僕が前世の記憶を持っていることを、二人に打ち明けたのは、つい最近だった。当時は、暗殺者から身を隠すために、世界中を旅していたが、僕の転生した目的を話すと、二人とも、一緒に父を捜してくれると言ってくれたのだ。
ライデンシャウト王国は、リヒトリーベ王国からはかなり離れた位置にあるので、ここに前世の父親がいる可能性は低いのだが、この世界をもっとよく知りたいという僕とエタの希望で、こうして、旅をしながら世界中を飛び回っているのだ。
そして、僕はたまに、歌を歌うことも続けていた。歌うことが純粋に好きだったし、何事にも自信を持てなかったあの頃の自分が、唯一、人に喜んでもらえると思えたことだったので、初心を忘れないためにというのが一つ目の理由だ。もう一つの理由は、ハインツさんだ。歌姫の力を知るきっかけになったのはハインツさんで、結果的に、その力を利用しようとしていたのだとしても、一番先に僕の歌を褒めてくれたのは彼だったから、だから、また彼に会えることを祈って、僕は歌を続けている。
ちなみに、歌を歌うと生命力を消費するので、その後、いつもルドが生命力を分け与えてくれる。そのときに、堂々と抱きしめてもらえるというのは、三つ目の理由だったりする。内緒だけどね。
目の前には、大きな海が広がっている。僕は、遥か海の向こう側にある、故郷のリヒトリーベに想いを馳せた。今、リヒトリーベは、兄のルシャードが王位についていた。実の父を弑逆して得た玉座だったが、ルシャード殿下は善王だったようだ。あ、今は陛下と呼ばないとだね。とにかく、国民から不満が出ることもなく、むしろ、ディアーク王時代よりも、国は豊かになっているようだった。たまに、あの、継承権を剥奪されたときのルシャード陛下の顔を思い出すけれど、今、彼が幸せなら、僕も嬉しい。
このまま旅をしていれば、いつか、ハインツさんやルシャード陛下とも、笑って再会できる日がこないだろうか。そうなるといいなと思っている。
「ウィル、エタ、そろそろ出発するぞ」
「うん、今行く!」
冒険者ギルドに、依頼達成の報告に行っていたルドが戻って来た。しばらくは、このライデンシャウト王国に滞在するつもりだ。
「昨日の歌の疲れは残っていないか?」
「え――」
突然、ルドが僕の腰を引き寄せた。僕の身体を気遣って、生命力の共有をしようとしてくれているのだ。
「う、うん、ルドがいつもこうしてくれるおかげで、元気だよ……」
僕が死にかけたときに、ルドがその生命力を分けて助けてくれてからというもの、日毎にスキンシップが増えていっている気がする。僕は嬉しいから、何も言わずに身を任せてるんだけど……。
「あーーーー! またルドがウィルを独り占めしてる! そうはさせないんだから!」
「ひゃぁ!!」
エタはエタで、僕とルドがくっついているのを見ると、必ず僕たちの身体の間に、無理やり入り込んでくる。今では僕よりもずっと大きい身体だけど、やっぱり可愛いと思ってしまう。前世では、こんなふうに、好きな人たちと笑い合って、毎日を過ごす日々が来るなんて想像もしていなかった。
「もうエタ~! これはただくっついてるわけじゃないっていつも言ってるよね!」
「ルドに生命力の共有ができるなら、ボクにだってできるはずなのに!」
「お前と俺では、魔族としての格が違うんだ」
「はぁ~!? お爺ちゃんが何言ってるのさ! ボクの方がウィルと仲良しなんだから! 年寄りは引っ込んでてよね!」
「なんだと、もう一回言ってみろ!」
三人でじゃれ合いながら、南国の眩しい陽射しの下を歩く。今日もまた歌を歌おうか。明日は何をしようか。まだまだ旅は始まったばかりだ。
ルドとエタは魔族で、僕の身体には、一ノ瀬優と歌姫の力を持つ妖精の命が宿っているかもしれないんだ。
どうしよう。僕が、前世の記憶を持っていることとか、転生した目的があることとかを、ルドに話すなら今かもしれない。
「ルド――」
「身体の調子は大丈夫か?」
「え?」
意を決して、転生したことを告白しようとしたところで、少し間をあけて横に並んでいたルドが、身体をくっつけてきた。
「歌姫の再生の力は、自分の生命力を代償にすると言っただろう? もしウィルがまだ辛いようなら、いくらでも俺のを渡すから言ってくれ」
「え、う、うん。ありがとう……」
どうしよう。すごく嬉しい。ルドへの気持ちを自覚してからというもの、彼の一挙手一投足に、心臓が暴れだしてしまう。
本当は、体調は全然よかったんだけど、ただルドとくっつきたかったから、お言葉に甘えて、僕も、ルドに身体を寄せた。すると、ルドは、僕の肩を抱き、もっと身体を密着させてきた。
ななななななななななんなのこれ!? もう心臓がもたないんだけど!!!!
おかしい。自分で言うのもなんだが、前世では、プレイボーイだったのに。こんな、ただ肩を抱かれたくらいで、どうしてこんなにドキドキするんだ!?
「どうだ? 良くなってきたか?」
「ウ、ウン! ヨクナッテキタトオモウ」
あまりの密着具合に緊張してしまって、返事も片言になってしまった。
「ウィル? 本当か? 身体が熱い。熱でもあるんじゃ――」
そう言うと、ルドは顔を覗き込んできた。ひーーーー!! そんなふうに至近距離で見つめられると、恥ずかしくてたまらない。
「あーーーーーーー!!!! ルドずるい! またチューしようとしてるーーーー!! ボクもしたい!!!」
「な――!?」
さっきまで寝ていたエタが、起きてしまったようだ。僕たちの方を見て、泣き叫んでいる。どうしたのかな? もしかして寝ぼけてる? エタの言っていることが理解できなくて、ルドの顔を見るが、なにやら慌てふためいている様子だ。
「ルドのバカバカバカ!!! ボクが寝ている隙にまたチューしようとするなんて、ズルイズルイズルイ!!!」
「だ、黙れ! お前はもう寝ろ!」
エタの謎の発言に首を傾げていると、ルドがパチンと指を鳴らした。
「すやぁ――――」
ルドが指を鳴らした瞬間、寝ぼけて騒いでいたエタが、また突然、ベッドに沈み込んだ。もしかして、今、エタに魔法をかけなかった?
「ルド、もしかして今、エタに……」
「うっ、気のせいだ。エタも寝ぼけていたんだろう」
怪しい。目が泳いでいる。魔族の記憶を取り戻したことで、バリバリ魔法を使えるようになったと推測する! 間違いない! 絶対今、エタに魔法をかけて、無理やり眠らせたんだ!
ただ、こんなに慌てるルドは珍しくて、ちょっと可愛いと思ってしまった。五十三歳の男性に、可愛いは失礼だろうか。それにしても、エタが言っていた、『マタチュー』とはなんだろう。
「ねぇルド? 『マタチュー』って何?」
「は?」
「今エタが言っていた、『マタチュー』しようとしてたって……エタが駄々をこねるほど面白いことなの?」
「う……ウィルは何も知らなくていい!」
「そんな! 教えてくれたっていいじゃないか! ルドとエタだけ知っていて、僕だけ知らないなんてずるい!」
「ウィルまでエタ化するんじゃない!」
「ずるい! 教えてよ! 『マタチュー』って何なの!?」
「何でもない! もう寝るぞ!」
「教えてよ~! ねえ! 教えてってば!」
歌姫の力を使い果たして死んでしまったと思ったのに、こうやってまたルドと話すことができて、僕はなんて幸せなんだろう。たとえ前世の父を見つけられなくて、次に死んだときに地獄に落ちたとしても、この世界で、ルドに会えたってことだけで、転生して良かったと思える。
できるだけ長くルドと一緒にいられるよう、これからももっともっと精進しよう。そしていつか、ルドが心から信頼してくれるような人間になりたい。
***
――――三年後。
僕とルドとエタの三人は、リヒトリーベ王国の遥か南にあるライデンシャウト王国にいた。
あの日、エルフの里で歌姫の力を使い、一度死にかけた僕は、ルドが、生命力を共有してくれたことで、一命を取りとめた。
次の日、もう一度、エルフの里の入り口があった場所に行ってみたけれど、再び里に入ることはできなかった。きっと、エルフ族が僕らを迎え入れる意思がない限り、もう二度とあの里に入ることはできないだろう。
「ウィル! ボクと結婚して!」
「も~エタ、またそんなこと言って」
あれから僕とルドは、エタを、元いた孤児院に帰すか、もしくは、他の施設に送り届けるかを話し合った。しかし、エタ本人が、僕たちと旅をすることを望んだため、こうして、三人パーティで冒険者登録をして、世界中を旅している。
ルドの言った通り、エタは、一年もしないうちに僕の身長を追い越してしまった。相変わらず、大きな瞳をしているが、幼さは消え、すっかり大人の男性になってしまった。成長したエタは、ことあるごとに、僕に『結婚して』と言うようになった。この感じ、ちょっとハインツさんを思い出す。だけど、彼の名前を出すと、二人とも不機嫌になるので、なるべく彼の名前は出さないようにしている。
僕は今年二十歳になるが、これもルドの言った通り、まったく身体的な成長の兆しがない。今では、三人の中で一番背が低く、一番の年少者に見える。実際僕が一番年下だったんだけど、なんかちょっと悔しい。
ルドも相変わらず、アホみたいな強さで、この旅で大いに活躍してくれている。ただ、僕もあの頃のままというわけではなく、今では、上級回復魔法と、上級光魔法を使えるようになっていた。それに、いざというときには歌姫の力もある。当時みたいに、実力不足の自分に落ち込むことも、少しずつなくなってきていた。まぁ、ルドもエタも魔族だから、魔法の実力でも、全然適わないんだけどね。それでも、自分を卑下することなく、ルドと肩を並べて旅できるようになったことは、すごい進歩だと思う。
実は、僕が前世の記憶を持っていることを、二人に打ち明けたのは、つい最近だった。当時は、暗殺者から身を隠すために、世界中を旅していたが、僕の転生した目的を話すと、二人とも、一緒に父を捜してくれると言ってくれたのだ。
ライデンシャウト王国は、リヒトリーベ王国からはかなり離れた位置にあるので、ここに前世の父親がいる可能性は低いのだが、この世界をもっとよく知りたいという僕とエタの希望で、こうして、旅をしながら世界中を飛び回っているのだ。
そして、僕はたまに、歌を歌うことも続けていた。歌うことが純粋に好きだったし、何事にも自信を持てなかったあの頃の自分が、唯一、人に喜んでもらえると思えたことだったので、初心を忘れないためにというのが一つ目の理由だ。もう一つの理由は、ハインツさんだ。歌姫の力を知るきっかけになったのはハインツさんで、結果的に、その力を利用しようとしていたのだとしても、一番先に僕の歌を褒めてくれたのは彼だったから、だから、また彼に会えることを祈って、僕は歌を続けている。
ちなみに、歌を歌うと生命力を消費するので、その後、いつもルドが生命力を分け与えてくれる。そのときに、堂々と抱きしめてもらえるというのは、三つ目の理由だったりする。内緒だけどね。
目の前には、大きな海が広がっている。僕は、遥か海の向こう側にある、故郷のリヒトリーベに想いを馳せた。今、リヒトリーベは、兄のルシャードが王位についていた。実の父を弑逆して得た玉座だったが、ルシャード殿下は善王だったようだ。あ、今は陛下と呼ばないとだね。とにかく、国民から不満が出ることもなく、むしろ、ディアーク王時代よりも、国は豊かになっているようだった。たまに、あの、継承権を剥奪されたときのルシャード陛下の顔を思い出すけれど、今、彼が幸せなら、僕も嬉しい。
このまま旅をしていれば、いつか、ハインツさんやルシャード陛下とも、笑って再会できる日がこないだろうか。そうなるといいなと思っている。
「ウィル、エタ、そろそろ出発するぞ」
「うん、今行く!」
冒険者ギルドに、依頼達成の報告に行っていたルドが戻って来た。しばらくは、このライデンシャウト王国に滞在するつもりだ。
「昨日の歌の疲れは残っていないか?」
「え――」
突然、ルドが僕の腰を引き寄せた。僕の身体を気遣って、生命力の共有をしようとしてくれているのだ。
「う、うん、ルドがいつもこうしてくれるおかげで、元気だよ……」
僕が死にかけたときに、ルドがその生命力を分けて助けてくれてからというもの、日毎にスキンシップが増えていっている気がする。僕は嬉しいから、何も言わずに身を任せてるんだけど……。
「あーーーー! またルドがウィルを独り占めしてる! そうはさせないんだから!」
「ひゃぁ!!」
エタはエタで、僕とルドがくっついているのを見ると、必ず僕たちの身体の間に、無理やり入り込んでくる。今では僕よりもずっと大きい身体だけど、やっぱり可愛いと思ってしまう。前世では、こんなふうに、好きな人たちと笑い合って、毎日を過ごす日々が来るなんて想像もしていなかった。
「もうエタ~! これはただくっついてるわけじゃないっていつも言ってるよね!」
「ルドに生命力の共有ができるなら、ボクにだってできるはずなのに!」
「お前と俺では、魔族としての格が違うんだ」
「はぁ~!? お爺ちゃんが何言ってるのさ! ボクの方がウィルと仲良しなんだから! 年寄りは引っ込んでてよね!」
「なんだと、もう一回言ってみろ!」
三人でじゃれ合いながら、南国の眩しい陽射しの下を歩く。今日もまた歌を歌おうか。明日は何をしようか。まだまだ旅は始まったばかりだ。
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