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第一話 異母妹は悪役令嬢である
02-4.
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なぜ、あの子が恥ずかしい思いをしなくてはならないのだ。
なぜ、あの子はみっともない姿を晒すのだ。
言いたいことはたくさんある。
この場の雰囲気を搔き乱して問いかけたいことは山のようにある。
それなのになぜだろう。
身体が動かない。自由が利かない。声さえもでない。
ただ、見ていることだけしかできなかった。
「どうして、だって? お前という奴はエイダになにをしたのか分かっていないと言うのか! 数々の嫌がらせを覚えていないとは言わせないぞ!」
皇太子殿下の言葉には根拠はない。
それを知っているのにアリアを庇う言葉が声にならない。
「いいえ。誤解ですわ。ローレンス様。すべて、誤解なのですわ。わたくしは、その女が、卑しくもわたくしの婚約者であるローレンス様に媚を売るような真似をするから、だから、それは卑しく最低な行いなのだと教えただけですの!」
アリアの必死な言葉をまともに聞く者はいない。
「言い訳をしても無駄だ。お前の罪状は分かり切っていることだ! 今も皇太子である私の婚約者を騙り、次期皇妃となるエイダを貶めようとしているではないか!」
「ローレンス様の婚約者はわたくしですわ!」
「忌々しいことを口にするな!!」
皇太子殿下は聞く耳を持たない様子だった。
話の流れを聞く限りではあったが、大体の流れは読めた。
それこそ、娯楽小説の悪役令嬢のような展開である。実に分かりやすいものだ。
正式に皇太子殿下の婚約者であったあの子を捨て、“聖女”エイダ嬢を選んだのだ。本来の手続きも踏まずにそのような暴挙ができるのは、皇后陛下の子が殿下だけだからだろう。
「婚約破棄をすると告げただろう」
だからといって三大公爵家の一角であるスプリングフィールド公爵家の令嬢を一方的に婚約破棄するというのは、おかしな話である。
「私の婚約者は恋人のエイダだけだ。勘違いをするな」
そのような真似は通じない。
そのようなことが許されるほどの権力は皇太子殿下にはない。
「もちろん、婚約者を騙るのは重罪だとわかっているのだろうな?」
しかし、金縛りにあったかのように身体は動かない。
身体の自由を奪う魔法でもかけられたのだろうか。
なぜ、あの子はみっともない姿を晒すのだ。
言いたいことはたくさんある。
この場の雰囲気を搔き乱して問いかけたいことは山のようにある。
それなのになぜだろう。
身体が動かない。自由が利かない。声さえもでない。
ただ、見ていることだけしかできなかった。
「どうして、だって? お前という奴はエイダになにをしたのか分かっていないと言うのか! 数々の嫌がらせを覚えていないとは言わせないぞ!」
皇太子殿下の言葉には根拠はない。
それを知っているのにアリアを庇う言葉が声にならない。
「いいえ。誤解ですわ。ローレンス様。すべて、誤解なのですわ。わたくしは、その女が、卑しくもわたくしの婚約者であるローレンス様に媚を売るような真似をするから、だから、それは卑しく最低な行いなのだと教えただけですの!」
アリアの必死な言葉をまともに聞く者はいない。
「言い訳をしても無駄だ。お前の罪状は分かり切っていることだ! 今も皇太子である私の婚約者を騙り、次期皇妃となるエイダを貶めようとしているではないか!」
「ローレンス様の婚約者はわたくしですわ!」
「忌々しいことを口にするな!!」
皇太子殿下は聞く耳を持たない様子だった。
話の流れを聞く限りではあったが、大体の流れは読めた。
それこそ、娯楽小説の悪役令嬢のような展開である。実に分かりやすいものだ。
正式に皇太子殿下の婚約者であったあの子を捨て、“聖女”エイダ嬢を選んだのだ。本来の手続きも踏まずにそのような暴挙ができるのは、皇后陛下の子が殿下だけだからだろう。
「婚約破棄をすると告げただろう」
だからといって三大公爵家の一角であるスプリングフィールド公爵家の令嬢を一方的に婚約破棄するというのは、おかしな話である。
「私の婚約者は恋人のエイダだけだ。勘違いをするな」
そのような真似は通じない。
そのようなことが許されるほどの権力は皇太子殿下にはない。
「もちろん、婚約者を騙るのは重罪だとわかっているのだろうな?」
しかし、金縛りにあったかのように身体は動かない。
身体の自由を奪う魔法でもかけられたのだろうか。
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