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第一話 墓参りは姉弟の縁を結び直す
03-11.
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「あたしが知ってるよ」
「ばあちゃん連れて毎回来るわけにはいかないじゃん」
「あたしは毎日でも暇をしてるけどねえ」
のんきにお茶を飲んでいる美香子に対し、伊織は何も言わなかった。
……好都合か。
春日に相談をした縁を結んだ件は解決をしていない。
綻びた縁はいつ切れてもおかしくはない。血縁関係がなければ、結ぶことさえも難しかっただろう。
……傍にいれば何か変わるかもしれない。
美香子に残された寿命は短い。
それを引き延ばす方法を探る為には、いつでも駆け付けられる立ち位置にいる必要がある。
「俺は学校があるんだって! ばあちゃんと違うんだよ!」
優斗は大声を出しても、美香子に手を出すことはしない。
耳が遠くなりつつある美香子に対して、声を大きくする癖がついているのだろう。
「坊や」
伊織は優斗の頭から手を離した。
「近い内に若葉に連絡をさせる。返事はその後でも構わない」
伊織はのんきに休憩をしている若葉を手招きした。
面倒事を押し付けられると言わんばかりの顔をした若葉ではあったものの、渋々と言いたげな動作で立ち上がり、早足で近づいてくる。
「うわっ」
優斗は明らかに引いたような声を上げた。
「なに、こいつ。緑なんだけど!?」
驚くのは仕方がないことだろう。
若葉は河童だ。
変化をしても上手く隠すことができない頭上の皿と甲羅はともかく、普段は人の色に近づけている肌の色をわざと本来の緑色に戻してから接近してきたのだ。
「うわー。とっても不味そうな人間の坊やですねー」
若葉の眼は笑っていなかった。
隙を見つければ追い返すつもりだろう。
「角も牙もないですし、爪も尖ってないですし。生意気なだけの人間なんて役に立ちませんよ?」
若葉は優斗を値踏みするかのように全身を見回す。
「ばあちゃん連れて毎回来るわけにはいかないじゃん」
「あたしは毎日でも暇をしてるけどねえ」
のんきにお茶を飲んでいる美香子に対し、伊織は何も言わなかった。
……好都合か。
春日に相談をした縁を結んだ件は解決をしていない。
綻びた縁はいつ切れてもおかしくはない。血縁関係がなければ、結ぶことさえも難しかっただろう。
……傍にいれば何か変わるかもしれない。
美香子に残された寿命は短い。
それを引き延ばす方法を探る為には、いつでも駆け付けられる立ち位置にいる必要がある。
「俺は学校があるんだって! ばあちゃんと違うんだよ!」
優斗は大声を出しても、美香子に手を出すことはしない。
耳が遠くなりつつある美香子に対して、声を大きくする癖がついているのだろう。
「坊や」
伊織は優斗の頭から手を離した。
「近い内に若葉に連絡をさせる。返事はその後でも構わない」
伊織はのんきに休憩をしている若葉を手招きした。
面倒事を押し付けられると言わんばかりの顔をした若葉ではあったものの、渋々と言いたげな動作で立ち上がり、早足で近づいてくる。
「うわっ」
優斗は明らかに引いたような声を上げた。
「なに、こいつ。緑なんだけど!?」
驚くのは仕方がないことだろう。
若葉は河童だ。
変化をしても上手く隠すことができない頭上の皿と甲羅はともかく、普段は人の色に近づけている肌の色をわざと本来の緑色に戻してから接近してきたのだ。
「うわー。とっても不味そうな人間の坊やですねー」
若葉の眼は笑っていなかった。
隙を見つければ追い返すつもりだろう。
「角も牙もないですし、爪も尖ってないですし。生意気なだけの人間なんて役に立ちませんよ?」
若葉は優斗を値踏みするかのように全身を見回す。
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