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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
04-20.
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……頭の部品をどこかで落としたのか?
ブラッドはアルバートの機嫌が良くなった理由がわからなかった。
「ブラッド」
「なんだよ。おい、ニヤニヤしてるんじゃねえよ。だらしない顔をやめろ」
「すまない。愛おしいと思っていたのが顔に出たようだ」
アルバートは謝る気もなければ、表情を引き締めるつもりもなかった。
「愛している。ブラッド」
アルバートは口癖のように愛の言葉を口にする。
……恥ずかしいやつ。
ブラッドは顔を背けた。
真っ赤に染まった顔を見られたくなかったからだ。耳まで赤くなっていることに気づかず、ブラッドは不機嫌そうな顔のまま、廊下を歩く。
「照れているのか? 可愛いな」
「うるせえな。くだらねえことを言ってんじゃねえよ」
「大切なことだろう。素直になるのもいいと思うが?」
アルバートはブラッドの反応を楽しんでいる。
いつもならば、煽るような言葉を口にするのはブラッドだが、立場が逆転したような言葉を投げかけられてブラッドの機嫌は急降下している。
それでも、繋がれた手は離さない。
拒絶する言葉も口にしない。
「うるせえな」
ブラッドは悪態を吐く。
「甘い言葉の一つでも吐くなら、使用人の教育を見直せ。部屋に持って来いと言ったのに。あいつら、主人の命令に逆らっていいと思ってんじゃねえのか」
ブラッドは文句を口にする。
部屋に持ってくるようにと指示をしたのにもかかわらず、軽食は準備されていなかった。その理由を問いかける為に廊下を歩いているのだ。
目的地の食堂に向かえば、準備はされているだろう。
「寝室に入るなと命じたからではないか?」
アルバートは当然のように言った。
「はぁ? 掃除はしてるじゃねえか。それなら、入るなって命じても、入っていると同じだろ? なにを意味のわからない指示を出してるんだよ」
ブラッドにはその命令を出した真意が理解できない。
仕事の為、第二騎士団に滞在している間に寝室の掃除は徹底的にされている。それはブラッドの個人用に与えられている部屋も同じだ。滅多に使われないと知りながらも、掃除だけはされていた。
ブラッドはアルバートの機嫌が良くなった理由がわからなかった。
「ブラッド」
「なんだよ。おい、ニヤニヤしてるんじゃねえよ。だらしない顔をやめろ」
「すまない。愛おしいと思っていたのが顔に出たようだ」
アルバートは謝る気もなければ、表情を引き締めるつもりもなかった。
「愛している。ブラッド」
アルバートは口癖のように愛の言葉を口にする。
……恥ずかしいやつ。
ブラッドは顔を背けた。
真っ赤に染まった顔を見られたくなかったからだ。耳まで赤くなっていることに気づかず、ブラッドは不機嫌そうな顔のまま、廊下を歩く。
「照れているのか? 可愛いな」
「うるせえな。くだらねえことを言ってんじゃねえよ」
「大切なことだろう。素直になるのもいいと思うが?」
アルバートはブラッドの反応を楽しんでいる。
いつもならば、煽るような言葉を口にするのはブラッドだが、立場が逆転したような言葉を投げかけられてブラッドの機嫌は急降下している。
それでも、繋がれた手は離さない。
拒絶する言葉も口にしない。
「うるせえな」
ブラッドは悪態を吐く。
「甘い言葉の一つでも吐くなら、使用人の教育を見直せ。部屋に持って来いと言ったのに。あいつら、主人の命令に逆らっていいと思ってんじゃねえのか」
ブラッドは文句を口にする。
部屋に持ってくるようにと指示をしたのにもかかわらず、軽食は準備されていなかった。その理由を問いかける為に廊下を歩いているのだ。
目的地の食堂に向かえば、準備はされているだろう。
「寝室に入るなと命じたからではないか?」
アルバートは当然のように言った。
「はぁ? 掃除はしてるじゃねえか。それなら、入るなって命じても、入っていると同じだろ? なにを意味のわからない指示を出してるんだよ」
ブラッドにはその命令を出した真意が理解できない。
仕事の為、第二騎士団に滞在している間に寝室の掃除は徹底的にされている。それはブラッドの個人用に与えられている部屋も同じだ。滅多に使われないと知りながらも、掃除だけはされていた。
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