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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
04-2.
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「あー。くそっ、腰が痛い!」
悪態を吐く。
ブラッドの声を聞きつけ、わざとらしく扉を叩く者はいない。
……様子を伺っているのか?
扉の向こう側へ、意識を向ける。
危険に晒される任務に駆り出されることも少ない第二騎士団の副団長を任されているのは、決して、家柄ではない。伯爵家の次男という立場を利用したものではない。
ブラッドが実力で手に入れた立場だ。
それを揺らがす者は誰であっても容赦しない。
……アルバートじゃない。
アルバートの気配はわかりやすい。
それはブラッドが思っているだけであり、他人からすればアルバートは感情の起伏も少なく、気配もわかりづらいのだが、他人の評価に耳を貸したことはなかった。
ブラッドが信じるのは、自分の目で見たものばかりだ。
家族や親しい友人であったとしても、真実だけを口にするわけではないということを痛いほどに知っている。
「気分がわりぃなぁ」
悲鳴を上げる体に鞭を打ち付ける気持ちで、上半身を起こす。
そこから勢いよくベッドから足を下ろし、そのまま、立ち上がる。
「あー。くそ。腰が痛い」
ブラッドは自身の腰を摩る。
……女性の痛みはこういう感じなんだろうか。
毎月、ベッドから這い出ることさえも困難になっていた母親を思い出す。その痛みは男性であるブラッドには理解できないものではあったが、軽視してはならないものだと幼い頃から言い聞かされてきた。
……その何倍、いや、何十倍の痛みだったか。
個人差はあるということを知っている。
しかし、母親から嫌になるほどに聞かされてきた出産の痛みについての話を思い出してしまう。生命の神秘というものは素晴らしい。しかし、そこに至る過程がブラッドには最大の難関であると思わざるを得なかった。
「さっきから誰だ。侯爵家の使用人は主人の許可もなく、部屋の前に突っ立てるもんなのか?」
ブラッドは容赦なく扉を開けた。
その先にいたのは、可愛らしく着飾った個性的なメイドを着た女性だった。
悪態を吐く。
ブラッドの声を聞きつけ、わざとらしく扉を叩く者はいない。
……様子を伺っているのか?
扉の向こう側へ、意識を向ける。
危険に晒される任務に駆り出されることも少ない第二騎士団の副団長を任されているのは、決して、家柄ではない。伯爵家の次男という立場を利用したものではない。
ブラッドが実力で手に入れた立場だ。
それを揺らがす者は誰であっても容赦しない。
……アルバートじゃない。
アルバートの気配はわかりやすい。
それはブラッドが思っているだけであり、他人からすればアルバートは感情の起伏も少なく、気配もわかりづらいのだが、他人の評価に耳を貸したことはなかった。
ブラッドが信じるのは、自分の目で見たものばかりだ。
家族や親しい友人であったとしても、真実だけを口にするわけではないということを痛いほどに知っている。
「気分がわりぃなぁ」
悲鳴を上げる体に鞭を打ち付ける気持ちで、上半身を起こす。
そこから勢いよくベッドから足を下ろし、そのまま、立ち上がる。
「あー。くそ。腰が痛い」
ブラッドは自身の腰を摩る。
……女性の痛みはこういう感じなんだろうか。
毎月、ベッドから這い出ることさえも困難になっていた母親を思い出す。その痛みは男性であるブラッドには理解できないものではあったが、軽視してはならないものだと幼い頃から言い聞かされてきた。
……その何倍、いや、何十倍の痛みだったか。
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しかし、母親から嫌になるほどに聞かされてきた出産の痛みについての話を思い出してしまう。生命の神秘というものは素晴らしい。しかし、そこに至る過程がブラッドには最大の難関であると思わざるを得なかった。
「さっきから誰だ。侯爵家の使用人は主人の許可もなく、部屋の前に突っ立てるもんなのか?」
ブラッドは容赦なく扉を開けた。
その先にいたのは、可愛らしく着飾った個性的なメイドを着た女性だった。
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