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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
02-6.
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「我慢が出来たのか」
「うるさい。お前が頭を抑えつけるからだろ」
「そうでもしないと暴れるだろ」
アルバートの言葉に対し、ブラッドは舌打ちをする。
「キャロラインを酷い目に合わせた元凶だ!」
許せることではなかった。
二週間前にしたことを忘れたかのように振る舞うウォルトに対し、掴みかかり、事実を確認したい気持ちを抑え込むのが精いっぱいだ。
「それなのに――」
「わかった。落ち着け」
怒りが抑えきれないと言わんばかりのブラッドの額に軽い口付けをする。
「良い子だから」
アルバートの行動が想定外だったのだろうか。
ブラッドは目を見開いたまま、動きが止まっている。
「落ち着け」
アルバートは当然のように唇を合わせる。
唇同士が触れるだけのキスだ。相変わらず、目を見開いたままのブラッドの頬は真っ赤に染まる。
「落ち着いたか?」
触れていた時間は十秒にも満たない。
それだけで我慢をするかのようにアルバートはゆっくりと離れ、ブラッドに問いかける。
「……テメェ」
ブラッドは耳まで赤くなっていた。
それを隠すかのようにアルバートの胸倉を掴んだ。
「仕事中は止めろって言ったよな!?」
堂々と嫁発言をしたのにもかかわらず、同席していた騎士たちは動揺していない。
それは、事前にアルバートから聞かされていたからなのだろう。
それには気づいていたものの、ブラッドは半強制的に結婚をさせられた事実を隠すつもりでいた。
「恥ずかしいのか」
「そんなわけねえだろ! 仕事に影響のあるようなことはするんじゃねえって言ってんだよ!」
「なにも影響はないだろ」
アルバートは理解ができないと言いたげな顔をしていた。
「うるさい。お前が頭を抑えつけるからだろ」
「そうでもしないと暴れるだろ」
アルバートの言葉に対し、ブラッドは舌打ちをする。
「キャロラインを酷い目に合わせた元凶だ!」
許せることではなかった。
二週間前にしたことを忘れたかのように振る舞うウォルトに対し、掴みかかり、事実を確認したい気持ちを抑え込むのが精いっぱいだ。
「それなのに――」
「わかった。落ち着け」
怒りが抑えきれないと言わんばかりのブラッドの額に軽い口付けをする。
「良い子だから」
アルバートの行動が想定外だったのだろうか。
ブラッドは目を見開いたまま、動きが止まっている。
「落ち着け」
アルバートは当然のように唇を合わせる。
唇同士が触れるだけのキスだ。相変わらず、目を見開いたままのブラッドの頬は真っ赤に染まる。
「落ち着いたか?」
触れていた時間は十秒にも満たない。
それだけで我慢をするかのようにアルバートはゆっくりと離れ、ブラッドに問いかける。
「……テメェ」
ブラッドは耳まで赤くなっていた。
それを隠すかのようにアルバートの胸倉を掴んだ。
「仕事中は止めろって言ったよな!?」
堂々と嫁発言をしたのにもかかわらず、同席していた騎士たちは動揺していない。
それは、事前にアルバートから聞かされていたからなのだろう。
それには気づいていたものの、ブラッドは半強制的に結婚をさせられた事実を隠すつもりでいた。
「恥ずかしいのか」
「そんなわけねえだろ! 仕事に影響のあるようなことはするんじゃねえって言ってんだよ!」
「なにも影響はないだろ」
アルバートは理解ができないと言いたげな顔をしていた。
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