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プラネタリウムは密室(仮)ですか?

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「そして寝ている犯人から回収したストラップ付き観覧券は、他の観覧券と同じく籠に入れられる。そして入口の二重扉内に置かれたその籠は投映中に他のアテンダントにより回収されレジへと戻る。売られた観覧券は27枚で入場者は27人。そして総観覧者は28人で回収した観覧券も28枚だ」

ここまでの推理は尼寺の証言によって正解だと分かった。本題はここから。

「数字が間違っていたのはわかりました。侵入者がいたということも。でも根本的な問題解決になっていません。総観覧者が28人でも退場した人は27人でした。グループ単位で数えていたので間違いはありません。中の人はいつ減ったんですか?」

その疑問はもっともだ。さらに尼寺は捲し立てる。

「プラネタリウムの中に入る全ての扉には監視者がいました。入口は白い主任さん、裏口は後藤さん、出口は私――と後藤さん。出入り口は全て常に誰かの監視下にありました。そこからどうやって犯人は脱出したのですか。それとも他に隠された道があるのですか」

「いいやこのドームから出る道は三ヵ所しかない。その全ては監視されていた。だが、初歩的なことを我々は考えていなかった」

何ですか、とどちらの声かが暗闇の向こうから次の言葉を促す。


監視者が犯人なら自由に出入りできるだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」


再び疑いと驚きの声。

「謎解きの鍵となるのは『からす座』だ。さっき話した神話を覚えているか?」

デジタル投映機で星座絵を出す。

「ええ」

「嘘を吐いたからすが罰として磔にされる話だったよね」

それがこの事件とどういう関わりがあるのか、という二つの目線を受けながら話を続ける。

「元は白銀の羽を持っていたが神の怒りに触れ、黒く物言わぬ姿となる。どこか引っかかる話だと思ったんだ。普段は白いものが黒くなり暗闇で静かにしていれば誰にも気づかれまい、と」

夜空に貼り付けにされた物言わぬカラスは、南から西へと移ろいでいく。

「普段は白くて暗闇で黒く……」

「監視者が犯人という可能性……」

ここまで言えば察しがつくだろう。

「もしかして」

「まさか!」

さて犯人にご登場いただこう。

「投映中プラネタリウムに侵入し、消え去った犯人。闇夜に塗られし白銀のからすの正体は――」

タイミングはばっちり。

「カール主任。貴方です」

からす座が沈む西の空の下、次の投映の準備のため入口から入ってきた津和井主任白銀のからすを指さした。
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