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私の名前(仮)は何でしょう

α(アルファ)

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『星はすべてを教えてくれる。っともうこんな時間か』

――朝の開館時間までに星空探偵はもとの場所に戻らなければいけません――

『それではみなさん、また今夜。星空の下で謎解きを!』

――星空探偵が抱える質問箱は、この科学博物館の隅にひっそりと設置されています。皆さんも何か疑問があったら質問箱に手紙を出してみてください。夜のあいだに星空探偵が答えを見つけてくれますよ――


END


徐々に明るくなっていくプラネタリム内。誘導灯の点灯に合わせてマイクのスイッチを入れる。

「『星空探偵の大冒険』お楽しみいただけましたでしょうか。以上をもちまして番組投映を終了させていただきます。お忘れ物ございませんよう今一度、お座席をお確かめください。本日はご来館誠にありがとうございました。またのご来館をスタッフ一同心よりお待ちしております」

言い終わるが早いか、左手側の出口扉が開く。しばらく暗い場所にいたからか、あるいは眠りの世界にいたからか。客たちは目を擦りながら光漏れる出口を目指す。その中には声をかけてくれる人もいる。

いい声でした
勉強になる内容でした

その声に対し微笑みながら会釈する。
お客様が全員退場してBGMだけが響くプラネタリウムの中、皆が出ていった出口を閉めてこちらに向かってくる女性が一人。私の補助をしてくれていたアテンダントである。

早乙女さおとめさん。途中入退場および投映中に何かありましたか?」

「何もなかったよ~。後藤くん今日もいい声だったね。しゃべり方もクールというか。風の噂じゃあその声に”ほの字”な女の子も多いらしいよ~」

モテ男め、とアテンダントの早乙女さんがせっついてくる。

「いえ私はプラネタリアンの職務を全うしているだけです。ロマンチックなお話なのか科学的な解説なのか、お客様がどのような投影をお望みなのか判断しそれに合わせてBGM・照明・声・話し方などを少しばかり留意しているだけ。このプラネタリウムという空間が、満天の星々が人々に夢を見させるのでしょう」

「うんうん、仕事熱心で大変よろしい」

満足そうに頷いた彼女は、じゃあまたね~と手を振りプラネタリウムから出て行った。
さてそれでは私も休憩をとることにしよう。

プラネタリウムの照明を一旦落とし、はヘッドマイクを外す。

「腹減ったなあ。カップめんは残ってたかな」
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