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おまけ
おまけ 拾い物
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その日、山神は拾いものをした。
山神は置いておけず家へと持って帰る。
「お帰りなさいませ」
縁側で待っていただろうこらえが声をかけてくる。
「何故己が帰ってくるのがわかるんだ?」
「空気が変わります」
それから視線で抱き抱えている赤子に視線を送る。
しばらく眺めてから告げる一言。
「どこで浮気して作ってきたんですか?」
優しい微笑みに冗談で言っているのはすぐに理解できる。
「拾った」
一言告げて渡せば、嬉しそうに抱き上げる。
昔良く見た光景。
大きくなった我が子を思い出す。
「あまり情を移すなよ」
「何処かにお渡しになるんですか?」
「人の子だからな。縁の神様に頼んで適当なところに置いてくる」
そうですかと寂しそうな姿。
一瞬引き取ろうかと悩んでからすぐ、顔の傷を思い出す。
薄まったとはいえ、まだ完全ではない。
そんな状況で育てるのは心が保たない。
詞の神が乳児用品を入れた籠を持ってやってくる。
我が子に使っていたものは既に人の手に渡っている。
少し前まで子育てをしていた、川神から預かったらしい。
楽しそうに赤子に構う彼の嫁。
そしてこらえの注意を受けながら子供に接している詞の神の下へ修行に来ている川神の子。
詞の神に浮気ですかと楽しそうに言われて、睨んでおく。
「らーちゃーん。赤ちゃんいるって聞いたんだけど」
はしゃいでやってくる祓の神である我が子。
「父様が浮気した子ってホント!その場合って兄妹になるの?」
縁側から走ってきた我が子に、貴様もか。と拳骨を落として、黙らせる。
我が子の叫び声に赤子がぐずり始める。
色々と説明をしてからようやく赤子を見る。
「浮気相手の子でも一応兄弟になりますよ」
赤子をあやしながらこらえは告げる。
「親どうした?」
川神の子が赤子に触れる。
「そっか。ゆーかい?されたんだな」
等と喋る川神の子に、ああいうことできるんですか?と詞の神が見てくる。
「子の間に稀にそういう能力がある子も少なくない。大人になってから過去視するのも少なくないしな」
あそこの嫁は特殊だからと告げる。
風の気配に見上げれば風神が現れる。
「おぉ。山の。浮気か」
どいつもこいつもと吐き捨てれば風神が苦笑して謝ってくる。
「しょうがないだろ。お前ら相変わらず仲良すぎるもん。第二子とか普通に生まれそうだ」
「兄妹できるの」
嬉しそうな我が子の頭を撫でる。
そんな話は今のところない。
「兄弟ほしいのか?」
「楽しそう」
嬉しそうな我が子に左様かと流す。
生まれたら教えてやると頭を乱暴に撫で回す。
そして父様はらーちゃんに甘いとぶつくさ言っている。
甘いわけではない。
と山神は否定しておく。
こらえは賑やかになっていくその場所を見て告げる。
「あなたはこのことを忘れるでしょうけれど、あなたはたくさんの神が見ています。あなたは独りではありません。神は何処かであなたを気にかけて応援してくれています。今は苦しいでしょうが、終のとき、幸せだった。と思える一生を送ってください」
祓の神は一つの結論に達したのか告げる。
「わかった。俺が育てて、俺の嫁にする」
「却下です。お父様の言うとおり人の世に返しなさい」
微笑むこらえに、だそうだ。と山神は我が子を止める。
その笑顔に祓の神はごめんなさいと謝る。
山神は置いておけず家へと持って帰る。
「お帰りなさいませ」
縁側で待っていただろうこらえが声をかけてくる。
「何故己が帰ってくるのがわかるんだ?」
「空気が変わります」
それから視線で抱き抱えている赤子に視線を送る。
しばらく眺めてから告げる一言。
「どこで浮気して作ってきたんですか?」
優しい微笑みに冗談で言っているのはすぐに理解できる。
「拾った」
一言告げて渡せば、嬉しそうに抱き上げる。
昔良く見た光景。
大きくなった我が子を思い出す。
「あまり情を移すなよ」
「何処かにお渡しになるんですか?」
「人の子だからな。縁の神様に頼んで適当なところに置いてくる」
そうですかと寂しそうな姿。
一瞬引き取ろうかと悩んでからすぐ、顔の傷を思い出す。
薄まったとはいえ、まだ完全ではない。
そんな状況で育てるのは心が保たない。
詞の神が乳児用品を入れた籠を持ってやってくる。
我が子に使っていたものは既に人の手に渡っている。
少し前まで子育てをしていた、川神から預かったらしい。
楽しそうに赤子に構う彼の嫁。
そしてこらえの注意を受けながら子供に接している詞の神の下へ修行に来ている川神の子。
詞の神に浮気ですかと楽しそうに言われて、睨んでおく。
「らーちゃーん。赤ちゃんいるって聞いたんだけど」
はしゃいでやってくる祓の神である我が子。
「父様が浮気した子ってホント!その場合って兄妹になるの?」
縁側から走ってきた我が子に、貴様もか。と拳骨を落として、黙らせる。
我が子の叫び声に赤子がぐずり始める。
色々と説明をしてからようやく赤子を見る。
「浮気相手の子でも一応兄弟になりますよ」
赤子をあやしながらこらえは告げる。
「親どうした?」
川神の子が赤子に触れる。
「そっか。ゆーかい?されたんだな」
等と喋る川神の子に、ああいうことできるんですか?と詞の神が見てくる。
「子の間に稀にそういう能力がある子も少なくない。大人になってから過去視するのも少なくないしな」
あそこの嫁は特殊だからと告げる。
風の気配に見上げれば風神が現れる。
「おぉ。山の。浮気か」
どいつもこいつもと吐き捨てれば風神が苦笑して謝ってくる。
「しょうがないだろ。お前ら相変わらず仲良すぎるもん。第二子とか普通に生まれそうだ」
「兄妹できるの」
嬉しそうな我が子の頭を撫でる。
そんな話は今のところない。
「兄弟ほしいのか?」
「楽しそう」
嬉しそうな我が子に左様かと流す。
生まれたら教えてやると頭を乱暴に撫で回す。
そして父様はらーちゃんに甘いとぶつくさ言っている。
甘いわけではない。
と山神は否定しておく。
こらえは賑やかになっていくその場所を見て告げる。
「あなたはこのことを忘れるでしょうけれど、あなたはたくさんの神が見ています。あなたは独りではありません。神は何処かであなたを気にかけて応援してくれています。今は苦しいでしょうが、終のとき、幸せだった。と思える一生を送ってください」
祓の神は一つの結論に達したのか告げる。
「わかった。俺が育てて、俺の嫁にする」
「却下です。お父様の言うとおり人の世に返しなさい」
微笑むこらえに、だそうだ。と山神は我が子を止める。
その笑顔に祓の神はごめんなさいと謝る。
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