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新しい神

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賑やかな声が響く家に詞の神は見上げて玄関を開ける。
「こんにちわ!」
ポチも吠えて挨拶。
生家がない自分にとってここは実家のようなもの。
時々土地について相談に来るたびにごちそうを用意してくれる大切な居場所の一つ。
そしてそんな自分を兄と慕ってくれるこの家の子。
「あ!こと兄ちゃああん。ポっちゃんも」
飛びついてくる幼子を抱きとめる。
薄緑とグレーの瞳の子供を抱き上げる。
手を伸ばし、体を伸ばすポチの頭を撫でている。
紹介されたときも、詞の神のお兄ちゃん。と紹介されてから繋がりなどないのに本当の兄のように慕ってくれる。
「また一際大きくなったな」
縁側に出れば息切れを起こして座り込んでいるこらえ・・・を見つける。
「大丈夫です?」
手を差し出せば、息を整えて立ち上がる。
「コトノハ。おかえりなさい。大好物の物を一杯用意したので楽しんでくださいね」
歓迎してくれる笑顔にはいと笑顔を返す。
「はい。ほら。神子様。着替えてかっこよくなりましょうね」
神子様と言われて思わず背筋が伸びる。
散々言われた名前であるからか、流石に大人になって呼ばれなくなった今でも思わず反応してしまう。
「えー。だってつまんないもん」
「新しい服着るんだろ。かっこいい服見たいなぁ」
詞の神の追い打ちにぱあと顔を明るくして着替えるとこらえ・・・を連れて部屋に戻っていく。
「来たか。詞の。それとポチも。息災か?」
背後からの声に振り返れば山神がいる。
先日会合で会ったばっかりだというのに懐かしそうに目を細める。
頭を撫でたそうにしてから下ろす。
流石に大人になった今、大神の加護がないため触れるのは禁止事項だろう。
少し寂しさを覚えつつも致し方ないと思うしかない。
「えぇ。山の神。相変わらずお子さんは元気ですね」
こらえ・・・を振り回してしまうほどにはな。まぁ、あれでも普段は気を使うんだが。お前の小さい頃にそっくりだな」
確かにどろんこにしたりとさんざん暴れた。
まさか一緒にされるとは思わず、本当に幼子同様我が子のように接してくれることが恥ずかしさよりも嬉しさが勝る。
部屋へと案内されれば既に風神と芽吹がいる。
本来ならばあまり関わりのない上の神々だがなんだかんだでお世話になってしまう。
「お早いですね」
「まぁなぁ。嫁は来たか?」
「全然。まだまだ先ですね」
苦笑しながら告げれば、がんばれよ。と声をかけてくる。
とりあえずと適当な場所に座る。
「お前たちはいやに早いな」
森神がのんびり入ってくる。
トウジが背後に控えていて森神の座った隣に座る。
こちらを見て笑い、そして今度の着物の柄何が合うだろうとつぶやき始めている。
「風神は速さが命だからな」
「それもそうだったな」
やれやれと呟く山神。
山神の背後の襖が開き、早くと幼子に引っ張られてこらえ・・・が出てくる。
「神子様」
「あれ、川神は?アカ君は」
「神子様、皆様が集まるまで時間がかかると申しましたよ」
「らーちゃん。せっかくアカ君に独楽がうまく回るようになったって自慢したかったのに」
不満そうにしながらも山神の膝の上に座る。
「ねー。父様。僕、いっぱい回るようになったもんね」
嬉しそうに頷き返す山神。
「あぁ」
こらえ・・・がため息をこぼす。
「なかなか大変そうだね」
トウジがそんな姿を見て苦笑する。
こらえ・・・は頷く。
「普段はいい子なんですよ。でも誰かが来るとはしゃいでしまうみたいですね」
こらえ・・・に対して山神の隣を示す幼子。
「らーちゃんはここ!」
「はい」
こらえ・・・は苦笑しながら座る。
「すいません、遅れてしまいました」
「ゴメーン。遅れたよ」
川神が海神とやってくる。
川神はしっかりとアカシを導いており、幼子を見ると囁く。
「あ、ミコさん?ミコさん。アカシが、来たよ」
「アカ君!いらっしゃーい」
満面の笑顔を向け、飛び出そうとして山神に止められる。
「神子様はアカシさんのこと好きですね」
「うん。お友達だもん!」
アカシの機嫌がいいのか満面の笑顔。
アカシとは一番の親友らしく、色々と競い合っている。
そのため、最近アカシも少しずつだが成長を感じずにはいられない。
川神は友達で留まってほしいと願ってから席まで案内。
「川のは嫁のことがあるからいいとして海の。お前はどうした」
「手土産に朝から素潜りしてたら時間過ぎちゃった」
「何時まで経っても戻ってこないと思ったら砂辺で昼寝してやがったんですよ。この神」
ミハルが怒りを耐えながら告げる。
「あ。手土産はこだまっちにお願いしたから」
「それは楽しみですね」
「えー。お魚?」
「アカはお魚食べれるようになったもんね」
不服そうな幼子にえっへんとアカシが胸を張る。
「えー!同士じゃなかったの!」
「アカは成長してるんだ」
こらえ・・・はそんな二人に微笑む。
確かに前と比べればだが、今の所五十歩百歩。
競うような二人にこらえ・・・は愛しいと眺める。
「さて」
山神の言葉に幼子が背筋を伸ばす。
恐る恐るこらえ・・・の顔色を窺う幼子だが微笑みに安堵している。
「そろそろ食事会を始めるか」
幼子は自ら膝の上から降りてこらえ・・・と山神の間に座る。
「えへへへ」
嬉しそうな幼子にこらえ・・・も微笑み返す。
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