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幼い神様
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幼子が泥にまみれまつつもポチと戯れる。
そんな姿を見たこらえは満足行くまで遊ばせてからお風呂へと担いでいく。
服と眷属を洗ってから自身の体を洗った幼子。
「全く」
「途中で止めてくれてもいいじゃん」
こらえとお湯に浸かっている幼子。
罰に幼子の拙い手で洗われた眷属は隅で猛省中。
お風呂ヤダという気持ちで一杯である。
「貴方が毎回泥汚れ土汚れを付けてくるので一番いい手段はないかと悩んでいた結果です」
「眷属がやってくれるじゃん」
「その眷属の大変さが少しはわかりましたか?」
「ふあい」
確かに汚れはなかなか落ちず、これでいいじゃんという幼子にこらえは許さず。
汚れるのを我慢していればと後悔した幼子。
「今、トウジさんが汚れてもいい服を用意してくれていますからそれまで我慢できますか?」
「汚れてもいい服?こらえさんの作務衣みたいなもの」
「えぇ。それなら洗い物が楽になりますよ」
その言葉に嬉しくなる。
「まぁ、それで汚しても眷属が洗ってくれますけども」
「程々にします。あ、でもそれ着たらこらえさんとなんか作ってもいいの?いっつも邪魔はだめだって止められるから」
「おや。何か作りたいのでもあるんですか?」
「うん!ポチに、あげたいの。たまに木の枝はむはむするから、ポチ用に」
こらえは頭を撫でる。
眷属がホントと起き上がり近づいてくる。
「いいですね。どんなのしましょうか」
「棒みたいなのがいいかな。それと玉みたいなの。取ってこいできるやつ」
ポチはそれいいですねと尻尾を振っている。
作務衣楽しみ!と手で作った水鉄砲をポチに向けて遊ぶ。
「山神も一緒に入ればいいのにね」
「山神様は、怪我を見られたくないそうですよ」
「えー。じゃあ、作務衣みたいなお風呂に入れる服作ってもらえばいいじゃん」
「それは、あなたから山神様へ進言すれば喜ばれますよ」
「ホント!」
「本人がいいと言うなら、貴方が作ってもいいかもしれませんね」
「やりたい!」
大喜びな幼子。
こらえは幼子の体を見る。
性的特徴のない体に、性別を選べると聞いたのを思い出し、だからないのかと納得する。
お風呂あがりに山神へ飛びつこうとして眷属が慌てて止める。
「首飾りをしてから抱きついてきなさい」
慌てて来ているこらえが首飾りを付けて、良しと山神は迎え入れる。
「お風呂場で話をしたんだけど」
先程の思いつきを話す間にこらえは呼吸を整えて水を飲んでいる。
「いや。いらぬよ」
「なんで!」
「己が風呂に入るのは穢れを落とすためだ。そのようなものを着るとそれが滞る可能性も否めん。一緒に風呂に入りたいのはわかるが、同時に入ったときに流れ落ちる穢れは子供のお前には毒だ。今とて大神の強大な加護と首飾りのおかげでなんとか触れるのだしな」
「そっかぁ」
プレゼントしたかったのにとしょんぼりしている。
「変わりに前掛けを作ってくれぬか?」
「前掛け?」
「あぁ。こらえと己とお前で料理をしたいのだ。そのときに使える前掛けを用意してくれると助かる」
「わかった!」
満面の笑顔で頷く。
何色がいいと笑う幼子。
「白が」
「汚れが目立つのでおすすめしませんよ」
こらえの言葉にしばし無言の山神。
「濃紺で」
「こらえさんは!」
「緑か淡い赤でしょうか」
なんでだろうかと悩む幼子。
それから山神を見て告げる。
「山神の色だ!」
こらえは柔らかく微笑むのみ。
そんな姿を見たこらえは満足行くまで遊ばせてからお風呂へと担いでいく。
服と眷属を洗ってから自身の体を洗った幼子。
「全く」
「途中で止めてくれてもいいじゃん」
こらえとお湯に浸かっている幼子。
罰に幼子の拙い手で洗われた眷属は隅で猛省中。
お風呂ヤダという気持ちで一杯である。
「貴方が毎回泥汚れ土汚れを付けてくるので一番いい手段はないかと悩んでいた結果です」
「眷属がやってくれるじゃん」
「その眷属の大変さが少しはわかりましたか?」
「ふあい」
確かに汚れはなかなか落ちず、これでいいじゃんという幼子にこらえは許さず。
汚れるのを我慢していればと後悔した幼子。
「今、トウジさんが汚れてもいい服を用意してくれていますからそれまで我慢できますか?」
「汚れてもいい服?こらえさんの作務衣みたいなもの」
「えぇ。それなら洗い物が楽になりますよ」
その言葉に嬉しくなる。
「まぁ、それで汚しても眷属が洗ってくれますけども」
「程々にします。あ、でもそれ着たらこらえさんとなんか作ってもいいの?いっつも邪魔はだめだって止められるから」
「おや。何か作りたいのでもあるんですか?」
「うん!ポチに、あげたいの。たまに木の枝はむはむするから、ポチ用に」
こらえは頭を撫でる。
眷属がホントと起き上がり近づいてくる。
「いいですね。どんなのしましょうか」
「棒みたいなのがいいかな。それと玉みたいなの。取ってこいできるやつ」
ポチはそれいいですねと尻尾を振っている。
作務衣楽しみ!と手で作った水鉄砲をポチに向けて遊ぶ。
「山神も一緒に入ればいいのにね」
「山神様は、怪我を見られたくないそうですよ」
「えー。じゃあ、作務衣みたいなお風呂に入れる服作ってもらえばいいじゃん」
「それは、あなたから山神様へ進言すれば喜ばれますよ」
「ホント!」
「本人がいいと言うなら、貴方が作ってもいいかもしれませんね」
「やりたい!」
大喜びな幼子。
こらえは幼子の体を見る。
性的特徴のない体に、性別を選べると聞いたのを思い出し、だからないのかと納得する。
お風呂あがりに山神へ飛びつこうとして眷属が慌てて止める。
「首飾りをしてから抱きついてきなさい」
慌てて来ているこらえが首飾りを付けて、良しと山神は迎え入れる。
「お風呂場で話をしたんだけど」
先程の思いつきを話す間にこらえは呼吸を整えて水を飲んでいる。
「いや。いらぬよ」
「なんで!」
「己が風呂に入るのは穢れを落とすためだ。そのようなものを着るとそれが滞る可能性も否めん。一緒に風呂に入りたいのはわかるが、同時に入ったときに流れ落ちる穢れは子供のお前には毒だ。今とて大神の強大な加護と首飾りのおかげでなんとか触れるのだしな」
「そっかぁ」
プレゼントしたかったのにとしょんぼりしている。
「変わりに前掛けを作ってくれぬか?」
「前掛け?」
「あぁ。こらえと己とお前で料理をしたいのだ。そのときに使える前掛けを用意してくれると助かる」
「わかった!」
満面の笑顔で頷く。
何色がいいと笑う幼子。
「白が」
「汚れが目立つのでおすすめしませんよ」
こらえの言葉にしばし無言の山神。
「濃紺で」
「こらえさんは!」
「緑か淡い赤でしょうか」
なんでだろうかと悩む幼子。
それから山神を見て告げる。
「山神の色だ!」
こらえは柔らかく微笑むのみ。
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