68 / 102
幼い神様
10
しおりを挟む
森神が嫁と遊びに来ている。
着物の絵付けをしてくれると言う。
嬉しくて、つい口にする。
「オレ、山神に関することがいい」
こらえや山神も新調するらしく模様について話し合う。
「なるほど。お揃いもいいですね」
話を聞いていたかと思うような返答にこらえを見る。
「僕や山神様と似通った絵柄になるということですよ。そういう絵柄になっていますので」
「あ、それいいね!ポチ」
どうでしょうね。と言わんばかりに耳と尻尾が動く。
「ポチ、っと」
トウジが告げて、不満げに尻尾を叩きつけたポチに気づき言い直す。
「仲が良いそちらの眷属の絵を入れてもいいですね」
「いいね!いいね」
きゃっきゃと楽しくなってはしゃぐ。
ポチもそれを聞いてのそりと近づいてくる。
「ポチは嫌いですか?」
こらえが眷属に聞き、当然だと言わんばかりに頷く。
そして木霊を見る。
「なんだよ。もっとかっこいい名前って。犬はポチだろ!」
「そういえばそうですね」
トウジも頷き、眷属はさらに不機嫌。
「ですがポチというのは遠い海の向こうの言語でもある聞きますよ」
「そう、なの?」
眷属も驚いたようにこらえを見る。
「小さいと意味もありますが、あくまでも一説です。ある種類が定まっていない犬のことや模様を持つ犬をブチと呼んでいたそうですが、聞き間違えてポチになったそうです」
「そうなんだ」
「僕としては神子様の小さな友だちであるという意味の印、というのも素敵かと思いますよ」
それはそれでいいかもしれないと思い始めている眷属。
「こうやって乗せられるのだよ」
「木霊の名前はどうしてサカシバなんだ」
森神が木霊を見る。
「僕が前に住んでた地域で榊は特別神に近しい植物だったんですよね。榊という名も神事のときしか呼べず、それ以外はサカシバと呼んでいました。見て呟いたのを聞いた父がサカシバって名前か。いいな。となりました」
「結構安直な名前だな」
「意味は後ほど父や姉とつけましたが、基本そんなものですよ」
知っていたのかと木霊を見れば頷く。
「私は逆に近い名前だったのですんなり受け入れました。変な名前をつけられて、呼ばれなくなるのは嫌でした」
呼ばれなくなると聞いた瞬間、眷属は不安そうに幼子を見る。
「なんだよ。あ、じゃあ、ポッテリーヌとか、タマはどうだ?え?ポチでいいの?」
ポッテリーヌと言われた瞬間の眷属の拒絶した顔にこらえは必死に笑いを耐える。
そんなこらえに木霊は珍しく溜め息をこぼす。
着物の絵付けをしてくれると言う。
嬉しくて、つい口にする。
「オレ、山神に関することがいい」
こらえや山神も新調するらしく模様について話し合う。
「なるほど。お揃いもいいですね」
話を聞いていたかと思うような返答にこらえを見る。
「僕や山神様と似通った絵柄になるということですよ。そういう絵柄になっていますので」
「あ、それいいね!ポチ」
どうでしょうね。と言わんばかりに耳と尻尾が動く。
「ポチ、っと」
トウジが告げて、不満げに尻尾を叩きつけたポチに気づき言い直す。
「仲が良いそちらの眷属の絵を入れてもいいですね」
「いいね!いいね」
きゃっきゃと楽しくなってはしゃぐ。
ポチもそれを聞いてのそりと近づいてくる。
「ポチは嫌いですか?」
こらえが眷属に聞き、当然だと言わんばかりに頷く。
そして木霊を見る。
「なんだよ。もっとかっこいい名前って。犬はポチだろ!」
「そういえばそうですね」
トウジも頷き、眷属はさらに不機嫌。
「ですがポチというのは遠い海の向こうの言語でもある聞きますよ」
「そう、なの?」
眷属も驚いたようにこらえを見る。
「小さいと意味もありますが、あくまでも一説です。ある種類が定まっていない犬のことや模様を持つ犬をブチと呼んでいたそうですが、聞き間違えてポチになったそうです」
「そうなんだ」
「僕としては神子様の小さな友だちであるという意味の印、というのも素敵かと思いますよ」
それはそれでいいかもしれないと思い始めている眷属。
「こうやって乗せられるのだよ」
「木霊の名前はどうしてサカシバなんだ」
森神が木霊を見る。
「僕が前に住んでた地域で榊は特別神に近しい植物だったんですよね。榊という名も神事のときしか呼べず、それ以外はサカシバと呼んでいました。見て呟いたのを聞いた父がサカシバって名前か。いいな。となりました」
「結構安直な名前だな」
「意味は後ほど父や姉とつけましたが、基本そんなものですよ」
知っていたのかと木霊を見れば頷く。
「私は逆に近い名前だったのですんなり受け入れました。変な名前をつけられて、呼ばれなくなるのは嫌でした」
呼ばれなくなると聞いた瞬間、眷属は不安そうに幼子を見る。
「なんだよ。あ、じゃあ、ポッテリーヌとか、タマはどうだ?え?ポチでいいの?」
ポッテリーヌと言われた瞬間の眷属の拒絶した顔にこらえは必死に笑いを耐える。
そんなこらえに木霊は珍しく溜め息をこぼす。
10
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?
たんたん
ファンタジー
講談社マンガ原作賞 大賞作品🏆✨ド定番を読み飽きた方にお勧め ⚠️R15作品⚠️
⚠️過激表現は付けていませんが、エロティックな結構きわどいシーンがチラホラある作品なので15歳以下の方は読まないでください。
15%の復讐劇、5%の笑い、10%のミステリー、70%のキュンキュン💖を詰め込みました。
【あらすじ】
結婚式当日に何者かに殺された主人公は、赤ちゃんになっていた。
早く大きくなって復讐したいと願っていた矢先に――
謎のコスプレ集団に誘拐されてしまう。
でも誘拐された先は主人公の知る普通の世界ではなく、魔法が存在する世界が広がっていた。
全寮制の魔法学園に強制入学させられてしまった主人公は、父からの「この学園は表向きは魔法使いを育てる学校で、本来の目的は……」というメッセージに頭を悩ます。
本来の目的を知ることも、学園から脱出することも出来ない。
そんな中で、愛や恋を知らない主人公が成長して行くお話です。
【登場人物】
・タチバナ・シエル
黒髪
黒目
可愛くて美人
復讐に燃える
学園最弱の魔力の持ち主
・カミヅキ・ディオン
白銀
切れ長の蒼い目
この世のものとは思えない程の美しい容姿の持ち主
人を簡単に殺しそう、というか既に殺してそう
シエルが一番会いたくない奴
・サオトメ・ロレンツォ
ふわっとしたアッシュブラウンの髪に、色素薄めの茶色い目
名家の一人息子
100年に1人の凄い魔力の持ち主
中性的で美しい美貌の持ち主で、学園のアイドル的存在
誰にでも優しい
・ジョウガサキ・アラン
突然転校してきた大阪弁の派手で女慣れしてるチャラいイケメン
元T大の医学部生
見た目とは想像できない程にIQが高く賢い
・今世のシエルの両親
優しく、たっぷりと愛情を与えてくれる親の鏡のような人達
異常な程にシエルの長生きを願う
本棚追加してもらえるとやる気がみなぎります🤗
表紙はpixivにあったフリーアイコンになります。
- ̗̀ 📢💭お知らせ
完結前に加筆修正します。こちらは加筆修正前の作品です。
狂愛 すれ違い 両片想い 両片思い
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
【全話まとめ】意味が分かると怖い話【解説付き】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で楽しめる短めの意味が分かると怖い話をたくさん作って投稿しているよ。
ヒントや補足的な役割として解説も用意しているけど、自分で想像しながら読むのがおすすめだよ。
中にはホラー寄りのものとクイズ寄りのものがあるから、お好みのお話を探してね。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~
てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
女主人公です(主人公は恋愛しません)。18歳。ダンジョンのある現代社会で、探索者としてデビューしたルミは、ダンジョン配信を始めることにした。近くの町に初級ダンジョンがあると聞いてやってきたが、ルミが発見したのは超難関ダンジョンだった。しかしそうとは知らずに、ルミはダンジョン攻略を開始し、ハイランクの魔物たちを相手に無双する。その様子は全て生配信でネットに流され、SNSでバズりまくり、同接とチャンネル登録数は青天井に伸び続けるのだった。
噂の補佐君
さっすん
BL
超王道男子校[私立坂坂学園]に通う「佐野晴」は高校二年生ながらも生徒会の補佐。
[私立坂坂学園]は言わずと知れた同性愛者の溢れる中高一貫校。
個性強過ぎな先輩後輩同級生に囲まれ、なんだかんだ楽しい日々。
そんな折、転校生が来て平和が崩れる___!?
無自覚美少年な補佐が総受け
*
この作品はBのLな作品ですので、閲覧にはご注意ください。
とりあえず、まだそれらしい過激表現はありませんが、もしかしたら今後入るかもしれません。
その場合はもちろん年齢制限をかけますが、もし、これは過激表現では?と思った方はぜひ、教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる