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幼い神様

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その日、山神は会合に出かけた。
相変わらず行きたくないとクダを巻き、遅いと風神が引きずって連れて行った。
今回も他の神の嫁たちは来ていない。

寂しいのだが体を休ませるべきだという山神の願いである。
木霊と久々に二人で過ごす。
「平和ですね」
「先日まで大変でしたからね」
「皆と遊べないのはつまらないですけど」
木霊が見つめてくる。
「私がいます!」
木霊が近寄ってくる。
そして張り合うように告げる。
「つまらないなら何して遊びますか?それともまた一緒にご飯作りますか?」
不満そうな姿に苦笑する。
「違うんですよ。皆でわいわいするのも楽しかったんです。木霊君とこうしてのんびりいられるのも楽しいですよ」
「そう、ですか」
「とはいえ、お互い遊び尽くしましたからね。何かありますかね」
おずおずと引き下がる木霊にこらえ・・・は考える。
「木霊君は何が好きですか?」
「えっと。あ。羽根つき好きです」
「あ。じゃあやりましょうか」
道具取ってきますと嬉しそうに木霊が走っていく。

しばらく遊んで休息にする。
焼き芋を焼いていれば物音が響く。
「眷属様ですかね」
そちらへと顔を覗かせれば、犬型の眷属と、それに怯えて木にしがみつく幼子。
纏う雰囲気は神様であり、しかし山神には程遠い弱い気配。
「来るな!来るなよぉ」
怯えている姿にゆっくりと近づき犬型の眷属と視線を合わせる。
違うんです!いたから見てただけなんっす。
目で訴えてくる犬型の眷属の頭を撫でてから下がらせる。
「お初にお目にかかります。神子様。山神の嫁こらえ・・・と申します」
「山神、じゃあ、ここ、西の山のとこか!」
「えっと、方角まではわかりませんが」
「呪われた神のとこだろ」
十代ぐらいの幼子を抱き上げる。
「言い方を改めましょうか」
微笑むこらえ・・・に幼子は震えだす。

「え、えっと、呪いと向き合っている山神のとこ」
「はい。ありがとうございます」
家へと招き縁側に座らせる。
「貴方は?」
「オレは、東の岩の神の子だ」
「岩ですか」
食べますかと木霊が持ってきた焼き芋を渡す。
鳴り響くお腹の音にこらえ・・・は微笑んで渡す。
「これ、最近美味しいって有名なお芋だ」
「あ、そうなんですね」
「前に母様がかいごーから持ってきてくれた。たまたま残ってたからって。父さんと一緒に食べたんだ。美味しかった!」
緩んだ頬にそれは良かったと笑う。
こらえ・・・も一緒に食べることにする。
幼子はすでに食べ終わったのかじっと木霊の芋を見る。
「お前、せいれーだろ。食わなくてもいいだろ!」
「こらえ様がくれたものなんです!」
「はいはい。僕の半分差し上げますから」
こらえ・・・が半分にした芋を渡す。
「木霊君の分を横取りしてはいけません」
「なんだよ」
「ご両親は?」
びくりと震えつつも、告げる。
「オレは、山の神に、しゅぎょーに来たんだ!立派な神になるために!」
「山神様は本日会合に行かれてますから、食べれないものはありますか?」
「野菜嫌い!」
ぱあと嬉しそうに告げてくるため、こらえ・・・はどうやって隠して料理しようか考える。
「お芋はそれで終わりですよ。夕食を食べれなくなってはいけませんからね」
「なんだよ。人のくせに」
山神が帰ってきてからまた相談しようと思いつつ頭を撫でる。
「ところで、神子様」
肩を鷲掴みにして微笑む。
「そのような言葉遣い、お世話になる先輩神の間で許されると思いますか?」
「ご、ごめんなさい」
迫力に押され、とりあえずと挨拶を仕込むことにするこらえ・・・
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