細やかな愛情

林 業

文字の大きさ
上 下
11 / 17

11

しおりを挟む
アオイの作るハンバーグには野菜を細切れにして混ぜ込む。
時には椎茸を入れたりもする。

特に椎茸は出汁が出ていて美味しいのだ。
「野菜混ぜこんでいいか」
夜は実家に食べに行っているとはいえ野菜が足りていないような気もするので聞いてみる。
あまり好んで食べないらしいが。
「手のひらサイズにしてくれるなら」
かさ増ししていいとレオンの掌を広げて見せてくる。
「味は、デミグラ?それともソース?」
「ソースかな。っていうか好きに作っていいんだけど」
「どんなのが好きなのかって気になったんだ」

レオンは胸を抑えてそれから顔を覆う。
「この天然め」
「ん?」
「いや。目玉焼きハンバーグにあうのならおまかせするよ」
「任された」
満面の笑顔にレオンは落ち着け俺と唱えている。








 ご飯を食べ終え満足そうなレオン。
「あー。美味しかったぁ」
「そういえば外国にいたときはどうしてたんだ?」
「んー?ご飯?」
後片付けを終えてレオンを見ればソファーの横を叩くので座る。
髪の毛を嬉しそうに触って来るが、嫌じゃない。
もうされるがままになろうと諦める。
「じいちゃんばあちゃんが作ってくれてた」
「そういえば代々木の奥さんあまり見てないな」
「宝石商人だから各国飛び回ってるんだよ。俺はその宝石を使って個人でデザイナーやってるんだよ。今回は母さん親父の知り合い経由で日本の企業にコラボ頼まれたからじゃあ、ってこっちに来たんだ。向こうだと和風の柄って受けいいし、こっちこっちでは異国風のデザイン受け入れられるしな」
設けているのだと言っていたので一流なのかと眺める。
「そういうのって師匠がいるって聞いたけど?」
「いる。じいちゃんと学校の先生。じいちゃんの工房を受け継いだんだ。もともとじじいの老後の趣味だったらしいから独りでやってたんだけど」
髪の毛に触れて弄り回される。
普段ならやめろというが何故か心地よい触り方。
「じゃあ、終わったら帰るのか」
「まぁ、コラボが終わっても日本でしばらく活動しようかと思ってる。三年ぐらいかな。アオイもいるし。俺の国に来てくれるのがいいけど」
「それは」
何も縛られない異国で今一度生活するのもいいのかもと悩む。
レオンは髪の毛に触れながらゆっくりでいいと微笑む。
「そういえば襲うとかしないのか?」
「したいって言うまでは特別何かするつもりはないよ」
すでに抱きついたりしているのだがそれは単なるスキンシップなのだと判断する。
ちらりと盗み見れば優しく微笑んでいる。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

それはきっと、気の迷い。

葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ? 主人公→睦実(ムツミ) 王道転入生→珠紀(タマキ) 全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

共犯関係

乱 江梨
BL
 とある事件がきっかけで、父親からの虐待に苦しんできた兄の楓馬と、弟の景。兄の楓馬は父親の暴力から必死に弟を守りながら、何とか景と二人で暮らせるように準備を重ねてきた。そして楓馬の就職先が決まり、高校を卒業するその日。楓馬は景の異変に気づき――。  ※ハッピーエンドかバッドエンドかは、読者様の判断に任せたいです。全4話です。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

台風の目はどこだ

あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。 政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。 そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。 ✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台 ✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました) ✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様 ✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様 ✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様 ✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様 ✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。 ✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました

及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。 ※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19

処理中です...