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言えない言葉
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言って…理解してもらえるだろうかと考えていると、膝の上で握っていた手を取られた。
いくら若々しく見えてもそこに刻まれた皺が確実な時間の経過を物語る。
「君の手は、温かいね」
「え…そうですか?」
院長の手が温かく感じると言う事は、オレの手の方が冷たいはずなのに…
「どうされたんですか?」
「ちょっと、凭れてもいいかい?」
質問に質問で返される居心地の悪さはあるものの、疲れ果てた風が気にかかってコクリと頷いた。
軽く肩に凭れ掛かってくる。
「……」
「ふぅ」
「?……あの…」
「ああ、すまない。疲れてしまって」
小さく笑う院長が項垂れ、
「翔希の側ならほっとできると思ってね」
「えっあっ…はぁ」
「ほら、感謝祭の準備、もう大変で大変で…」
数日後に控えたその行事を思い出す。
参加しないと決めていたから、忙しそうだな…程度にしか思わなかったが…
「君がいてくれたらと思うよ」
「すみません、役立たずで…」
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「……」
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