放課後教室

AYA

4

「綺…綺……」 

　譫言のように言葉を繰り返す光彦の目に、もう葉人は映っていないようだった。 

　自分を通して誰かを見ている光彦の狂気に、震えて果てるその瞬間を待つ。 


　ぐじゅ、ぐじゅと慣れ始めた秘部が水音を立てる。 
　息を詰めるように歯を食い縛り、光彦の吐く息に立つ鳥肌に目を瞑る。 


「綺…」 


　綺 


　あや 


　AYA 


　12AYA29 


　いつか借りた本に挟まっていたメモの羅列を思い出す。 

「あや…あ…くっ……ふぅっ…っ」 

　自分勝手に動いた光彦は、葉人の反応も何も見ないままに一人果て、くたりと葉人の上に倒れ込む。 

「綺…」 

　愛おしそうに名を呼ぶ。 
　狂気じみていた先程の表情が、宝物でも見るような微笑に変わる。 


　見ている相手が愛しくて愛しくて堪らないのだと言う風だった。 

「綺」 
「ちが…オレ、綺彦さんじゃない……」 




　ひゅうっと光彦の喉が鳴る。 


　息を呑んだその瞬間、葉人の首に光彦の指が掛かった。