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屋上
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しおりを挟む「じゃあな。これからあいつの子守に行かなきゃいけないんでな」
「あいつ……フェネクス?」
ぞくっと悪寒を感じ、自分の体を抱き締める。
「そのゲームみたいなの止めねぇか?こっちが恥ずかしいんだが…」
「……誰…ですか?」
「あ?」
「オレ、そいつに聞かなきゃいけないことがあって…」
そう言うと、司郎のきつい顔が険しさを含んで更にきつくなった。
「お前とあいつはもう関係ない」
ばっさりと切り捨て、司郎はふい…と背中を向けた。
「シロー先輩!お願いですっ!あいつが誰だか教えてくださいっ」
校舎内への扉に手をかけた司郎は、振り返る気配もない。
「じゃ…じゃあ聞いて下さいっあの教室でオレを襲ったのは誰か」
ノブを回そうとする手を一旦止め、軽く上げた。
「気が向いたらな」
ばたん…と屋上に、扉を閉めた音が響くのを聞きながら、葉人はぐったりとフェンスにもたれ込んだ。
生暖かかった風が、どこかひんやりと冷たさを含み始めたのに気付く。
「…雨……降るのかなぁ…」
雨が降って、情事後の熱を持ったままの体を冷やしてくれないだろうか…と、ぼんやりと考えて空を見上げる。
司郎が掴んだ腰が、触れた唇が、何度も何度も擦り上げられたナカがまだ熱かった。
いつの間にこんな体になってしまったのか…
男に触られて気持ちいいと感じることも、触られたら早く雄が体内に欲しいと思ってしまうことも、少し前なら考えもできないことだらけだった。
掌を空に向ける。
威や司郎に比べたら、線は細いが確かに男の手だ。
体は、脂肪がついてないからどこにも丸みはない男の体だ。
「こんな体の…どこが抱いて楽しいんだ」
体を這い回る手の感触を思い出し、くすぶり出した体の熱を感じて首を振る。
司郎の抱き方は、光彦よりも激しくて情熱的だった。
翻弄させる快感が、じわりと駆け上がって体を震わせる。
「ん…っ…」
光彦に対する罪悪感よりも、ちりちりとした情欲の感情の方が強いことに驚いて、ぎゅっと目を閉じる。
「…オレ、やっぱり淫乱なのかな……」
そう呟いた唇に、ぽつりと小さな滴が落ちた。
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