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嗜好
残忍
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紗夜はうららの濡れそぼった前髪を鷲掴みにし、中学生にしては豊かな身体ごと引きずり上げた。
「うぅ………いたぁい…っ!やめて、よぉ…………」
か細い声が紗夜の鼓膜を揺らす。眼前の友人の鼻にはオレンジ色の吐瀉物の欠片が覗き、半開きの口からつー、と垂れ落ちた胃粘液が蛍光灯の明かりを鈍く反射した。
まだ幼さの残る丸い頬に栗色の瞳。そこに後悔や、憎悪の色はみられなかった。苦痛に歪んだその眼はかつて親友と信じた黒髪の少女に自らの痛みだけを必死に訴えかけたが、彼女には何ひとつ届かなかった。
勢いよく腕を振り下げてその頭を床に叩きつけると、うららはそのままうつ伏せに倒れ込んだ。下痢便で膨らんだ臀部からは茶色い汚水が浸み出している。紗夜は一瞥し、彼女のショーツの中に手を突っ込んだ。
生暖かく、つぶつぶとした感触が気色悪い。紗夜は顔を歪めながらそのひと掬いを手に取ると、躊躇することなくうららの口へと運んだ。
「うぶっ…………んぐっ、……………………!」
鼻と口が大便で塞がれて息ができず、必死にもがく。
突然の事態を理解できず、ただ鼻と口から入る水分を出そうと必死に咳き込む。
「ぐっ………げほっ……………ごぼっ、ゲホゲホッ!」
くぐもった声が辺りに響く。まとわりついた自らの大便をどうにか引き剥がそうと顔を必死に横に振る。咳と共にびちゃびちゃと音を立てて茶色い汚物が辺りに散らばった。紗夜は足元のそれを再び手に掬うと、今度は手をすぼめてうららの口に押し込んだ。
喉奥まで大便を押し込まれた彼女はなす術もなく、呼吸をするために必死に大便を飲み込む。喉が上下にゴクンと動くのを見届けると、紗夜は口から手を抜いた。
「っ、はぁっ、はぁっ………………!」
茶色い汚物に塗れた口腔はぬらぬらと怪しげな光を放っていた。うららは訳も分からぬまま自分の大便を嚥下してしまったことに呆然とし、ただ目の前の壮絶な光景を見つめることしかできなかった。
本来不要な排泄物を再び体内に入れたことにより、うららの消化器官は悲鳴を上げ、再び逆流を始めた。ごぼ、ごぼ、と排水管の詰まるような音がかすかにした。相当気持ちが悪いのか顔は土気色になり、糞と粘液まみれの手で必死に胃の辺りをしきりに揉みしだく。
「…………はぁ、はぁ、………………」
荒い息が空気を揺らす。額から滴る冷や汗が糞塗れの床に音も立てず吸い込まれた。
「ゴォェェェ……………、ゲブッ、ゲブッ、ゲブッ…」
大きなゲップの直後、逆流音と共に口から茶色いものがドクドクと湧き出る。
「…………はぁ、はぁ、………………ゔっ!」
うららは身体をビクンと硬直させると、腹を大きく波打たせて胃の中のものを激しく吐き戻した。
「ゲェ、ゴェェェ……ゲホゲホゲホッ、ゲェッ、ウォェェ!!」
緑がかった茶色の液体が顔の下に水溜まりを作る。
普段からは想像できないような大きく低いえづき声が響き渡った。
紗夜は前髪の奥から激しく嘔吐する友人を見下ろす。部屋に充満する吐瀉物と大便の異様な臭気も、自室の惨状も、何ひとつ気にならないほどに満足していた。今までに感じたことのないような快感が身体の中を駆け巡る。初めて感じた己の残虐性に一種の身震いのようなものを感じながら、自分より全てが劣る目の前の動物を見つめた。優越感と嗜虐心が身体の奥底からこみ上げ、心臓の高鳴りと共に顔が火照る。小さく呻き声を上げながら痙攣し、口から深緑色の液体を滴らせるその動物の頭を、紗夜は力の限り蹴りつけた。
「うぅ………いたぁい…っ!やめて、よぉ…………」
か細い声が紗夜の鼓膜を揺らす。眼前の友人の鼻にはオレンジ色の吐瀉物の欠片が覗き、半開きの口からつー、と垂れ落ちた胃粘液が蛍光灯の明かりを鈍く反射した。
まだ幼さの残る丸い頬に栗色の瞳。そこに後悔や、憎悪の色はみられなかった。苦痛に歪んだその眼はかつて親友と信じた黒髪の少女に自らの痛みだけを必死に訴えかけたが、彼女には何ひとつ届かなかった。
勢いよく腕を振り下げてその頭を床に叩きつけると、うららはそのままうつ伏せに倒れ込んだ。下痢便で膨らんだ臀部からは茶色い汚水が浸み出している。紗夜は一瞥し、彼女のショーツの中に手を突っ込んだ。
生暖かく、つぶつぶとした感触が気色悪い。紗夜は顔を歪めながらそのひと掬いを手に取ると、躊躇することなくうららの口へと運んだ。
「うぶっ…………んぐっ、……………………!」
鼻と口が大便で塞がれて息ができず、必死にもがく。
突然の事態を理解できず、ただ鼻と口から入る水分を出そうと必死に咳き込む。
「ぐっ………げほっ……………ごぼっ、ゲホゲホッ!」
くぐもった声が辺りに響く。まとわりついた自らの大便をどうにか引き剥がそうと顔を必死に横に振る。咳と共にびちゃびちゃと音を立てて茶色い汚物が辺りに散らばった。紗夜は足元のそれを再び手に掬うと、今度は手をすぼめてうららの口に押し込んだ。
喉奥まで大便を押し込まれた彼女はなす術もなく、呼吸をするために必死に大便を飲み込む。喉が上下にゴクンと動くのを見届けると、紗夜は口から手を抜いた。
「っ、はぁっ、はぁっ………………!」
茶色い汚物に塗れた口腔はぬらぬらと怪しげな光を放っていた。うららは訳も分からぬまま自分の大便を嚥下してしまったことに呆然とし、ただ目の前の壮絶な光景を見つめることしかできなかった。
本来不要な排泄物を再び体内に入れたことにより、うららの消化器官は悲鳴を上げ、再び逆流を始めた。ごぼ、ごぼ、と排水管の詰まるような音がかすかにした。相当気持ちが悪いのか顔は土気色になり、糞と粘液まみれの手で必死に胃の辺りをしきりに揉みしだく。
「…………はぁ、はぁ、………………」
荒い息が空気を揺らす。額から滴る冷や汗が糞塗れの床に音も立てず吸い込まれた。
「ゴォェェェ……………、ゲブッ、ゲブッ、ゲブッ…」
大きなゲップの直後、逆流音と共に口から茶色いものがドクドクと湧き出る。
「…………はぁ、はぁ、………………ゔっ!」
うららは身体をビクンと硬直させると、腹を大きく波打たせて胃の中のものを激しく吐き戻した。
「ゲェ、ゴェェェ……ゲホゲホゲホッ、ゲェッ、ウォェェ!!」
緑がかった茶色の液体が顔の下に水溜まりを作る。
普段からは想像できないような大きく低いえづき声が響き渡った。
紗夜は前髪の奥から激しく嘔吐する友人を見下ろす。部屋に充満する吐瀉物と大便の異様な臭気も、自室の惨状も、何ひとつ気にならないほどに満足していた。今までに感じたことのないような快感が身体の中を駆け巡る。初めて感じた己の残虐性に一種の身震いのようなものを感じながら、自分より全てが劣る目の前の動物を見つめた。優越感と嗜虐心が身体の奥底からこみ上げ、心臓の高鳴りと共に顔が火照る。小さく呻き声を上げながら痙攣し、口から深緑色の液体を滴らせるその動物の頭を、紗夜は力の限り蹴りつけた。
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