41 / 54
第六話「最期の旅路」
~海宝と陸奏~
しおりを挟む
日差しが天から降り注いでいる山道を、二人の僧侶が楽しそうに歩いている。海宝と陸奏が供養参りを始めて二ヶ月が経ち、海宝は出発からずっと額に札を貼りつけて歩き続けていた。
僧侶の異様な姿に、すれ違う者達は蔑むような目を海宝に向けていた。海宝は特に気にしてはいなかったが、隣で共に過ごす陸奏は耐えられなかった。旅に出て数日後には、陸奏は藁で作った笠を海宝へと渡し、翌日には自身の分も作っていた。
歩いている陸奏が出発前に翠雲から渡された地図を真剣に見つめる。地図上に付けた印を数え終わると海宝に向けてはにかんだ。
「海宝様、あともう少しで終わりですね!」
「ええ、あと少しですね」
海宝は微笑んでいるが、その表情は札に隠れて大半が見えなくなっていた。
陸奏がしたから覗き込むような姿勢で不満げに問いかける。
「やっぱりその札は最後まで取らないんですか?」
「すみません、これは約束ですから取れません」
旅が始まってから、何十回もの同じ質問の海宝の答えは変わらない。
「もう、海宝様の顔を最後にきちんと見たのはお寺を出発した時ですよ……」
落ち込む陸奏を札の隙間からそっと確認する海宝は相変わらず微笑んでいた。
「ふふっ、私からは陸奏の顔が見えますよ」
「そんなのずるいですよ……」
肩を落として落ち込む陸奏から、海宝は目線を外して空を見上げた。
この旅の終幕が近付いていること、自分の命の終わりが間近だということ、陸奏や他の者達との最後の別れが、もう目前に迫っていること……。
あと、どれほどの会話が出来るだろうか。
あと、どれほど生きていられるだろうか。
そんな想いも露知らず、陸奏は頬を膨らませて海宝に手を差し出した。
「海宝様はずるいです! 私にもそのお札ください!」
「ふふっ、これは一枚しかないのであげられません」
「そんなぁ……」
陸奏は肩を落として落ち込んだ。海宝はその姿を思い出に残すように、記憶の頁に刻み込む。
二人の歩みは、時間は確実に前へと進んで行く。
「ふふっ……さて、今朝村を出てから随分と歩きましたね」
「それはそうですよ。元々黒百合村は他の村から離れてるんですから……。それに、まさか村を全て歩いて回るなんて聞いてないですよ……」
「ふふっ、そうですね。思ったよりも長旅になってしまいました」
海宝は楽しそうに微笑むが、陸奏は長旅の疲れが少しだけ滲み出ていた。
「地図を見ただけでも八十八箇所あるのに……それを歩いて回りたいって……」
陸奏が地図を懐にしまいながら溜め息を吐く。
「いつでも一人で帰って良かったんですよ?」
「嫌です! 海宝様を一人にするなんて絶対に嫌ですからね!」
「ふふっ、そういって貰えると嬉しいですね」
「それに……」
陸奏は小さく呟くと真面目な顔をして前を向いた。
「それに?」
「ここまで来て帰るなんて海宝様が許しても私が許せません!」
「ふふっ……貴方らしいですね」
「海宝様と翠兄さんに育てられましたからね!」
陸奏は胸を張って誇らしげに答えた後、ハッと何かを思い出すように海宝に問いかけた。
「そういえば足は痛くありませんか?」
「私は大丈夫です。道中、貴方が無理をして背負ってくれましたからね。それよりも陸奏は痛みはなくなりましたか?」
海宝は陸奏の右足に視界を寄せた。包帯を巻かれた状態の右足は、反対の足よりも少しだけ腫れているようにも見える。
海宝の心配をよそに陸奏は満面の笑みで返事を返した。
「私は大丈夫です!」
「無理だけはしないでくださいね」
海宝は親のような気持ちで陸奏に話しかける。
「それは海宝様もですよ?」
海宝の顔を覗き込むようにして陸奏は心配した面持ちで見つめる。
正面から吹く心地良い風が二人の間をすり抜けていく。
「さてと……後はどこを回れば良かったですかね」
陸奏が懐から再び地図を取り出して広げる。
「最後は黒百合村と彼岸……花? 聞いたことのない村ですね。黒百合村よりも奥にあるみたいですが――」
「彼岸花……」
海宝は聞き覚えのある名前にぽつりと呟いた。
「彼岸花ってなんだか悲しい響きの名前ですね……」
「そうですね……」
相槌を打つ海宝の声はとても小さかった。いつもとは違う海宝の雰囲気に陸奏は心配そうに問いかける。
「海宝様……?」
「ああ、いえ、何でもありません」
「大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
いつもの声音で話す海宝に安堵した陸奏は安堵したのか、話の続きを海宝に告げる。
「彼岸花の村は黒百合村よりも山奥にあるみたいですね。先に黒百合村に参りますか?」
「……」
海宝は黙って歩き続ける。
「海宝様?」
陸奏が海宝の肩をそっと叩く。
「……ああ、すみません。ちょっとぼんやりしていました」
「本当に大丈夫ですか? もしかして、どこか具合でも悪いんじゃ……」
心配する陸奏を宥めるように海宝は声をかける。
「いえいえ、大丈夫ですよ。それで、何のお話でしたかね」
「黒百合村を先に行くか彼岸花の村に先に行くかです……」
陸奏が眉をひそめながら海宝に伝えると、海宝は前を見つめて呟くように話した。
「この旅の最後は黒百合村ですから、先に彼岸花の村に行きましょう」
「分かりました!」
陸奏の返事を聞いた海宝は共に彼岸花の村へと向かう。海宝は歩きながら時折、横目で陸奏の顔を見つめていた。もう少しで旅が終わりを迎えること、育ててきた陸奏や僧侶達との別れが近付いていることが名残惜しい。
海宝は数年前、春桜に話をしに行った時の事を思い返した。
やはり春桜殿に声をかけたあの時、無理を通してでも、圧制を緩めてほしいと伝えておくべきだったと。
あの時、あの場所で、翠雲や剛昌、他の大臣達に納税の話をきちんと伝えておけば、飢饉で多くの人々が亡くならずに済んだかもしれない、と。
つまり、それは、この運命を変えられていたかもしれないということ――――
でも、だからこそ、翠雲と剛昌が自分自身を責める必要はなかった。元を辿れば己の過ち……春桜を止められなかった己の責任だと、海宝は悟っていた。自分の命で償うのが妥当なのだ、と。海宝は独りで結論付けていた。
「……海宝様?」
陸奏は再び険しい表情で海宝を見つめていた。
「どうしましたか?」
「いえ、なんだか心ここにあらずといった様子でしたので……」
「もうそろそろ旅が終わると思うと、感慨深いものがありますからね」
海宝は空を見上げて呟くと、隣を歩く陸奏も空を見上げた。
「確かに、あと少しで終わっちゃいますね……」
「ええ、本当に、あと少しになってしまいました……」
海宝と陸奏の終わりの意味合いは異なる。その事に陸奏は気が付かない。
「海宝様……?」
陸奏の問いかけに海宝は視界に入るように首を動かした。
「どうしましたか?」
「その、なぜ泣いているのですか?」
「え?」
海宝はそっと目元に手を当てた。乾いた指先に涙が染み込んでいく。
「あら……どうしたんでしょうかね」
「何か悲しい事でもありましたか?」
海宝の視界の隅に陸奏の純粋な視線が映る。
「ふふっ、嬉しくて自然と流れたのかもしれませんね」
「私と旅を終えるのが嬉しいんですか!」
驚いた陸奏が悲しそうに海宝を見つめる。
「ふふっ……」
「なんでそこで笑うのですか!」
「さて、なぜでしょうね」
口元を緩める海宝を陸奏は眉を八の字にして腕を組み不機嫌そうな態度をとった。
「もうそろそろ黒百合村が見えてきますからね!」
少しだけ声を張り怒っている陸奏に海宝は変わらず笑みを浮かべている。
「はいはい」
「ハイは一回で大丈夫です!」
「ふふっ、すみません」
陸奏は溜め息を漏らすと、怒るのが疲れたのか、陸奏は肩を下げてしゅんとしていた。
「もう……海宝様はいつも私を馬鹿にしてます……」
「ん? そんなことはありませんよ?」
微笑んでいる海宝の口元を見た陸奏は深く溜め息を漏らした。
「もう、そういうことにしておきます……」
「ふふっ」
海宝は感情が豊かな陸奏の姿をそっと眺めた。
「――ほら、海宝様! ここを上がって行けば黒百合村に着きますよ!」
「……楽しい旅の終わりは早いですね」
静かに呟いたその一言に対して、陸奏はムッとした。
「海宝様!」
「……はい?」
急に強張った陸奏の声に海宝は少しだけ驚いていた。そして、陸奏は言う。
「海宝様、まだ終わってないんですから今を楽しみましょう!」
真直ぐ海宝を見つめる陸奏の目は力強く、両手をぎゅっと握りしめてはにかんでいた。
「今を楽しむ……ですか……」
海宝は噛みしめるように陸奏の言葉を呟いた。この旅が終わる時が人生の最後……。
陸奏との最初で最後の旅路を、悲しみで終わらせるわけにはいかない。
「そうです! 今と言う時間は今しかありませんから」
無邪気な笑みを向ける陸奏を、海宝は札の隙間から覗き見た。
「ふふっ、それもそうですね」
山間(やまあい)に笠を着けて歩く僧侶が二人。
陸奏は知らない。札を額に貼る理由を……この旅の供養参りの意味を……この旅の終わりの迎え方を……。
二人は仲良く笑い合いながら黒百合村の跡地へと辿り着く。
陸奏は一足先に坂道を登り切ると平らになっている開けた場所に出た。
僧侶の異様な姿に、すれ違う者達は蔑むような目を海宝に向けていた。海宝は特に気にしてはいなかったが、隣で共に過ごす陸奏は耐えられなかった。旅に出て数日後には、陸奏は藁で作った笠を海宝へと渡し、翌日には自身の分も作っていた。
歩いている陸奏が出発前に翠雲から渡された地図を真剣に見つめる。地図上に付けた印を数え終わると海宝に向けてはにかんだ。
「海宝様、あともう少しで終わりですね!」
「ええ、あと少しですね」
海宝は微笑んでいるが、その表情は札に隠れて大半が見えなくなっていた。
陸奏がしたから覗き込むような姿勢で不満げに問いかける。
「やっぱりその札は最後まで取らないんですか?」
「すみません、これは約束ですから取れません」
旅が始まってから、何十回もの同じ質問の海宝の答えは変わらない。
「もう、海宝様の顔を最後にきちんと見たのはお寺を出発した時ですよ……」
落ち込む陸奏を札の隙間からそっと確認する海宝は相変わらず微笑んでいた。
「ふふっ、私からは陸奏の顔が見えますよ」
「そんなのずるいですよ……」
肩を落として落ち込む陸奏から、海宝は目線を外して空を見上げた。
この旅の終幕が近付いていること、自分の命の終わりが間近だということ、陸奏や他の者達との最後の別れが、もう目前に迫っていること……。
あと、どれほどの会話が出来るだろうか。
あと、どれほど生きていられるだろうか。
そんな想いも露知らず、陸奏は頬を膨らませて海宝に手を差し出した。
「海宝様はずるいです! 私にもそのお札ください!」
「ふふっ、これは一枚しかないのであげられません」
「そんなぁ……」
陸奏は肩を落として落ち込んだ。海宝はその姿を思い出に残すように、記憶の頁に刻み込む。
二人の歩みは、時間は確実に前へと進んで行く。
「ふふっ……さて、今朝村を出てから随分と歩きましたね」
「それはそうですよ。元々黒百合村は他の村から離れてるんですから……。それに、まさか村を全て歩いて回るなんて聞いてないですよ……」
「ふふっ、そうですね。思ったよりも長旅になってしまいました」
海宝は楽しそうに微笑むが、陸奏は長旅の疲れが少しだけ滲み出ていた。
「地図を見ただけでも八十八箇所あるのに……それを歩いて回りたいって……」
陸奏が地図を懐にしまいながら溜め息を吐く。
「いつでも一人で帰って良かったんですよ?」
「嫌です! 海宝様を一人にするなんて絶対に嫌ですからね!」
「ふふっ、そういって貰えると嬉しいですね」
「それに……」
陸奏は小さく呟くと真面目な顔をして前を向いた。
「それに?」
「ここまで来て帰るなんて海宝様が許しても私が許せません!」
「ふふっ……貴方らしいですね」
「海宝様と翠兄さんに育てられましたからね!」
陸奏は胸を張って誇らしげに答えた後、ハッと何かを思い出すように海宝に問いかけた。
「そういえば足は痛くありませんか?」
「私は大丈夫です。道中、貴方が無理をして背負ってくれましたからね。それよりも陸奏は痛みはなくなりましたか?」
海宝は陸奏の右足に視界を寄せた。包帯を巻かれた状態の右足は、反対の足よりも少しだけ腫れているようにも見える。
海宝の心配をよそに陸奏は満面の笑みで返事を返した。
「私は大丈夫です!」
「無理だけはしないでくださいね」
海宝は親のような気持ちで陸奏に話しかける。
「それは海宝様もですよ?」
海宝の顔を覗き込むようにして陸奏は心配した面持ちで見つめる。
正面から吹く心地良い風が二人の間をすり抜けていく。
「さてと……後はどこを回れば良かったですかね」
陸奏が懐から再び地図を取り出して広げる。
「最後は黒百合村と彼岸……花? 聞いたことのない村ですね。黒百合村よりも奥にあるみたいですが――」
「彼岸花……」
海宝は聞き覚えのある名前にぽつりと呟いた。
「彼岸花ってなんだか悲しい響きの名前ですね……」
「そうですね……」
相槌を打つ海宝の声はとても小さかった。いつもとは違う海宝の雰囲気に陸奏は心配そうに問いかける。
「海宝様……?」
「ああ、いえ、何でもありません」
「大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
いつもの声音で話す海宝に安堵した陸奏は安堵したのか、話の続きを海宝に告げる。
「彼岸花の村は黒百合村よりも山奥にあるみたいですね。先に黒百合村に参りますか?」
「……」
海宝は黙って歩き続ける。
「海宝様?」
陸奏が海宝の肩をそっと叩く。
「……ああ、すみません。ちょっとぼんやりしていました」
「本当に大丈夫ですか? もしかして、どこか具合でも悪いんじゃ……」
心配する陸奏を宥めるように海宝は声をかける。
「いえいえ、大丈夫ですよ。それで、何のお話でしたかね」
「黒百合村を先に行くか彼岸花の村に先に行くかです……」
陸奏が眉をひそめながら海宝に伝えると、海宝は前を見つめて呟くように話した。
「この旅の最後は黒百合村ですから、先に彼岸花の村に行きましょう」
「分かりました!」
陸奏の返事を聞いた海宝は共に彼岸花の村へと向かう。海宝は歩きながら時折、横目で陸奏の顔を見つめていた。もう少しで旅が終わりを迎えること、育ててきた陸奏や僧侶達との別れが近付いていることが名残惜しい。
海宝は数年前、春桜に話をしに行った時の事を思い返した。
やはり春桜殿に声をかけたあの時、無理を通してでも、圧制を緩めてほしいと伝えておくべきだったと。
あの時、あの場所で、翠雲や剛昌、他の大臣達に納税の話をきちんと伝えておけば、飢饉で多くの人々が亡くならずに済んだかもしれない、と。
つまり、それは、この運命を変えられていたかもしれないということ――――
でも、だからこそ、翠雲と剛昌が自分自身を責める必要はなかった。元を辿れば己の過ち……春桜を止められなかった己の責任だと、海宝は悟っていた。自分の命で償うのが妥当なのだ、と。海宝は独りで結論付けていた。
「……海宝様?」
陸奏は再び険しい表情で海宝を見つめていた。
「どうしましたか?」
「いえ、なんだか心ここにあらずといった様子でしたので……」
「もうそろそろ旅が終わると思うと、感慨深いものがありますからね」
海宝は空を見上げて呟くと、隣を歩く陸奏も空を見上げた。
「確かに、あと少しで終わっちゃいますね……」
「ええ、本当に、あと少しになってしまいました……」
海宝と陸奏の終わりの意味合いは異なる。その事に陸奏は気が付かない。
「海宝様……?」
陸奏の問いかけに海宝は視界に入るように首を動かした。
「どうしましたか?」
「その、なぜ泣いているのですか?」
「え?」
海宝はそっと目元に手を当てた。乾いた指先に涙が染み込んでいく。
「あら……どうしたんでしょうかね」
「何か悲しい事でもありましたか?」
海宝の視界の隅に陸奏の純粋な視線が映る。
「ふふっ、嬉しくて自然と流れたのかもしれませんね」
「私と旅を終えるのが嬉しいんですか!」
驚いた陸奏が悲しそうに海宝を見つめる。
「ふふっ……」
「なんでそこで笑うのですか!」
「さて、なぜでしょうね」
口元を緩める海宝を陸奏は眉を八の字にして腕を組み不機嫌そうな態度をとった。
「もうそろそろ黒百合村が見えてきますからね!」
少しだけ声を張り怒っている陸奏に海宝は変わらず笑みを浮かべている。
「はいはい」
「ハイは一回で大丈夫です!」
「ふふっ、すみません」
陸奏は溜め息を漏らすと、怒るのが疲れたのか、陸奏は肩を下げてしゅんとしていた。
「もう……海宝様はいつも私を馬鹿にしてます……」
「ん? そんなことはありませんよ?」
微笑んでいる海宝の口元を見た陸奏は深く溜め息を漏らした。
「もう、そういうことにしておきます……」
「ふふっ」
海宝は感情が豊かな陸奏の姿をそっと眺めた。
「――ほら、海宝様! ここを上がって行けば黒百合村に着きますよ!」
「……楽しい旅の終わりは早いですね」
静かに呟いたその一言に対して、陸奏はムッとした。
「海宝様!」
「……はい?」
急に強張った陸奏の声に海宝は少しだけ驚いていた。そして、陸奏は言う。
「海宝様、まだ終わってないんですから今を楽しみましょう!」
真直ぐ海宝を見つめる陸奏の目は力強く、両手をぎゅっと握りしめてはにかんでいた。
「今を楽しむ……ですか……」
海宝は噛みしめるように陸奏の言葉を呟いた。この旅が終わる時が人生の最後……。
陸奏との最初で最後の旅路を、悲しみで終わらせるわけにはいかない。
「そうです! 今と言う時間は今しかありませんから」
無邪気な笑みを向ける陸奏を、海宝は札の隙間から覗き見た。
「ふふっ、それもそうですね」
山間(やまあい)に笠を着けて歩く僧侶が二人。
陸奏は知らない。札を額に貼る理由を……この旅の供養参りの意味を……この旅の終わりの迎え方を……。
二人は仲良く笑い合いながら黒百合村の跡地へと辿り着く。
陸奏は一足先に坂道を登り切ると平らになっている開けた場所に出た。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!
青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。
すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。
「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」
「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」
なぜ、お姉様の名前がでてくるの?
なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。
※タグの追加や変更あるかもしれません。
※因果応報的ざまぁのはず。
※作者独自の世界のゆるふわ設定。
※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。
※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる