銀髪美少女を探してたらようやく見つかったので守ろうかと思います。

忍原富臣

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第六話「彩香のバレーサークル入部問題」彩香side story

6-7

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「芥川君……だったかな?」
「ええ、そうです」

 百合先輩が銀治君の正面に移動して下から上まで舐めるように見回している。
 この人、何しだすか分かんないから怖いんだよー……。

「まぁ、スタイルは良いとしても……」
「なんですか?」
「き、君のア、アレはその……小さいんだろ?」

 百合先輩が恥ずかしそうに銀治君を見ながら問いかけた。

「はい? アレってなんですか?」
「あ、アレはアレだよ! 君は女子にアレを言わせるつもりなのか⁉」

 ん? アレってなんだろう?
 さっき来た時も似たような質問してた気がするけどなんだったかな……。

「アレって言われても分からないのですが……」
「私は柊さんから聞いたぞ! あ、あ、アレが慎ましやかなくらい小さいと! そ、そんな粗末なモノで君は柊さんを満足させられるのか⁉」

 百合先輩、もしかして彩芽の胸と間違えてないかな……。男の人で粗末なモノ……満足させるモノ……って?
 自然と銀治君の顔から下に目を移動させていく。肩、胸、腰……下半身……。

「――ッ⁉」
「彩香さん?」

 銀治君に呼びかけられるも、今は答えられないよぉ……。

「……」

 恥ずかしさのあまり立っていられずにしゃがみ込んでしまった……。
 いや、確かに小さいとか色々言ってたけど、それは銀治君のアレを意味している訳ではなく、決して粗末なモノかどうかなんて分からないわけで……っていうか見たことないのに分からないというかなんというか――

「彩香さん、大丈夫ですか?」
「ひゃいっ!」

 銀治君に心配されて思わず距離をとる。

「また顔が赤いですが大丈夫ですか?」
「う、うん! だいじょぶ! なんでもない! なんでもないよ!」

 うぅ……恥ずかしすぎて泣きそうだよー……。

「早瀬先輩」
「な、なんだね⁉」
「確かに俺は小さい男かもしれません」
「ちょ、ちょっと銀治君――」
「いいえ、彩香さんは黙っててください」

 えー……、なんで私の発言ってこの場で後回しなのかな……。

「俺は確かに小さいかもしれません……ですが、大切な人を守るのに大きいも小さいも関係ないとは思いませんか?」
「な、なんですって……!」

 ごもっともなんだけど、私と先輩が考えているモノと銀治君の考えているモノが違う気がする! 果てしなく違う気がする!

「でも、アレの大きさだって大切って言うじゃないか!」
「確かに大切ですが、好きな人に対しては大きく成長していくものですよ」
「大きく成長って……!」

 先輩の顔が真っ赤になった。
 あぁ……、すごい誤解を生み出しているよ銀治くーん……。

「早瀬先輩、俺の気持ちは理解して頂けましたか?」
「うぅ……そこまで言われたら……」

 どうしよう……どうしよう!
 とんでもない決着を迎えようとしてないかなコレ……⁉

「ふっ……仕方ない……君の勝ちだよ芥川君……。柊さんをよろしく頼む……」
「ありがとうございます」

 百合先輩もベンチに座り込んだ。
 良いエンディングを迎えようとしてるけど、二人のエンディングのルートが多分違うよおぉおー!
 誤解を解いた方がいいのかな……。いや、でも、嘘だってバレちゃうし……。

「えっと、その銀治君――」
「彩香さん、帰りましょう」
「え……ちょっと待って……」
「それでは、失礼します」

 先に出て行こうとする銀治君に続いて……。

「し、失礼します!」
「彩香さん、お幸せに……」
「芥川君の……大きくしてやるんだぞ……」
「あ、あははー……分かりましたー……」

 バタン。

「はわぁ……」

 恥ずかしさと緊張とあらぬ誤解のせいで力が抜ける……。

「彩香さん、どうしました?」
「銀治君……君は最後、一体ナニについて語っていたんだい……」
「何って、器の大きさですけど?」
「そういうことかー……」
「ん?」

 彼女に対して大きくなるものが器って良い答えなんだけどさぁ……先輩、すごい勘違いしてるよなぁ……。

「彩香さん頭を抱えて頭痛ですか?」
「うん……まぁ、似たようなものかなー……」
「おぶって帰りましょうか?」

 そっと差し出される手をサッと避ける。

「い、いや! 大丈夫! 大丈夫だよ!」
「でも、顔も火照っているようですし、もしかしたら風邪を――」
「違う違う! そういうのじゃないから心配しないで!」
「そうですか?」
「う、うん! ほら、早く帰ろ!」
「は、はい」

 部室棟をあとに、広場も通り抜けていつもの帰り道。
 ……ちょっとだけ落ち着いてきたかな。

「そだ。銀治君、ありがとね」
「いえいえ、彩香さんのお役に立てるなら何でもしますよ」
「あ、あはは……そりゃありがたいね……」

 彩芽意外と二人きりの帰り道って初めてかもしれない……。

「ねえ、銀治君」
「何ですか?」
「君は彩芽のことが好きなのかい?」
「……ええ、まあ、そういうことになりますかね」

 こっちを見ずに答えた銀治君の顔が少し曇っていた。

「曖昧な返事だねー」
「色々とありまして」
「色々とは?」

 銀治君は顎に手を添えて考えだした。

「……気になりますか?」

 チラッと横目で見てきた銀治君と目が合う。
 怯えているような、怒っているようなよく分からない目だなぁ。

「んー……いや、詮索はしないでおくよー、話したくない事はあるからね」
「ありがとうございます」
「いやいや、そんな丁寧にお礼言わなくていいよー」
「そうですか」
「うん、わたし堅苦しいの苦手だからさー」
「分かりました」
「あはは……」

 ほんとに分かってるのかな……。

「彩香さん、車」
「お、おおー」

 車が一台前からやってきたので銀治君の後ろにそっと並んでやり過ごす。

「……」

 そういえば彩芽も学校ではひとりぼっちだったし、銀治君もさっきそんなこと言ってたな……。
 彩芽と銀治君、似た者同士……なのかもしれないな……。

「銀治君っ」
「はい、何でしょう?」
「彩芽のこと、これからも優しくしてあげてね」
「もちろんです」
「ふふっ……言うまでもなかったかな」
「もし、彩芽さんが男から何かされてたら俺を呼んでください」
「……彩芽が前に何かあったの知ってるの?」

 銀治君の背中を見ながら問いかけると、少しだけ顔をこちらに向けて立ち止まった。

「男の人が苦手だと、それだけ聞きました」
「へえー……」

 あの彩芽がねえ……。

「フッフッフ……」
「どうしました?」
「いや、なんでもないよっ。んじゃ、わたし彩芽にアイス買って帰るからここでお別れだよ」
「分かりました」
「んじゃねー」
「はい、また」

 ……。
 銀治君から離れる為に路地に曲がって陰に隠れる。帰っていく銀治君を陰ながら見送った。

 それにしても、彩芽が男の人と会話するなんてなぁ……。
 もしかしたら本当に銀治君が彩芽のことを変えてくれるかもしれない……のかな。二人が良い感じになっちゃったら私どうしよう。
 銀治君、彩芽に何かあったらって言ったけど、私に何かあっても助けてくれるのかな……。

「……」

 いやいや、私は何を考えているんだ!
 彩芽のことも銀治君のことも今考えても仕方ないじゃないか!
 とりあえず彩芽にアイス買って帰って一緒にご飯食べてお風呂だ!

 スベスベの彩芽を抱きしめて今日あったこと忘れよう!




 ――こうして、中学高校で女性と付き合うことを諦めた銀治と、男の人にトラウマを抱える彩芽。二人を見守る彩香の三人の大学生活が始まっていくのであった。
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