銀髪美少女を探してたらようやく見つかったので守ろうかと思います。

忍原富臣

文字の大きさ
46 / 50
第六話「彩香のバレーサークル入部問題」彩香side story

6-7

しおりを挟む
「芥川君……だったかな?」
「ええ、そうです」

 百合先輩が銀治君の正面に移動して下から上まで舐めるように見回している。
 この人、何しだすか分かんないから怖いんだよー……。

「まぁ、スタイルは良いとしても……」
「なんですか?」
「き、君のア、アレはその……小さいんだろ?」

 百合先輩が恥ずかしそうに銀治君を見ながら問いかけた。

「はい? アレってなんですか?」
「あ、アレはアレだよ! 君は女子にアレを言わせるつもりなのか⁉」

 ん? アレってなんだろう?
 さっき来た時も似たような質問してた気がするけどなんだったかな……。

「アレって言われても分からないのですが……」
「私は柊さんから聞いたぞ! あ、あ、アレが慎ましやかなくらい小さいと! そ、そんな粗末なモノで君は柊さんを満足させられるのか⁉」

 百合先輩、もしかして彩芽の胸と間違えてないかな……。男の人で粗末なモノ……満足させるモノ……って?
 自然と銀治君の顔から下に目を移動させていく。肩、胸、腰……下半身……。

「――ッ⁉」
「彩香さん?」

 銀治君に呼びかけられるも、今は答えられないよぉ……。

「……」

 恥ずかしさのあまり立っていられずにしゃがみ込んでしまった……。
 いや、確かに小さいとか色々言ってたけど、それは銀治君のアレを意味している訳ではなく、決して粗末なモノかどうかなんて分からないわけで……っていうか見たことないのに分からないというかなんというか――

「彩香さん、大丈夫ですか?」
「ひゃいっ!」

 銀治君に心配されて思わず距離をとる。

「また顔が赤いですが大丈夫ですか?」
「う、うん! だいじょぶ! なんでもない! なんでもないよ!」

 うぅ……恥ずかしすぎて泣きそうだよー……。

「早瀬先輩」
「な、なんだね⁉」
「確かに俺は小さい男かもしれません」
「ちょ、ちょっと銀治君――」
「いいえ、彩香さんは黙っててください」

 えー……、なんで私の発言ってこの場で後回しなのかな……。

「俺は確かに小さいかもしれません……ですが、大切な人を守るのに大きいも小さいも関係ないとは思いませんか?」
「な、なんですって……!」

 ごもっともなんだけど、私と先輩が考えているモノと銀治君の考えているモノが違う気がする! 果てしなく違う気がする!

「でも、アレの大きさだって大切って言うじゃないか!」
「確かに大切ですが、好きな人に対しては大きく成長していくものですよ」
「大きく成長って……!」

 先輩の顔が真っ赤になった。
 あぁ……、すごい誤解を生み出しているよ銀治くーん……。

「早瀬先輩、俺の気持ちは理解して頂けましたか?」
「うぅ……そこまで言われたら……」

 どうしよう……どうしよう!
 とんでもない決着を迎えようとしてないかなコレ……⁉

「ふっ……仕方ない……君の勝ちだよ芥川君……。柊さんをよろしく頼む……」
「ありがとうございます」

 百合先輩もベンチに座り込んだ。
 良いエンディングを迎えようとしてるけど、二人のエンディングのルートが多分違うよおぉおー!
 誤解を解いた方がいいのかな……。いや、でも、嘘だってバレちゃうし……。

「えっと、その銀治君――」
「彩香さん、帰りましょう」
「え……ちょっと待って……」
「それでは、失礼します」

 先に出て行こうとする銀治君に続いて……。

「し、失礼します!」
「彩香さん、お幸せに……」
「芥川君の……大きくしてやるんだぞ……」
「あ、あははー……分かりましたー……」

 バタン。

「はわぁ……」

 恥ずかしさと緊張とあらぬ誤解のせいで力が抜ける……。

「彩香さん、どうしました?」
「銀治君……君は最後、一体ナニについて語っていたんだい……」
「何って、器の大きさですけど?」
「そういうことかー……」
「ん?」

 彼女に対して大きくなるものが器って良い答えなんだけどさぁ……先輩、すごい勘違いしてるよなぁ……。

「彩香さん頭を抱えて頭痛ですか?」
「うん……まぁ、似たようなものかなー……」
「おぶって帰りましょうか?」

 そっと差し出される手をサッと避ける。

「い、いや! 大丈夫! 大丈夫だよ!」
「でも、顔も火照っているようですし、もしかしたら風邪を――」
「違う違う! そういうのじゃないから心配しないで!」
「そうですか?」
「う、うん! ほら、早く帰ろ!」
「は、はい」

 部室棟をあとに、広場も通り抜けていつもの帰り道。
 ……ちょっとだけ落ち着いてきたかな。

「そだ。銀治君、ありがとね」
「いえいえ、彩香さんのお役に立てるなら何でもしますよ」
「あ、あはは……そりゃありがたいね……」

 彩芽意外と二人きりの帰り道って初めてかもしれない……。

「ねえ、銀治君」
「何ですか?」
「君は彩芽のことが好きなのかい?」
「……ええ、まあ、そういうことになりますかね」

 こっちを見ずに答えた銀治君の顔が少し曇っていた。

「曖昧な返事だねー」
「色々とありまして」
「色々とは?」

 銀治君は顎に手を添えて考えだした。

「……気になりますか?」

 チラッと横目で見てきた銀治君と目が合う。
 怯えているような、怒っているようなよく分からない目だなぁ。

「んー……いや、詮索はしないでおくよー、話したくない事はあるからね」
「ありがとうございます」
「いやいや、そんな丁寧にお礼言わなくていいよー」
「そうですか」
「うん、わたし堅苦しいの苦手だからさー」
「分かりました」
「あはは……」

 ほんとに分かってるのかな……。

「彩香さん、車」
「お、おおー」

 車が一台前からやってきたので銀治君の後ろにそっと並んでやり過ごす。

「……」

 そういえば彩芽も学校ではひとりぼっちだったし、銀治君もさっきそんなこと言ってたな……。
 彩芽と銀治君、似た者同士……なのかもしれないな……。

「銀治君っ」
「はい、何でしょう?」
「彩芽のこと、これからも優しくしてあげてね」
「もちろんです」
「ふふっ……言うまでもなかったかな」
「もし、彩芽さんが男から何かされてたら俺を呼んでください」
「……彩芽が前に何かあったの知ってるの?」

 銀治君の背中を見ながら問いかけると、少しだけ顔をこちらに向けて立ち止まった。

「男の人が苦手だと、それだけ聞きました」
「へえー……」

 あの彩芽がねえ……。

「フッフッフ……」
「どうしました?」
「いや、なんでもないよっ。んじゃ、わたし彩芽にアイス買って帰るからここでお別れだよ」
「分かりました」
「んじゃねー」
「はい、また」

 ……。
 銀治君から離れる為に路地に曲がって陰に隠れる。帰っていく銀治君を陰ながら見送った。

 それにしても、彩芽が男の人と会話するなんてなぁ……。
 もしかしたら本当に銀治君が彩芽のことを変えてくれるかもしれない……のかな。二人が良い感じになっちゃったら私どうしよう。
 銀治君、彩芽に何かあったらって言ったけど、私に何かあっても助けてくれるのかな……。

「……」

 いやいや、私は何を考えているんだ!
 彩芽のことも銀治君のことも今考えても仕方ないじゃないか!
 とりあえず彩芽にアイス買って帰って一緒にご飯食べてお風呂だ!

 スベスベの彩芽を抱きしめて今日あったこと忘れよう!




 ――こうして、中学高校で女性と付き合うことを諦めた銀治と、男の人にトラウマを抱える彩芽。二人を見守る彩香の三人の大学生活が始まっていくのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...