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4. ただでさえ顔がいいのにおめかししたらそりゃもう

4-2 王都へ移動!

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「よいしょっ……」

 そんな、ばっちりおめかししたアッシュ様の鞄を受け取りまして。いよいよ出発準備です。

「あ、今日の鞄はあんまり重くないね?」
「仕事に行くわけじゃないからな。荷物は減らしてある」

 といっても、気軽に遊びに行くような軽さではありませんけどね。
 この前のお仕事の時は、本当に色々なものが詰め込まれていたからなぁ……。あそこから取捨選択をするのも大変だと思うけど。そのあたりきっちりしてるのは、真面目なアッシュ様らしいな、なんて思う。

「準備の間だけ持っていてくれればいいからな」
「了解でぇす」

 おれは鞄を持ったまま、こくんと頷く。お任せくださいな。
 で……その『準備』というのが。

「今回の移動は、魔法陣を使う」
「おお……!」

 会合が開かれる王都の魔術連盟本部、そこへの移動の準備なわけですね。
 ご主人様が、綺麗に巻いてあった大きな紙を広げる。茶色っぽい紙の上には、白い線で魔法陣が描かれていた。

「今描くわけじゃないんだ?」
「同じ場所に転移するなら、魔法陣も使い回せるからな。魔術連盟の本部には、用事で呼び出されることもあるし」

 なーるほど。便利にできてるんだねぇ。
 アッシュ様は、広げた紙の四方に丸い石のような置物を配置していく。ただの重石……では、ないんでしょうね。なんか模様みたいなのが刻まれてるし。

「魔法陣での移動は、基本的に一人しか出来ないんだが」

 作業の傍ら、アッシュ様が説明してくれる。出た、アッシュ先生の魔術講座だ。

「使い魔は特例で、主人の『付属品』として同行することが可能なんだ」
「付属品……」
「……俺も、この表現はどうかと思うが」

 少し手を止めて、呟くアッシュ様。
 使い魔の生成に乗り気じゃなかった、っていう話の時も思ったけど……なんかアッシュ様、その辺気にしがちだよね。まあ使い魔的には、人権(人?)を尊重してもらえてありがたい限りなのですが。
 そんなこんなで、移動のための魔法陣の展開が完成した。広がった紙の上に、そろりと踏み入る。

「もう少し近付けるか」
「はぁい」

 一歩、二歩、距離を詰める。アッシュ様のすぐ隣に、ぴったり寄り添う形になる。
 いや……それにしても今日のアッシュ様、顔がいいなぁ……。ローブの上品さも相俟って、もはや神々しいとすら感じてしまうくらいの……。

「……どうした?」
「!」

 声をかけられて、おれはハッと我に返る。いけない、またしてもアッシュ様の姿に気を取られてた。
 どうしたもこうしたも。

(ご主人様がかっこいいので、見蕩れていました……)

 なんて、言えるわけないんですけど!

「なんでもありませーん……」

 おれは目を逸らしながらそう呟いた。
 ……いや、絶対何かある時の誤魔化し方じゃんね、これ。

「……? まあ、いい。出発するぞ」

 アッシュ様は僅かに怪訝な表情をしつつも、前に向き直り。
 長い木の杖を構えて――とん、と魔法陣の中心を突いた。

「――光よ。此の地と彼の地を繋ぎたまえ」

 そう呪文を唱えると、魔法陣が淡い光に包まれて……視界が真っ白に染まって……。
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