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4. ただでさえ顔がいいのにおめかししたらそりゃもう
4-1 おめかしアッシュ様
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「……ご主人様、まだかなぁ」
椅子に腰かけたまま、おれは暇な脚をぱたぱたと動かす。
お屋敷の広間にいるのは、おれと、メイドさんが数人。メイドさんたちは、何だかうきうきしている模様だ。
「今日の『会合』は、正装で臨まなければなりませんからねぇ。私どもも張り切っていますのよ」
「アッシュ様が着飾ってくださる機会なんて、この年に一度くらいしかないんですもの!」
「あははー……」
アッシュ様、いつも同じような服ばっかり着てるもんなぁ。たぶんそのあたり、無頓着なんでしょうね。
きっとアッシュ様のお着替えを手伝っているメイドさんたちは、もっとテンションが上がってるんだろうなぁ。
――今日は、王都で行われる魔術連盟の会合の日。
あれこれ言われていたこともあってか、アッシュ様はちゃんと出席することにしたみたいだ。
今は出発前、ドレスアップ中のアッシュ様を待っている時間なわけですが。
「っていうか、おれはこの格好でいいの?」
「使い魔は会合には出ないというお話ですので……構わないと思いますよ」
うーん。でもアッシュ様がこんなに時間をかけて支度してるなら、おれも何かおめかしするべきだったかな?
なんて考えていると、メイドさんが言う。
「それに。メグム様にとっては、それが一番の勝負服なのでしょう?」
……あ。
自分でリメイクした特製メイド服に、アッシュ様に買ってもらったシュシュ。普段着ではあるけれど、とびきり『かぁいい』おれの武装。
目から鱗が落ちた気分だった。
「……うん。そうだよ、この格好のおれが一番かぁいいんだから」
「でしたらそれで参りましょう! 使い魔仲間の方々との話の種になるかもしれませんし!」
メイドさんが、力強くこぶしを握って言う。
そんな風に言われたら、自信爆上がりですよもう。……お屋敷の外に行ったって、おれはおれらしくいればいいんだよね。周りからどう見られるか、どう思われるかなんて、気にしないでいいんだ。アッシュ様みたいに。
すると、広間の入り口のドアが開いて。
「メグム様~! アッシュ様の準備ができましたよ!」
「おー……!」
お着替えが完了したアッシュ様の姿を、おれはいそいそと見に行く。
――そこに現れたアッシュ様は。
「……」
いつものシャツとベストじゃなくて、白地に金の刺繍が入った上等そうなローブを着て。
さらに、髪はかっちりとオールバックにしていた。
こ、
これは……。
(かっ……こいい……!)
金髪と赤い瞳に『正装』の色合いがマッチして、史上最高にかっこいい。元から整った顔をしていたけど、綺麗に着飾った時の破壊力がここまでとは……。そこに立っているだけで絵画になってしまう。
ヤバくない? こんなの、女の子みんな虜になっちゃうよ。
(おれも人のこと言えないけど……!)
メグム、普段見られないご主人様のキメ姿に、ハートを鷲掴みにされております。いやはや、顔がいいのは分かっていたはずが……アッシュ様のポテンシャルを侮っていましたねぇ。
おれが、その姿から目を離せずにいると……アッシュ様が深く息をつく。
「……はぁ。堅苦しいのはどうも苦手だ」
「いやいやいやいや……!?」
一言目がそれぇ!?
こんなにもかっこいいのに、なるべく早く脱ぎたそうな顔をしている。親戚の結婚式に連れられてきた子どもか?
いやでも、気怠げな表情ですらも美麗だなぁ!?
「か、かっこいいですよご主人様!?」
「……そうか?」
「そうそう! おれもメロメロになっちゃうかも、なーんて……」
おれは強めに肯定する。こんなに素敵な格好をしてるんだもん、もっと自信持ってくれた方が絶対にいい!
「……」
ってあれ、黙っちゃったよ。
うーん……ご主人様の感情が分からないなぁ。嬉しかったのかそうでもないのか……や、嬉しくなかったら、もっと不機嫌そうな顔をするか。
おれの褒め言葉は素直に受け取ってもらえた……ってことで、いいんですかね。
椅子に腰かけたまま、おれは暇な脚をぱたぱたと動かす。
お屋敷の広間にいるのは、おれと、メイドさんが数人。メイドさんたちは、何だかうきうきしている模様だ。
「今日の『会合』は、正装で臨まなければなりませんからねぇ。私どもも張り切っていますのよ」
「アッシュ様が着飾ってくださる機会なんて、この年に一度くらいしかないんですもの!」
「あははー……」
アッシュ様、いつも同じような服ばっかり着てるもんなぁ。たぶんそのあたり、無頓着なんでしょうね。
きっとアッシュ様のお着替えを手伝っているメイドさんたちは、もっとテンションが上がってるんだろうなぁ。
――今日は、王都で行われる魔術連盟の会合の日。
あれこれ言われていたこともあってか、アッシュ様はちゃんと出席することにしたみたいだ。
今は出発前、ドレスアップ中のアッシュ様を待っている時間なわけですが。
「っていうか、おれはこの格好でいいの?」
「使い魔は会合には出ないというお話ですので……構わないと思いますよ」
うーん。でもアッシュ様がこんなに時間をかけて支度してるなら、おれも何かおめかしするべきだったかな?
なんて考えていると、メイドさんが言う。
「それに。メグム様にとっては、それが一番の勝負服なのでしょう?」
……あ。
自分でリメイクした特製メイド服に、アッシュ様に買ってもらったシュシュ。普段着ではあるけれど、とびきり『かぁいい』おれの武装。
目から鱗が落ちた気分だった。
「……うん。そうだよ、この格好のおれが一番かぁいいんだから」
「でしたらそれで参りましょう! 使い魔仲間の方々との話の種になるかもしれませんし!」
メイドさんが、力強くこぶしを握って言う。
そんな風に言われたら、自信爆上がりですよもう。……お屋敷の外に行ったって、おれはおれらしくいればいいんだよね。周りからどう見られるか、どう思われるかなんて、気にしないでいいんだ。アッシュ様みたいに。
すると、広間の入り口のドアが開いて。
「メグム様~! アッシュ様の準備ができましたよ!」
「おー……!」
お着替えが完了したアッシュ様の姿を、おれはいそいそと見に行く。
――そこに現れたアッシュ様は。
「……」
いつものシャツとベストじゃなくて、白地に金の刺繍が入った上等そうなローブを着て。
さらに、髪はかっちりとオールバックにしていた。
こ、
これは……。
(かっ……こいい……!)
金髪と赤い瞳に『正装』の色合いがマッチして、史上最高にかっこいい。元から整った顔をしていたけど、綺麗に着飾った時の破壊力がここまでとは……。そこに立っているだけで絵画になってしまう。
ヤバくない? こんなの、女の子みんな虜になっちゃうよ。
(おれも人のこと言えないけど……!)
メグム、普段見られないご主人様のキメ姿に、ハートを鷲掴みにされております。いやはや、顔がいいのは分かっていたはずが……アッシュ様のポテンシャルを侮っていましたねぇ。
おれが、その姿から目を離せずにいると……アッシュ様が深く息をつく。
「……はぁ。堅苦しいのはどうも苦手だ」
「いやいやいやいや……!?」
一言目がそれぇ!?
こんなにもかっこいいのに、なるべく早く脱ぎたそうな顔をしている。親戚の結婚式に連れられてきた子どもか?
いやでも、気怠げな表情ですらも美麗だなぁ!?
「か、かっこいいですよご主人様!?」
「……そうか?」
「そうそう! おれもメロメロになっちゃうかも、なーんて……」
おれは強めに肯定する。こんなに素敵な格好をしてるんだもん、もっと自信持ってくれた方が絶対にいい!
「……」
ってあれ、黙っちゃったよ。
うーん……ご主人様の感情が分からないなぁ。嬉しかったのかそうでもないのか……や、嬉しくなかったら、もっと不機嫌そうな顔をするか。
おれの褒め言葉は素直に受け取ってもらえた……ってことで、いいんですかね。
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