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2. ご主人様はクールで過保護
2-5 はじめての接客
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「……そういえばメグム、ローレルの使い魔とは顔を合わせたんだったか」
空っぽになったお皿を重ねて片付けていると、アッシュ様にそんなことを投げかけられた。
「うん、ファーくんのことだよね? それがどうかしたの?」
「明日、ローレルが尋ねてくる予定なんだが。簡単な接客でもしてもらおうかと」
「お!」
接客! 元の世界でもやってたお仕事だから、得意分野ですよっ。
多種多様な個性を持つ『ご主人様』たちを相手にしていたこともあるんだから、アッシュ様のご友人ときたら朝飯前ですよ。……ってのは、調子に乗りすぎかな?
でも、アッシュ様から直々に授かった初めてのお仕事だもんね。張り切っちゃうのも無理はないっていうか。
「あいつは寛容な男だ。お前のことを見ても変な顔はしないだろうからな」
「あは……そこまで配慮してもらわなくても、おれは平気だけどね?」
でも正直、その気遣いはありがたい。
この世界ではおれらしく生きる、って決意したけど……どうしても迷ったり、揺らいだりすることはあるから。
……ご主人様、なんだかんだ優しいんだなぁ。
ということで、日は移りまして。玄関でローレル様とファーくんをお出迎えです。
「おや、君は……」
木の杖と大きな鞄を持ったローレル様が、おれの顔を見てそう呟く。それとほぼ同じタイミングで、ファーくんがおれの方を見てぱっと笑った。
「メグムくん!」
「はい。アッシュ様の使い魔の、メグムです」
「そうか、君が。ふふ、随分と可愛らしい格好をしているんだね」
ローレル様が、おれの方を見下ろして優しく笑いかける。
おお……銀髪イケメンお兄さんの爽やか笑顔。これはキュンとしちゃうぜ。
「僕はローレル。一応、アッシュくんの友人をやらせてもらってるよ」
「ええ、お話は聞いてます」
近くで話をするのは初めてだけど……丁寧で優しそうな人だなぁ、ローレル様。これで魔術師としても優秀だって話だよね? きっと女の子たちからモテモテなんだろうな。
なんて言ってないで、お仕事お仕事……っと。
「アッシュ様のお部屋にご案内しますね。こちらへどうぞー」
二人に声をかけて、玄関から上がってもらう。
「ファー、荷物を」
「はいっ!」
ローレル様に言われて、鞄と杖を預かるファーくん。自分のポシェットと、ローレル様の荷物と……彼の体格じゃ、なかなか重そうだけど。おれも何か持ってあげた方がいいんだろうか。
そう思ってファーくんの方をちらりと見ると、
「あ、大丈夫ですよメグムくん! いつもこのくらい持ってますから!」
「そうー……?」
まあ、本人が大丈夫って言うならいいか。おれもおれで、二人のことを案内するって仕事があるしね。
廊下をてくてくと歩きながら、おれは二人に質問してみる。
「お二人は、出会ってから長いんですか?」
「そうだね、数年くらいかな。魔術師の中じゃ、まだまだ新米の主従だよ」
「え、数年で新米……?」
「そう。使い魔は、そう簡単に生成できるものじゃないからね。初めての使い魔とは、自然と長い付き合いになるものなんだ」
そういうものなんだ……。
ローレル様とファーくんが新米って言うなら、アッシュ様とおれなんてひよっこもひよっこじゃない?
実際、アッシュ様とおれの関係は、まだまだ手探りの状態なわけですが。
「えへへ。ローレル様は、ボクにすっごく優しくしてくださって! 最高のご主人様なんですよ!」
「ふふ……まったく。照れちゃうじゃないか」
キラキラの目でローレル様のことを見上げるファーくんと、はにかむローレル様。仲良しなんだなぁ。
アッシュ様とおれも、いつかはこんな風になれるのかな?
なれたらいいな、なんて思う。
空っぽになったお皿を重ねて片付けていると、アッシュ様にそんなことを投げかけられた。
「うん、ファーくんのことだよね? それがどうかしたの?」
「明日、ローレルが尋ねてくる予定なんだが。簡単な接客でもしてもらおうかと」
「お!」
接客! 元の世界でもやってたお仕事だから、得意分野ですよっ。
多種多様な個性を持つ『ご主人様』たちを相手にしていたこともあるんだから、アッシュ様のご友人ときたら朝飯前ですよ。……ってのは、調子に乗りすぎかな?
でも、アッシュ様から直々に授かった初めてのお仕事だもんね。張り切っちゃうのも無理はないっていうか。
「あいつは寛容な男だ。お前のことを見ても変な顔はしないだろうからな」
「あは……そこまで配慮してもらわなくても、おれは平気だけどね?」
でも正直、その気遣いはありがたい。
この世界ではおれらしく生きる、って決意したけど……どうしても迷ったり、揺らいだりすることはあるから。
……ご主人様、なんだかんだ優しいんだなぁ。
ということで、日は移りまして。玄関でローレル様とファーくんをお出迎えです。
「おや、君は……」
木の杖と大きな鞄を持ったローレル様が、おれの顔を見てそう呟く。それとほぼ同じタイミングで、ファーくんがおれの方を見てぱっと笑った。
「メグムくん!」
「はい。アッシュ様の使い魔の、メグムです」
「そうか、君が。ふふ、随分と可愛らしい格好をしているんだね」
ローレル様が、おれの方を見下ろして優しく笑いかける。
おお……銀髪イケメンお兄さんの爽やか笑顔。これはキュンとしちゃうぜ。
「僕はローレル。一応、アッシュくんの友人をやらせてもらってるよ」
「ええ、お話は聞いてます」
近くで話をするのは初めてだけど……丁寧で優しそうな人だなぁ、ローレル様。これで魔術師としても優秀だって話だよね? きっと女の子たちからモテモテなんだろうな。
なんて言ってないで、お仕事お仕事……っと。
「アッシュ様のお部屋にご案内しますね。こちらへどうぞー」
二人に声をかけて、玄関から上がってもらう。
「ファー、荷物を」
「はいっ!」
ローレル様に言われて、鞄と杖を預かるファーくん。自分のポシェットと、ローレル様の荷物と……彼の体格じゃ、なかなか重そうだけど。おれも何か持ってあげた方がいいんだろうか。
そう思ってファーくんの方をちらりと見ると、
「あ、大丈夫ですよメグムくん! いつもこのくらい持ってますから!」
「そうー……?」
まあ、本人が大丈夫って言うならいいか。おれもおれで、二人のことを案内するって仕事があるしね。
廊下をてくてくと歩きながら、おれは二人に質問してみる。
「お二人は、出会ってから長いんですか?」
「そうだね、数年くらいかな。魔術師の中じゃ、まだまだ新米の主従だよ」
「え、数年で新米……?」
「そう。使い魔は、そう簡単に生成できるものじゃないからね。初めての使い魔とは、自然と長い付き合いになるものなんだ」
そういうものなんだ……。
ローレル様とファーくんが新米って言うなら、アッシュ様とおれなんてひよっこもひよっこじゃない?
実際、アッシュ様とおれの関係は、まだまだ手探りの状態なわけですが。
「えへへ。ローレル様は、ボクにすっごく優しくしてくださって! 最高のご主人様なんですよ!」
「ふふ……まったく。照れちゃうじゃないか」
キラキラの目でローレル様のことを見上げるファーくんと、はにかむローレル様。仲良しなんだなぁ。
アッシュ様とおれも、いつかはこんな風になれるのかな?
なれたらいいな、なんて思う。
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