貴公子、淫獄に堕つ

桃山夜舟

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宵祭

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 もう何人と交わったかわからない。
 ぐったりと横たわる真霧まきりに新たに別の男が覆いかぶさる。

「ようやく我らの番が回ってきましたぞ」

 耳元で囁かれて、閉じていた目をはっと開くと、左大臣の家人けにんたちに見下ろされていた。

「……っ、や……」

 唇を震わせ、かぶりを振る。
 彼らは他の信徒達とは違う。
 真霧の素性を────すました顔で公達きんだちとして振る舞う姿を知っているのだ。
 そんな者たちに痴態を晒すなんて。

 逃れようと身を捩る。
 けれど、鍛え抜かれた武者の体はびくともせず、腹に付くほど反り返った凶器を突き立てられた。

「あぁ……────ッ」
「……おお、これが都一の美しさと言われるお方の中か、これほどとは……」
「っ、やぁ……っ」

 感極まったように囁かれ、羞恥に涙ぐむ。
 けれど、己を知る者に犯されるという葛藤も快感の前で押し流されていく。
 とろけ切った柔肉は男を包み込み、奥へと誘い込むように絡みつく。
 
 男は粘っこく腰を使い、真霧を散々に感じさせ、喘がせると、遠慮なくたっぷりと腹の中に注ぎ込んだ。
 すると待ちかねていたもう一人の武者がすかさず真霧を膝の上に乗せ、背後から貫いた。

「う……、あっあぁあ……!」

 己の体重で深く突き刺さり、たまらず背後の男の肩に頭をこすりつけて身悶えれば、男は興奮して激しく突き上げ始めた。

「はあ、真霧様……、そのようにねだられてはたまりませぬっ」
「あぁっ、そんな、に……っ、んんっ、はげしく、しないでえ……っ」

 体格のいい武者に抱えられ、小柄な真霧は翻弄されるしかない。
 身勝手で乱暴な抜き差しにも関わらず、どうしようもなく感じ入っていた。





 全ての者との交わりが終わったときには、夜が明けていた。
 開け放たれていた縁の向こうの庭から、白々とした朝の光が満ち始める。
 
 乱れた吐息を吐きながら横たわる真霧の上に人影が射す。
 浪月ろうげつだ。

「気は満ちた」

 囁くようにそう告げて、浪月は真霧の脚を開かせ、逞しい物で再び貫いた。

「あぁっ、は、ぁ……っ」

 奥まで埋め込まれ、真霧はうっとりと吐息をこぼした。
 なぜだろうか。
 他の男とは、何かが違うような気がした。
 繋がったそこから、互いの体が溶け出して混ざり合っていくような、えもいわれぬ感覚に胸が震える。
 内奥を繰り返し突かれ、広い背中に縋りながら、甘く喘ぐ。

「奥がよいのか」

 囁かれ、こくこくと頷いた。

「は、い……っ、あ、ああっ、んんっ」
「では、更に奥の門を開けてやろう」

 ぐっと深く腰を突き入れられ、息を呑んだ。
 突き当たりだと思っていたそこに剛直の先端が強く押しつけられ、めり込もうとしている。

「あ、な、に……やっ」

 咄嗟にずり上がろうとするが、腰を引き寄せられてしまう。
 腿が胸に突くほど足を折り曲げられたかと思うと、深く突き込まれ、ぐぷっと最奥をこじ開けられた。

「ああぁ──…………っっ!!」

 刹那、凄まじい快感が迸り、真霧は絶叫した。
 紋様がかっと熱くなる
 見開いた目からどっと涙があふれ出す。

「上手に開いたな」

 浪月が真霧の下腹を撫でる。
 這入り込んだそこは、まさに紋様の真下だった。

「あ……く……っううんっ」

 ぐぽぐぽと奥を出入りされるたび、強すぎる愉悦が身を焼く。

「あうっ、あっ、ああ、ああん……っ」

 もう喘ぐことしかできない。

「さあ、一番奥へ注いでやる」

 浪月が真霧の足を肩に担ぎ、上から圧するように抽送する。
 容赦無く奥深くを突かれ、真霧は咽び泣きなが浪月の背に爪を立てた。

「あ、あああ──…………っ」

 熱い迸りが最奥に叩きつけられた。
 下腹がドクンと脈打ち、搾り取るように内壁がきつく収縮する。
 こじ開けられた先に流し込まれる快感に、真霧は全身を震わせた。



 四肢を投げ出し、褥に横たわる真霧の下腹を浪月が撫でた。
 そこには、濃さを増した紋様が浮かび上がっていた。

「見事、神子の徴が得られた」

 高らかに告げると、信徒たちが、おお、と歓声を上げる。

「奉納祭が全てが終わる時にはこの紋も更にくっきりと刻まれていよう」

 耳に心地よい浪月の低い声を聞きながら、真霧の意識は霞んでいった。

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