貴公子、淫獄に堕つ

桃山夜舟

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宵祭

曝け出す※

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 そこには当然あるべき、下生えがなかった。
 真霧まきりは生来毛の薄い性質らしく、脇や足などの体毛もほとんどなく、髭も生えない。
 手足の毛が薄い者はたまにいる。
 だが、秘めた場所が無毛な者は稀だ。
 それこそが真霧が色事に積極的になれない理由の一つだった。

「……っ」

 視線が一点に集まっているのを感じ、いたたまれず唇を噛んで目を伏せた。
 恥ずかしさに頬が赤く染まる。
 今にもどっと笑いが起こるだろう。
 そう身構えた。
 だが、男達の反応は予想したものとは異なった。

「おお、なんと愛らしい」
「なめらかな絹のような手触りじゃ」
「え……」

 真霧は戸惑い、瞬く。
 笑うどころか、彼らは口々に誉めそやしだしたのだ。

「このようなところでまで美しいとは、さすが神子様」

 むしろ興奮に更なる火がついたようで、つるりとしたそこを争って撫で始めた。

「あ、は、ぁ……っ」

 群がるように脚の付け根を撫でさすられ、膝を震わせる。

「あぁっ!」

 不意に、無毛のそこをべろりと舐められ、高い声が上がった。

「あ……っ、やぁっ!そんなとこ……っ」

 それを合図にしたかのように、次々に信徒達が真霧の肌に舌を這わせ始めた。
 赤く膨らんだ胸粒を舌で転がされ、疼く下腹の紋様を舐められて、びくびくと体が跳ねる。

「ひ……んんっ」

 脚の間が熱い感触に包まれた。
 真霧の立てた膝の間に顔を伏せた男が、花芯を口に咥えたのだ。
 分厚い舌にねっとりと舐められながら吸い上げられ、腰が抜けそうになる。
 強烈すぎる未知の刺激に、真霧は髪を打ち振るい、身悶えた。

「だ、だめぇ……あぁっ」

 同時に左右の胸を吸い上げられ、背が浮き上がった。
 腋下や足指の先まで、全身を舐められ、過ぎた快楽に涙が溢れる。

「も……、おかしくなる……っ」
「おかしくなればいい」

 いつの間に間近にいたのか、浪月ろうげつが、真霧の頬を伝い落ちた涙を長い指で拭った。

「心のままに、己をさらけ出せばいい」
「ぁ……、こころの、まま……?」

 首の後ろを支え起こされた。
 浪月の端正な顔が近付く。
 熱い吐息で湿った唇が、浪月のそれで塞がれた。

「ん……ぅっ」

 驚きに開いてしまった歯列の間に舌が入り込んでくる。
 口内を舐められ、鼻にかかった声が漏れた。
 口吸いをしたことがないわけではない。
 だが、幾人かの女人と交わしたのは、そっと唇を重ね合わせるだけのものだ。
 こんな口の中を愛撫されるような濃厚なのは知らない。
 脚の間にいた男が身を引き、代わって浪月の長い指が花芯を握り込んだ。

「ぁ……ん、んっ」

 口の中を嬲られながら、花芯の先端から溢れ出す蜜を絡めるように上下に扱かれ、びくびくと腰が跳ねてしまう。

 ────おかしくなればいい。

 そう言われた。
 心のままに、己をさらけ出せばいい、と。

(いいのだろうか)

 いつだって、しきたりやしがらみにがんじがらめだった。
 ここに来たのも、左大臣の命に従わなければあの都では貴族として生きていけないからだ。
 他人に己をさらけ出したことなど一度もない。

(でも、今は、それが許される……?)

 そう考えた途端、体がかっと燃えるように熱くなった。
 淫らな灼熱が身の内を渦巻き、出口を求めて押し寄せる。

「あふ……んんぅ──っ!」

 全身を痙攣させながら、真霧は極めた。
 腰をがくがくと揺らし、浪月の掌に吐き出してしまう。
 息もできないような深い絶頂だった。
 こんな身も世もなく極めたのは初めてで、達した後もまだ指の先が痺れている。

 褥に倒れ込んだ真霧の頬を浪月が一撫でした。
 まるで、よくできたと褒めるかのように。

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