負けず嫌い

雨森

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負けず嫌い

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みなさんは“負けず嫌い”と聞くと、どのようなイメージを抱きますか?

 僕は、競争に勝ちたいという気持ちを持ち、ひたむきに努力するようなそんな人の姿が思い浮かびました。これは僕個人の解釈と言うよりかはある程度一般的な解釈であるように思います。
 それでいうと、僕は負けず嫌いではないのでしょう。僕には競争心と言ったものが欠如していると日々感じるからです。何かとつけて競い合う周りの友人やマウント合戦を繰り広げる大人たちを横目に何の意味があるのだろうと考えたことも少なくないですし、受験という激しい闘争の中でも勉強時間を変えることはありませんでした。僕はそれが自分の競争心の欠如や怠惰な気から生じるものだと推測していたのですが、それだけではどうも腑に落ちないとも感じていました。
 そこで、ある時気付きました。僕は極度の“負けず嫌い”なのだと。ここまで読んで下さった方からすれば、先ほど述べていた内容との矛盾を怪訝に思われるかもしれません。しかし、僕は一般的な負けず嫌いとは違った方向にその兆しを見せていたものですから、すぐに気付かなかったことも頷けるのです。
 僕の“負けず嫌い”は僕が怠惰であることに現れていたのです。僕の怠惰の根底には他の人と同じ土俵に立ちたくない、という強い思いがありました。いわば、僕は相手と戦わないことを選択することによって、相手に負けるという結果を阻止していたのです。これを負けず嫌いと言わずになんと言いましょうか。
 このようなあらましで僕は自分の極度に負けず嫌いである事実を知ることになったのです。絶対に勝ってみせると意気込む競争心を持つ人たちよりも、自分の方が幾分か卑怯で、負けず嫌いであることに気が付くと今までのことが腑に落ちるとともに、自分でさえも自分のことを真に理解するのは難しいとしみじみと感じました。自分が負けず嫌いだということにまるで気付かなかった僕のように、みなさんにももしかしたら、自分が気が付いていない新しい一面があるかもしれませんね。
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