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第6話 強力! クリーナーアプリの恐怖
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アプリ名:剛力クリーナー(フリー版、使用期限30日)
現在のバージョン:1.3
神的評価:★★★
神的レビュー:恐ろしい程に強力です。剛力に名前負けしていません。ただ……
詳細説明:
スマホを快適に!
なんでも消して、サクサク、スムーズに。
機種が古いスマホでも、まるで生まれ変わったかのように性能アップ。
ぜひ、一度お試しください。
ジキルのフリーズが怖いことを知った翌日。
私たちはレストランでスマホを覗き込んでいた。
「この剛力クリーナーってやつをダウンロードしようと思うんだけど、どう?」
「お嬢様の思うままに。わたくしのためにしていただいていることに、意見を挟めるはずもありません」
ステーキを上品に切り分けながら、ジキルが言う。
口についたソースを紙ナプキンでぬぐい、小さく切った肉を口へ運んでいく。
……戦士の食べ方じゃないよね。
戦士ってさあ、もっと粗野に豪快に骨付き肉を食べるもんじゃないかしら。
「アプリのレビューが少し気になりますよね。『ただ……』の後に何を書きたかったんでしょう?」
ジキルに対して、ニコルは少年らしい食べ方をしている。
パンにシチューをつけてほお張ると、くしゃっとした笑顔を浮かべる。
可愛いなあ。
もちろん、機能制限を外して大人になったニコルも見てみたい。
けど、赤毛の小さい少年のままでもいいかな、と思う。
「もう少し戦ってレベル上げるのもいいとは思うんだけどねー。機種変したとして、どのぐらいの性能になるか」
結局、クリーナーのお世話になるのなら、今から使っておいた方がいい。
30日間の使用制限があるけど、1ヶ月もあれば、そこそこ良い機種になってるはず。
それに、クリーナーアプリは他にもある。
私は結局その『剛力クリーナー』をダウンロードした。
さすがに『開く』ボタンをすぐには押せない。
私たちは念のため、街の外に出て、クリーナーアプリを起動した。
『ただ……』というのはやっぱり気になる。
まさかと思うけど、皆を巻き込んで掃除しちゃうなんて事になると……想像しただけで怖い。
「じゃ、じゃあ起動するわよ」
声が震える。
実際、モンスターと戦うより怖い。
街の周囲に建てられた壁を背に、私は『クリーン』
の文字をタップした。
途端にゴゴゴゴゴと、とてもアプリとは思えない音が聞こえてくる。
これは……期待して良いものか、それとも……。
「ニコル、ジキル、ちょっと離れておいたほうが……」
2人共、今は人型をしてると言っても、アプリなんだ。
話していると、ついつい人間と思っちゃうけど。
アプリとクリーナーっって相性良いのかな。
「ニコルー? ジキルー?」
あれ? 2人の姿はどこ……?
ま、まさか。
剛力クリーナーで強制的に終了されたんじゃ……。
――と、いうお決まりの展開は起きなかった。
単純に私のさらに後ろの壁近くに立っていただけだった。
私が反対側に向って話していたので、聞こえなかったようだ。
「だ、大丈夫? 消えそうになったりしてない? 姿が消えてなくても、履歴……というか記憶がなくなったりしてない?」
2人共「問題ない」と頷く。
しかし、そう尋ねた私の手から……さらに大きな音が聞こえてきた。
「あれ? これって……もしかして私が吸い込まれるパターン?」
現在のバージョン:1.3
神的評価:★★★
神的レビュー:恐ろしい程に強力です。剛力に名前負けしていません。ただ……
詳細説明:
スマホを快適に!
なんでも消して、サクサク、スムーズに。
機種が古いスマホでも、まるで生まれ変わったかのように性能アップ。
ぜひ、一度お試しください。
ジキルのフリーズが怖いことを知った翌日。
私たちはレストランでスマホを覗き込んでいた。
「この剛力クリーナーってやつをダウンロードしようと思うんだけど、どう?」
「お嬢様の思うままに。わたくしのためにしていただいていることに、意見を挟めるはずもありません」
ステーキを上品に切り分けながら、ジキルが言う。
口についたソースを紙ナプキンでぬぐい、小さく切った肉を口へ運んでいく。
……戦士の食べ方じゃないよね。
戦士ってさあ、もっと粗野に豪快に骨付き肉を食べるもんじゃないかしら。
「アプリのレビューが少し気になりますよね。『ただ……』の後に何を書きたかったんでしょう?」
ジキルに対して、ニコルは少年らしい食べ方をしている。
パンにシチューをつけてほお張ると、くしゃっとした笑顔を浮かべる。
可愛いなあ。
もちろん、機能制限を外して大人になったニコルも見てみたい。
けど、赤毛の小さい少年のままでもいいかな、と思う。
「もう少し戦ってレベル上げるのもいいとは思うんだけどねー。機種変したとして、どのぐらいの性能になるか」
結局、クリーナーのお世話になるのなら、今から使っておいた方がいい。
30日間の使用制限があるけど、1ヶ月もあれば、そこそこ良い機種になってるはず。
それに、クリーナーアプリは他にもある。
私は結局その『剛力クリーナー』をダウンロードした。
さすがに『開く』ボタンをすぐには押せない。
私たちは念のため、街の外に出て、クリーナーアプリを起動した。
『ただ……』というのはやっぱり気になる。
まさかと思うけど、皆を巻き込んで掃除しちゃうなんて事になると……想像しただけで怖い。
「じゃ、じゃあ起動するわよ」
声が震える。
実際、モンスターと戦うより怖い。
街の周囲に建てられた壁を背に、私は『クリーン』
の文字をタップした。
途端にゴゴゴゴゴと、とてもアプリとは思えない音が聞こえてくる。
これは……期待して良いものか、それとも……。
「ニコル、ジキル、ちょっと離れておいたほうが……」
2人共、今は人型をしてると言っても、アプリなんだ。
話していると、ついつい人間と思っちゃうけど。
アプリとクリーナーっって相性良いのかな。
「ニコルー? ジキルー?」
あれ? 2人の姿はどこ……?
ま、まさか。
剛力クリーナーで強制的に終了されたんじゃ……。
――と、いうお決まりの展開は起きなかった。
単純に私のさらに後ろの壁近くに立っていただけだった。
私が反対側に向って話していたので、聞こえなかったようだ。
「だ、大丈夫? 消えそうになったりしてない? 姿が消えてなくても、履歴……というか記憶がなくなったりしてない?」
2人共「問題ない」と頷く。
しかし、そう尋ねた私の手から……さらに大きな音が聞こえてきた。
「あれ? これって……もしかして私が吸い込まれるパターン?」
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