ダイヴのある風景

mic

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第五章

第五章 ⑩

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「ねえ、カナ」冴子がカナに歩み寄った。「明日から私たちのグループに入って、一緒に仕事をしない?」
「え? いいの?」カナは驚いて冴子を見た。そして、僕や信良や花江も。
「そりゃあいい考えだ。しかしよう、舟は四人乗りだぜ。もう乗れないぜ」
「だいじょうぶよ。私たち、間もなく高校生でしょ。高校生は、六人乗りの舟を借りられるの。だから、一人足りないくらいよ。まあ、もう一人男を誘って男女のバランスをとらなきゃね」冴子が僕を見て悪戯っぽく笑った。
 そっぽを向く僕。「この辺りも緑がだいぶ濃くなったなあ」
「よかったね。よかったね」と花江がはしゃいだ。
「じゃあ、明日は初仕事ね。初にして晴れ舞台よ。羽音おばあちゃんの回収だものね。カナ、がんばってよね」と冴子がカナの手を握った。
「鎌の使い方を教えてくれる?」とカナが尋ねる。
「もちろんよ」冴子が笑顔で答える。
「でも、本当は誰かさんが直に教えたいんじゃないの?」横目で僕を見る冴子。
 好きに言いやがれ。僕は深呼吸して自然を吸い込んだ。
「この辺は、鳥も増えたね。あいつらは落ちることなんて知らないだろうね」僕は滝の水が消え落ちていく辺りを見る。「求めている風景が、僕らとはまったく違うから」
「ま、そうだろうな」信良も水の流れを見つめながら言う。「求めている風景かあ。俺はどんな風景を求めているんだろうな」
 僕は少し時間をおいてから、信良を見る。「これからそれを見つけるのさ。一緒にね」
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