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第96話 エステのついで

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ラスベガスへ来た翌日、街へ出かける前にコーエル様のホテルの一室で娘のドリスさんの施術をすることになりました。

ドリス・コーエル
性別:女
年齢:20歳
身長:180cm
体重:68kg
B:90cm
W:58cm
H:88cm
【処女】



「じゃあ、施術を始めますよ」

「は…い…」

シャルル様は私の身体を隅々までじっくりと見られています。
エステとはいえ男性に裸を見られるのは恥ずかしいですね。

「悪いのは右脚でしたね? 凄いなぁ、これが現代の再生医療ですか…」

脚を切断するほどの事故だったらしいですが、切断位置は分かるもののしっかり生身の脚がくっ付いています。

テニス選手として収入があった事、そして家が裕福なおかげもあり義足にならずに済んだそうです。
又、ルール上テニス選手でいる為にはリーマンの一部を使った義足ではダメだそうです。
多分どんなプロスポーツでもダメなのでしょう。

「ですが、いくらリハビリしても思ったように動かせなくて…」

「そうみたいですね。神経や筋が上手く繋がっていないようです」

僕には異常個所が細かな光の点滅として判別できています。
再生医療と言ってもあくまで生身のパーツということなのでしょう。

「えっ、そんな事も分かるのですか!?」

お医者様でもあるのね…。

「肩や背中の筋肉も傷めているようですね。動けない間に無理なトレーニングでもされたのでしょう」
「こちらもエステのついでに治してあげますよ」

「えっ? あ、はい…」

何かとんでもないことをおっしゃったような…。
治療がエステのついでですって…?



いつものように俯せの状態で足先から順にマッサージを進めていきます。

(まずは右脚を治さないとな…)

切断された状態なら【再生】で完璧に戻せるけれど、現状ならやっぱり【治療】と【回復】か…。
切断痕も消せて、ベストな状態に戻るはずです。

右脚が移植や義足ならもう一度切り落として【再生】してあげるところだけれどね…。

【治療】と【回復】を済ませるといつも通りの施術に戻ります。



XX XY



「マム、私の脚が治ったの!」

施術が終わりシャルル様達が部屋に戻られると、急いでマムの下に向かいました。
全速力で走ったり、階段を駆け上ることも苦ではありません。

「えっ、本当なの!? それにそんなに艶やかで瑞々しくしていただいて…」

「もう、何もかも信じられない!」
「身体の変貌もそうだけれど、脚なんて元から怪我なんてしていなかったようなのよ。それに全身が軽くて活力が漲ってくるの」

「分かるわ、その感覚。子宮がドクドクと動き出したのね」

「シャルル様は本当に神様のよう…」

「フフ…、私がシャルル様に出会ったおかげよ。感謝してよね!」

「もう、分かっているわよ~」

「それより、きちんと料金は支払ってきたの? 失礼なことはしていないでしょうね」

「当然よ。安過ぎて申し訳ないけれど500万ドルを支払ってきたわ…」

これまでの貯金の大半が無くなったけれど惜しいとは思いません。

「そう、それ以上の感謝の気持ちはホテルにゆっくり滞在していただいて…」
「それでシャルル様達は…?」

「部屋に戻られて、午後からは街に出掛けられるって…」
「私も午後からトレーニングに出掛けてくるわ!」

「そう、良かったわね…」

久しぶりに見た娘の元気な姿に安堵します。



「ドリス、『性典』を頂いて【淫紋】は施してもらったの?」

「もちろん、2回目の施術を希望する場合には必要なのよね。マムはどこまで現れたの?」

「仕方がないわね~。これくらいよ…」

スカートの裾を捲り上げてドリスに【淫紋】を見せます。

「まだ1/4くらいなのね」

やっぱり下着は穿いていないんだ…。
動く度にクリットが擦れるもんね…。

「フッ、どれだけ大変かすぐに分かるわ。でもイクほど感度も上がって身体の調子も良くなりますからね」
「早く2回目が受けられれば良いんだけれど…」

「お金だけじゃなく努力も必要なのよね」
「……マム、私もシャルル様のパートナーになれないかしら…」

こんな気持ちになったのは初めてです。

「えっ!?」

「シャルル様ほど格好良くて逞しい男性はいないし、皆さんとても幸せそうなんですもの…」

助けていただいたことが一番ですが、シャルル様に触れられるだけであんなに気持ちが良いのですから…。

「そうね、私は反対しないけれど、まずはドリスがシャルル様に認められるかでしょうね。アイ様やマオ様を始めあんなに美しい女性達囲まれておられるのよ。ドリスはシャルル様の為に何が出来るの?」

「うっ、それは…」
「とりあえず、今晩の夕食時にお願いしてみようと思うから…」



XX XY



「シャルル様、お帰りなさいませ。ジャックポットをされたとか…」

「もうご存知なのですか?」

夕食時にコーエル様と顔を合わせるや否やそんな事を聞かれました。

「そういった情報はラスベガス中に知れ渡りますから…」

「ご主人様は強運ですからね」

「私もルーレットで大儲けでした」

「マオもそうだけれど、パートナーの誰も負けなかったよね」

それぞれ資産を増やせたと喜んでいます。

「フフ…、私のホテルじゃなくて良かったですよ…」



「それよりシャルル様、ドリスの脚を治していただきありがとうございます」

「気になさらず…。エステの一環ですから…」

ドリスさんは変貌より喜んでいる感じだったからな…。
再びテニスが出来ることが嬉しいんだと思う。

「シャルル様、お願いがあります!」

「えっ、いきなりどうしたの?」

隣に座っていたドリスさんがこちらに向き直り神妙な面持ちで話しかけてきます。

「私をシャルル様のパートナーにしてください!」

「えっ…」

そうか、こういうパターンもあるのか…。

条件に合ったお客様には、3回目のエステでパートナーになって貰うつもりでしたが、先にお客様からお願いされることは考えていませんでした。

「ダメでしょうか…?」

「「ご主人様(マスター)…」」

「分かってるって…」

アイやマオの表情を見ると問題は無さそうです。
ですが…。

「良いでしょう」

「本当ですか!?」

「でも、条件があります。まずは最低でも【淫紋】を完成させること。そして『全米オープン女子シングルス』で優勝…して欲しいけれど決勝に進出すればパートナーにしてあげるよ」

「優勝…ですか…」
「……、シャルル様に身体を治していただいたのですから、どちらも達成します!」

「ハハ…、その意気だよ」

そうは言いましたが今年の『全米オープン女子シングルス』は終わったところらしいので、結局は先に【淫紋】が完成し、2回目のエステを受けた後にパートナーになって貰うことになるでしょう。

「ドリス、良かったわね」
「でも、いずれドリスにはこのホテルを継いでもらいたかったのだけれど…」

「もし僕のパートナーになったとしてもホテルを継いでくれていいよ」
「ご覧の通りパートナーはたくさんいるからね」

「マムも良かったわね。私もしばらくはテニスに打ち込むわ」

「本当に嬉しいわ。シャルル様と縁が出来たのですから…」



「ご主人様、でしたらこの『THE:C』をラスベガスで一番にしておきたいところですね」

「マスター、他のホテルの資金力を低下させますか…」

「アイの考えには賛成だけれど、マオの考えは一時的な事だからな…」

「え~、バネッサ様とドリスさんを含めるとちょうど11人になって『オー○ャンズ11』みたいだったのに…」

「それも面白いけれど、現実的にはやっぱりお風呂かな…」

「VIPの女性がこぞって泊まりたくなるようなホテルにするのですね」

「そういう事」

お金持ちの女性客を総取りです。

「なるほど世界中のVIPの女性がこのホテルに滞在することになれば世界征服も加速度的に…」

「マオ、まだ言っているの…」
「コーエル様、このホテルの規模はどれくらいなのですか?」

「ラスベガスでは6番目から8番目辺りです。一応歴史のあるホテルなんですよ…」

「立地は良いけれど少し周りより小さめだよね…?」

「昔、区画整理の為に一部を収用されまして…」

「仕方が無いな…。とりあえずVIPの女性客を増やして、カジノ目的だけじゃなく、まずは利用したいホテルNo,1にしよう!」
「それから隣のホテルでも吸収するか」

「「良いですね~」」

「えっ、隣のホテルですか!?」

「あっ、もしかして仲が良かったかな?」

「いえ、そんな事は…。隣の『CHAOS』の方が以前からこのホテルの吸収を狙っていまして事あるごとに…」

「そうだったんだ…」

「「ご主人様(マスター)、それなら何の憂いもありませんね」」

「確かに…」

(えっと…、この会話は何だったの…?)

ドリスがパートナーになる為の話だったのに、いつの間にかラスベガス一のホテルになる為の計画が始動したのです。
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