DNAの改修者

kujibiki

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第489話 【閑話】マーガレット様達の見学

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「「「シャルル様~!」」」

「サラ、ベス、ミア…久しぶり…」
「み…見違えたよ、とっても似合っているね~」

僕がエマ達と慰安旅行に行っている間にクーシアが三人の採寸をしてあげたのは聞いていましたが、いつの間にかメイド服が出来上がっていたようです。
僕にとっては見慣れた服装ですが初めて着たところを見るのはとても新鮮です。

「ようやくシャルル様に見ていただきましたよ~」

「とっても軽くて着心地が良いです」
「エマ達とお揃いになりました~」

ベスとミアが僕の側に来ると、そう言いながらその場でクルクルと回って見せてくれています。
言動が幼い感じなので勘違いしますが、二人は16歳でエマ達のお姉さん(役)でもあるのです。
今では出る所も出て立派な女性なので素肌が良く見えるようになるとドキッともします。

「「シャルル様~、前に言っていた“シャルル抱き”をお願いしますよ~」」

「あ~、そういえばそんな事を言っていたね…」

忘れかけていた約束でしたがベスとミアは楽しみにしていたようです。
すっかりメイドらしくなった二人に“シャルル抱き”をしながらキスをしてあげました。

「なっ、二人とも…“きす”まで…」

そう言うサラは17歳ですが、元海賊の首領であり、皆の面倒を見てきただけあってしっかり者のお姉さんという感じです。
その分ちょっと甘え下手みたいかな…。

「ほら、サラもおいで…」

二人とし終わった後、サラには正面からギュッと抱き寄せてキスをしてあげると、腰をピクピクっとさせて喜んでいました。

「と…ところでシャルル様、後ろのお二人は…?」

「あぁ、そうだった…。こちらはジェシカとカリーナといって、ジェシカはローマン帝国のカプランド領主様のお嬢様なんだよ」

領主会議前は来年で良いかと思っていたけれど、この機会にサラ達もパートナーになってもらおうかな…。
ジェシカ達にもサラ達がクリス達と同じように僕が雇っているメイドだと紹介しておきます。

サラ達によると僕達より少し前にマーガレット様達が来られているそうです。

「ジェシカ達はサラ達に街を案内してもらって、“シャルル巻き”のお店にも連れて行ってもらうと良いよ。僕はちょっと魔道具製作所の事で時間が掛かりそうだし…」

「そ…そうね。シャルルと一緒に行ってみたいけれど、私達が邪魔してもいけないわよね」

「シャルル様は街を出歩かれない方が良いですよ…」

「どうして?」

サラの言葉に僕だけじゃなくジェシカ達も不思議そうにしています。

「先日、サマンサ様がパートナーの発表をされた時に、シャルル様のお名前を公表されたのです。オーリエ様と二人が同じ男性のパートナーになる事はこれまで考えられなかった事なので領都はお祭りのようになっていて、シャルル様を一目見たいと探している女性が集まってきているのですよ」

「え~っ、そんな事になっているの~!?」

名前は発表されていると思っていましたが、予想以上に大層な事になっているようです。『男性選手権』で優勝した時のようなのかな…。
シェリーやユナ、エンターシャとアデルまでもが同じ名前の男性のパートナーになっていると領都間で知られるのは時間の問題のようです。
まぁ、それについてはシェリー達に任せるしかないか…。



ジェシカ達をサラ達に任せると、早速マーガレット様達を『シャルル魔道具製作所』に案内します。

サマンサとグリシャも付いて行きたいと言いましたが、お腹が目立ってきているのでお留守番してもらいオーリエだけが付いてくることになりました。

「もうここが『シャルル魔道具製作所』…なのですか…?」

「ハァ~、やっぱりシャルルの【転移門】の魔法は凄いですね~」

「「……」」

『シャルル魔道具製作所』の応接室に転移すると、マーガレット様とエリカはそう言いながら部屋の中をキョロキョロと見回しています。
デイジーお姉さんとビオラお姉さんも【転移門】の事は知っているので驚きはしませんが同じみたいです。
そんな四人に声を掛け部屋を出ると中庭の方に案内します。



「「「シャ…ルル…様…!?」」」
「みんな~、シャルル様が来て下さったわよ~!」

僕を見かけるや否や誰かが大きな声でそう言うと、至る所から皆が駆けてきて、あっという間に中庭に整列します。

「す…凄いわね…。圧倒されちゃうわ…」

マーガレット様は感心しながら僕の後を付いて来ていて、僕は中庭に着くといつもの用意されている壇上にあがります。

「皆、なかなか来られなくてごめんね。今日はフリーノース領の領主様であるマーガレット様とお嬢様のエリカ様が見学に来られています。皆の作業しているところを少し見学させてね…」

「……シャルル様!」

「ど、どうしたのミルキー!?」

最前列に並んでいるチームリーダーのミルキーが勢いよく手を挙げてきました。

「シャルル様、そちらにおられるのはオーリエ様ですよね。先日オーリエ様とサマンサ様がシャルル様のパートナーになられたと聞きました。他に何人もの女性がパートナーになられたとか…?」

伝えに来られたサンディさんとローザさんもパートナーの一人だと少し自慢されていたのです。

「実は…そうなんだ…、驚いた…よね?」

皆の関心はマーガレット様より僕のパートナーについてのようです。
同時に二人でもありえないのに、他に何人ものパートナーがいると知れば驚くのも無理はありません。

「ほ…本当だったのですね~!」
「オーリエ様おめでとうございま~す(×全員)」
「「す…凄いですぅ~!」」
「「「さすがシャルル様~」」」
「「オーリエ様が羨ましいですよ~」」

突然皆からそう言われ、驚いたオーリエも嬉しいのかニコニコと、でも恥ずかしそうに会釈しています。

「まぁ、その話については追々ね…」

いずれ彼女達も覚醒してあげたいと思っているのです。

「じゃあ、皆仕事を続けてくれるかな…。それからローリー、僕達と一緒に住居棟の案内を頼むよ」

「はいっ!(×全員)」



XX XY



シャルル様とローリーさんという方が先に歩き、私とエリカ、オーリエさんがその後に続きます。
さらに私達の後ろにはデイジーとビオラが付いてきています。

「なんだか皆さんとっても生き生きとしていて魔道具製作所の従業員とは思えないわね…」

それにしても予想以上に大きな魔道具製作所です。
30名ほどいるようでしたがまだ余裕がありそうですね。

「ハァ~、皆さん艶やかで体型も良く女性らしい方ばかりですね~」

それでもやっぱり隣にいるオーリエさんはそれ以上にとても艶やかで綺麗なのです。
それにシャルルの子供を受胎しているなんて羨ましい…。

「エリカさん、最初はそんなことはなかったのよ」

皆さんはまだ覚醒してもらったわけでもないのに本当に艶やかですよね…。

「皆さんがお揃いの作業着を着ているのも素敵ですね…」

私もシャルル様のパートナーの方々が着ておられるメイド服を着てみたいです…。

「デイジー先輩、薄褐色の肌の女性も多いみたいですね」

シャルル様の隣を歩くローリーさんも薄褐色の肌の女性です。
明らかに私より若いのに胸が大きいなんて…。



「まず、こちらが食堂兼リビングになっています。『シャルル魔道具製作所』には住居棟もあって従業員が一緒に暮らしていて、全員で食事をしたり交流できるようになっています。食事は自分達で作りますが食材は自由で食費も無料なのですよ」

「えっ、食費が無料ですって!? シャルル様、本当なのですか?」

「まぁ、栄養には気を付けてもらいたいけれど、食事は元気の源ですからね」

何も言わなくてもお菓子などは自分達のお給金で買っているようです。

「それは分かりますが…あれだけの人数の食事が無料だなんて…」

「マーガレット様、シャルル様の発明品はそれだけの物なのですから…」

「そ…そうね、デイジーの言う通りね…」

国内の全ての“シャルルの風”と“シャルルの渦”の一部をここで生産しているのですから食事くらいは…ね…。



「こちらが従業員の部屋になります…。お恥ずかしいですが私の部屋になります…」

「とても綺麗ですが少し狭いですね…」

「マーガレット様、こちらは個室です。ここでは一人一人に個室が与えられており、私達には十分な大きさなのです」

「従業員それぞれに個室ですって!?」

確かに良く見ればベッドが一つしかありません。

「マーガレット様、ベッドがお屋敷の来客用と同じくらいの物ですよ…。私達のベッドより良いですよ…」

「……」
ビオラがそんな事を言いながら私を見てきますが今は無視です…。

「皆には良く食べてぐっすり眠って欲しいからね。みんなの健康を守るのが僕の仕事だから…」

「シャルル様~」

そのお言葉、皆にも聞かせたいです…。

「シャルル…、ベッドの上に…はだ…裸のシャルルが…」

「あぁ、エリカ、あれは抱き枕って言うんだよ」

「シャルル、私も見た事がないですよ~」

もしかしてクーシアさんが作ったの?
生地にもシャルルカードのようにシャルルの姿がはっきりと描かれているだなんて…。

「これは特別に作った物だからね…」

「そうなのです。10個ある内の一つなんですよ。勝ち取るために苦労しました!」

毎晩、抱き付きながら寝ると気持ちが良いのですよね~。

「ローリー、あれは運だけだから…」

「「シャルル、私も欲しい~っ!」」

「はしたないですよ、エリカ…」

でも、私も欲しいです…。

「残念だけど、当分はダメかな…。お願いされる度に作っていたら希少性が無くなるからね」

景品とはいえ特別なのです。

「「そんなぁ~」」
(……)



その後、2つある浴場『地の湯』と『空の湯』を案内すると、入ってみたいと懇願されたので、見学の後、皆の終業時間までなら使っても良いと答えておきました。

住居棟の説明が終わるとローリーも自分の仕事に戻ってもらい、次は皆の仕事ぶりを見学します。
僕もマイヤやトイカお姉さんに任せっぱなしだから皆の作業をゆっくり見た事が無いんだよね…。
僕達が見て回ると皆が緊張しているのが分かります。

「みんな~、いつも通りで良いからね~」

“シャルルの風”も月産5000個を達成したようですし皆よく頑張ってくれています。
達成したご褒美をどうするかな…。

「そうだミルキー、発明料の方はどうしてくれているかな?」

「は…はい、通常の収支とは別に保管しています」

「さすがだね、ありがとう。通常の収支も問題ないかな? 何か困っていることはない?」

「はい、問題ありません。私達のお給金を除いても増えていく一方ですので…。それよりも私はまた親睦会というものをして欲しいです…」

「ハハハ…。そうだ、年末に王都の魔道具製作所の皆をここへ招待する事になっているからね」

「ほ…本当ですか!? やった~、楽しみです!」

確かミルキーも抱き枕を欲しそうにしていたので手に入るかもと思っているのでしょう。
ミルキーの喜びようを見ると、今は抱き枕は作らないとは言えません…。
(ごめんね、ミルキー…)

「えっ…、シャルル様、ここでは食事と住居が完備されている上にお給金まで貰えるのですか!?」

「もちろん、こんなに一生懸命働いてもらっていますからね…」
「自分のお金がないとしたい事も出来ないし、欲しい物が買えませんからね…」

最初の作業着は用意しましたが、その他の衣類や日用品等は個人の自由なのです。

「シャルル様、お金が貯まる一方ですよ…」

「無駄遣いしろとは言わないけれど、ウテナも将来したい事をする為に貯めておいても損はないよ…」

「誰もシャルル様の下から離れませんよ~。私達はシャルル様の為だけに頑張っているんですから~」

「ハハ…、そう言ってもらえると嬉しいよ」

「……」
シャルル様は冗談でも聞くように笑っておられますが、彼女達の目は全員本気でそう思っているようです。
シャルル様だけを見て、シャルル様の為に一生懸命に働いているのがヒシヒシと感じられます。
なんて素敵な魔道具製作所なのかしら…。
私もマーガレット様のメイドでなければここで働いてみたいとさえ思ってしまいました。

「これは…参りましたね…」

魔道具製作所の規模や従業員の技量がどうこういう問題ではないようです。
皆さんのシャルル様に対する想いが一つになり、最高の発明品が生産されているのですね…。
これはやはり一から魔道具製作所を作った方が良さそうです。



XX XY



「それで、今日はどうだったのですか?」

「うん、とっても驚いていたよ。結局、フリーノース領都でも一から魔道具製作所を作るみたいだよ」

案内から戻って来るとサマンサがそう声を掛けてきます。

「そう…。それでマーガレット様達は…?」

「なんだか魔道具製作所のお風呂が気になるみたいで、お風呂に入ってから宿に戻るそうだよ」

マーガレット様の魔動力車を魔道具製作所へ運んでおきました。

「明日は“シャルル巻き”のお店に案内して欲しいみたい…。僕も行くつもりだったからちょうど良かったよ」

「シャルル、“シャルル巻き”のお店は大きいのですね~。本当に女性でいっぱいでしたよ。それにフランさんの味と変わらなかったです」

「まぁ、フラン直伝だからね。ジェシカ達も楽しんでもらえて良かったよ」

「シャルル様、ネンネさん達はすでにシャルル様のパートナーなのですね」

それにネンネさん達以外の皆さんも覚醒済みで同じメイド服を着ていました。
サラさん達によるとあのシャルル島で一緒に暮らしておられたそうです。

「うん、メイドではないけれど、みんな本当に働き者で素敵な女性なんだよ…」

「「……」」

(カリーナ、あなたは食べて寝ているだけじゃないかしら…)

(ジェシカ様こそ…)

(わ…私は…“ちょこれーと”のお手伝いを…)

(それは私もです。ジェシカ様はそれ以外何も出来ないじゃないですか~。私は一応メイドですからね。シャルル様の望まれる事は出来るつもりです)

(……、うぅ~、私だってぇ~)

「ジェシカ、カリーナ、どうしたの? 急に見つめ合って…」

「「えっ、いや…ちょっと…」」

何か気落ちしている二人ですが、今晩はいよいよ二人にもパートナーになってもらいます。
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