DNAの改修者

kujibiki

文字の大きさ
上 下
333 / 567

第333話 シャルル魔道具製作所

しおりを挟む
エルスタイン領も少し暖かくなってきた頃、今日はルージュ領都へ行くことになっています。

魔動力車の運転席にはトリスお姉ちゃんとキルシッカお姉ちゃんが乗っていて、僕はエリシアとオーリエ、ユナを連れ“転移の祠”に向かっています。

サマンサ様達の休暇が終わってからマイヤお姉さんに何度かルージュ領都へ来てもらっていたのですが、いよいよ今日、魔道具製作所が開業することになっていて、それに先立って運営者の僕が初めてマイヤお姉さんの面接で選ばれた従業員の前に立ち挨拶をするのです。

「いよいよルージュ領都に『シャルル魔道具製作所』が開業するのね」

「慌ただしかったけれどなんとかね…」
「オーリエ達も場所は知っていると思うけれど、どんなふうになっているのかは見てのお楽しみだよ」

そうは言っても特に変化があるわけではありません。
僕達がしたのは元兵士達の宿舎棟だったところを従業員達が住み易くなるように少し綺麗に改修しただけなのです。
さすがにそれぞれの個室に浴場は設けられませんでしたが、大浴場は新しく造ってあります。

後は元兵士達の仕事場だった大部屋などを作業場や製品の保管庫、資材置き場などにしたり、販売所の位置を新たに決めて製作所の出入りに邪魔にならないようにしたぐらいです。



ルージュ領都の“転移の祠”を出てしばらくすると、大きな門扉のある建物に到着しました。
まだ大きな門扉は開けていないので僕達は魔動力車から降り、通用門から中に入っていきます。

「外観や門扉も綺麗に改修されているのですね。前に見た時はかなり古びて見えましたが…」

「木部さえある程度改修すれば見映えも少しは良くなるんだよ」

ユナが言うように古びて見えていた所は改修しています。
さすがに大きな建物なので、製作棟などは従業員が決まった後にマイヤお姉さん管理の下、従業員達に改修してもらっています。

「シャルル、新しい看板も作られているのにどうしてシャルルの名前が入っていないの?」

エリシアが不思議そうに聞いてきました。

「もちろん名前は後から入れるよ。入れてなかったのは運営者が僕だって分からないようにするためだよ」
「魔道具製作に興味のある人に来てもらいたかったからね…」

「そ、そうよね。でもシャルルが運営者だと知ったら従業員も驚くわね~」

「さぁ行くよ。マイヤお姉さんも中で待っていると思うし…」

マイヤお姉さんは従業員を面接して選出した後からルージュ領都に滞在して“シャルルの風”の製作方法について指導を始めてくれています。

前もって聞いたところによると、半分くらいは他都市から来た者で、何人かは魔道具製作の経験者もいるそうでした。



建物の中を進み中央にある中庭に入ると、ズラリと並んだ女性達の背中が見え、奥に設けられた壇上にマイヤお姉さんが立って何かを話しているようでした。

僕が入ってきたことに気付くとマイヤお姉さんが嬉しそうに微笑んでいます。

「皆さん、この魔道具製作所の運営者様がお見えになられました!」

マイヤお姉さんがそう言いながら僕が歩いてくる方向に手を向けると並んでいた女性達が一斉にこちらを見てきます。

「ど…どの方が運営者なの?」
「あの制服って“シャルル巻き”の店員さんの物にそっくりよ…」
「ちょっと男性もいるわ」
「あの男性はどこかで見たような…」

ザワザワ…。

「あの銀髪の女性は…、もしかしてオーリエ様なの!?」
「皆さんとっても艶やかで綺麗~」
「じゃあこの魔道具製作所は領主様が運営者なのかしら…?」
「あの男性、格好いい~」

僕が壇の下に着くまでに色々な声が聞こえてきました。

「では、この魔道具製作所の運営者様から開業の挨拶をしていただきます」

そう言いながらマイヤお姉さんが壇下の僕の方に手を差し伸べられる仕草をされたので、僕はゆっくりと壇上にあがります。

「「「えぇ~っ」」」
「「うそぉ~!」」
「「「男性なの~」」」

ザワザワ…。

壇上にあがり並んでいる女性達を見渡すと全部で30人ほどでした。
男性が運営者だとは思っていなかったのか、皆が口を開けて僕を眺めています。

「み…皆さんこんにちは。僕がこの魔道具製作所を運営するシャルルと言います」

「シャ、シャルルですって!?」
「“シャルルの風”のシャルル…?」
「近くで見ると本当に素敵な男性…です」

ザワザワ…。

「し、静かに!」

マイヤお姉さんがザワついたみんなを静かにしてくれました。

「皆さんは、こちらにいるマイヤお姉さんに選ばれてこの魔道具製作所で働いてもらうことになりました」
「最初は慣れるまで大変かもしれませんが、元気に楽しく魔道具を製作してもらえると嬉しいです」

「はいっ!(×全員)」

「ここにいる皆さんは、すでにここで生産する“シャルルの風”についてマイヤお姉さんから教わっている事でしょう」
「名前の通り、僕が発明した物になります」

「「「す、すご~い!」」」
「あんなに素敵な魔道具を男性が…」

「シャ、シャルル様、質問があります!」

突然並んでいる列の中から手が上がりました。

「な、なに…かな?」

「シャルル様は昨年の『男性選手権』の優勝者であるシャルル様でもあるのですか?」

「……うん、そうだよ」

「「「「キャーッ!」」」」
「「「最高~!」」」
「「格好いい~!」」
「精子…ほしい…(ボソッ)」

『男性選手権』の優勝者と知って歓声を上げる者が多い中、何やら少し聞き覚えのあるような危ない声も聞こえてきます。

「これまで僕の名前を出していなかったのは、従業員を募集する時に僕の名前が出てしまうと魔道具製作に興味の無い者まで集まってくると思ったからなんだ…」

「「「な、なるほど~」」」
「確かにそうよね…」
「「まさかあのシャルル様が運営者だとは…」」
「こんなところでお会い出来るなんて…」

僕の事を知ると皆はウンウンと頷きながら納得してくれているようです。

「では…では、街にある“シャルル巻き”のお店は…?」

「あ~、あれも僕が運営しているんだよ」

「「や…やっぱり~」」
「「「す、すごいです~!」」」

「シャルル様、私、頑張りますっ!」
「「「私も…」」」
「「私だって…」」

「うん、みんな頑張ってね!」

「では今日、ここに『シャルル魔道具製作所』を開業します!」

『ワァ~~~ッ!!』
パチパチパチパチ…。

マイヤお姉さんがそう言って締めくくると、皆が歓声と共に拍手をしてくれるのでした。



XX XY



挨拶が終わると、後はマイヤお姉さんに任せて先にサマンサ様のお屋敷に戻ってきました。
マイヤお姉さんはまだ少し用事があるそうで、終わればこちらに帰ってくるそうです。

「シャルル様、魔道具製作所を開業されたのですよね?」

「うん、今、開業の挨拶をしてきた所だよ。マイヤお姉さんのおかげで思っていたより早く開業できたよ」

僕一人ならこんなに早く開業できなかったでしょう。
自分で魔道具を作って見せることも出来ませんし…。

「やっぱりシャルルは凄いわね~。シャルルが『男性選手権』の優勝者だと分かると皆の目の色が変わったわよ」

「そうだね…」

エリシアの言うとおり僕も変わりように驚きました。

「まぁ、いつかはバレるからね。そのことが皆の作業意欲を上げてくれる一因になってくれるのならそれで良いよ。基本的には魔道具製作に興味がある女性達が集まってくれているわけだし…」

「それにしてもすごい従業員の数でしたね」

「30人ぐらいいたよね…」

ユナの王都でも一ヶ所に纏まった大きな魔道具製作所はほとんど無いみたいなので驚いているようです。

マイヤお姉さんがローマン帝国で月産5000個を目指すように言われているそうだから、こちらでもいずれそうするつもりで人を選んでいるのでしょう。
まだ従業員用の個室も余っているのでこれからも少しずつ増えていくかもしれません。

「そうそう、シャルル様、今晩はこちらにお泊りですか?」
「お部屋の浴場の改修が完了し、シャルル様の岩風呂のように横になって洗って差し上げられるようになりましたよ」

「本当に改修したんだね…」
「今日はこっちに泊まるつもりだよ。でも今晩はマイヤお姉さんと一緒かな…」

しばらくこっちで“シャルルの風”の製作指導をしてもらっていたからね…。

「そうですか、残念です…。次は私の部屋でお願いしますね」

「お母様! 今年に入ってからなんだかお母様達の方がシャルルと一緒にお風呂に入っている事が多いように思いますよ」

「オーリエ、そんなことはありませんよ。ねぇ、シャルル様…」

「そ…そうだよ。この間もフランお姉ちゃん達だったし、こっちに来ていてもサマンサ様と一緒じゃないよ」

「それなら良いのですけれど…」

「明日はマイヤお姉さんを一度ケープノット領都へ送る予定だから、このままみんなを連れて行ってあげるよ」

「ほ…本当ですか? 初めての他領都観光ですね」

「エルスタイン領都以外は初めてです~」

「実は私も初めてなのよねぇ」

オーリエも機嫌が直りましたし、ユナやエリシアも知らない所に行けることで喜んでいるようです。
魔道具製作所も一応開業したし、少しは構ってあげないとね…。



XX XY



「さて、シャルル様はお帰りになられましたが、作業を始める前にもう少し大切な話をしておきます」

(ゴクリ…×全員)

「私にはあなた達を選んだ責任があります。もしこの魔道具製作所に必要ないと思ったら辞めていただきますよ」

シャルル様はルージュ領都ではとても有名なようで、皆が意気軒昂としているのは分かるのですが、こういった注意もしておかなければなりません。

「はいっ!(×全員)」

「あなた達も練習で作った“シャルルの風”を既に使っていると思いますが、それは女性なら誰もが欲しがる発明品だということを理解してください」
「作っても作っても一瞬で完売するのです」

「……、マイヤさん、どうしてそんなことが分かるのですか?」

「……、よ…予想です。あなた達も“シャルルの風”が売っていたら欲しいでしょ?」
「とりあえず、初回販売は一月後とします。まずは1500個を目指しますよ」

「今年中には月産3000個~5000個にしますのでそのつもりで…」

「「「えぇ~~~っ!」」」
「5000個~?(×全員)」

「今は慣れていないからそう思うかもしれませんが、こんなに立派な製作所に十分生産可能な設備をシャルル様に用意していただいたのですよ。住居まで用意されているなんてあなた達が羨ましいぐらいです」

「すでに王都でも発明品として登録されていますが、いつ商人たちが模倣品を作ろうとするか分かりません。気を付けるように…」

ローマン帝国でもドラと言う者が模倣を画策しているようですが、まだそれらしい動きは見えないようです。

「はいっ!(×全員)」

「では、これから全員を6つのチームに分けます」
「これから毎日順番にチームごとに役割を変えながら生産をしていきます」

「6チームに分けた後、リーダーを発表しますが、他にリーダーに向いている者がいれば代わってもらう事もありますので忘れないように…」



「では、ミルキー、セレス、タニア、ローリー、ユッカ、ウテナ、まずはあなた達がリーダーです」

「「「「「「はいっ!」」」」」」

「この魔道具製作所では一般的な魔道具は作りませんから、経験者であるとか、年齢の上下に関係はありませんよ」

中には手先の器用そうな者や頭の回転の早い者もいますし、几帳面な者もいれば愛嬌だけの者もいます。
これからは皆がシャルル様の為に魔道具を製作したいと思ってくれると良いですね…。

「私がいない時は、先ほど指名した6人がこの魔道具製作所の責任者となります」
「何かあれば6人で相談し解決してくださいね」

「「「「「「分かりました!」」」」」」

「では、これから正式に“シャルルの風”の生産に取りかかります」
「最初は慌てず一つ一つ丁寧に、不良品が無いようにしましょう。分かりましたか?」

「はいっ!(×全員)」
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。

大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。 ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。 主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。 マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。 しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。 主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。 これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

かの世界この世界

武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
人生のミス、ちょっとしたミスや、とんでもないミス、でも、人類全体、あるいは、地球的規模で見ると、どうでもいい些細な事。それを修正しようとすると異世界にぶっ飛んで、宇宙的規模で世界をひっくり返すことになるかもしれない。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

力は弱くて魔法も使えないけど応援なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します

水無土豆
ファンタジー
 ──大勇者時代。  誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。  そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。  名はユウト。  人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。  そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。 「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」  そう言った男の名は〝ユウキ〟  この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。 「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。  しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。 「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」  ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。  ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。  ──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。    この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。

処理中です...