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第319話 マイヤの休暇2
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「じゃあマイヤお姉さん、これからバルトリア王国のルージュ領都へ向かうからね」
「は…い…」
昨日はせっかくシャルル様とゆっくり話せて嬉しかったはずなのに、なんだか色々考えてしまって夜もよく眠れませんでした。
シャルル様に頼られているのですから余計なことを考えずに頑張らないと…。
バルトリア王国って遠いのかな…、一体何日掛かるのでしょうか…。
それにバルトリア王国って名称しか知りませんでしたが本当に存在するのですね。
「マイヤお姉さん、なんだか元気がないみたいだね」
「ごめんね。せっかくの休暇なのに…」
「いえ、そんなわけでは…。昨晩少し眠れなかったもので…」
「そう…、そうだルージュ領都に行っている間に僕がマイヤお姉さんの疲れを取ってあげるよ」
「「シャ…シャルル様…!?」」
「シャルル様がですか?」
シャルル様の側にいるメイドの方が驚いた顔をされています。
そ、そんなに驚かれることなのですか…?
「あ、ありがとうございます」
私はとりあえずお礼を言っておくのでした。
「シャルル様、ずいぶん少人数で向かわれるのですね?」
魔動力車の運転席には1人、乗客室には私とシャルル様を含めて4人しか乗ってません。
バルトリア王国がどのあたりにあるか分かりませんが、長旅になるはずだと思うのですが…。
それに皆さんの荷物も少ししかありません。
「そう?」
お母さんがいないときは4人以上で移動しないといけないし、今回はメンテールお姉ちゃんとキルシッカお姉ちゃんの疲れも取ってあげようと思っています。
トリスお姉ちゃんはこの間一緒にお風呂に入ってあげたし…。
「シャルル様、ここって“転移の祠”…」
私達を乗せた魔動力車が、昨日エバーミット様に連れてきていただいたエルスタイン領都の“転移の祠”内に入っていきます。
「さてと、いくよ…【転移】」
シャルル様がそうおっしゃると、昨日感じたあの身体がブレる感覚を再び体験した後、エルスタイン領都のそれとは違う雰囲気の“転移の祠”にいることが分かったのです。
「シャルル様、ここは…?」
「ここはバルトリア王国のルージュ領都の“転移の祠”だよ。色々あって僕も【転移】が出来るようになったんだよ。でも今のところは秘密だからね…」
「は、はい…」
まさか“転移の祠”を使って他国に来られるだなんて…。
それで皆さんの荷物が少なかったのですね。
それにしても男性であるシャルル様が【転移】の魔法を発動されたことに驚きです。
エバーミット様が使っておられた魔力の魔道具も持っておられませんでしたが一体どうやって転移されたのでしょう…。
“転移の祠”を出てしばらくすると大きな門扉のある建物の前に到着しました。
「マイヤお姉さん、この建物を魔道具製作所にするつもりなんだ…」
「せっかくだから少し中を見ておいてもらおうかな…」
「なんて大きなところなの…」
門扉をくぐると大きな中庭になっていて、それを取り囲むように建物が建っています。
シャルル様の考えを伺うと、この場所で生産と販売と従業員の住居を兼ねるという事でした。
「マイヤお姉さんが生産量を増やすためにいくつも場所を増やしているって聞いてね、ここでは出来るだけ一ケ所に纏めようと思ったんだよ」
「す、すごいです…」
魔道具製作所が分散しているのも利点はありますが、私も出来れば魔道具製作所は纏まっている方が良いと思っています。
その方が生産管理し易いですからね。
「マイヤお姉さんにはここに必要な設備などを揃えてもらって、来年早々に従業員の面接もしてもらいたいんだ」
「僕が直接雇うことになるからね」
「それから最初だけでも“シャルルの風”の製作指導を頼めるかな…」
「それではこの魔道具製作所は…?」
「ごめん、言っていなかったね。シャルル魔道具製作所兼販売所かな…」
「そうだったのですか…」
なんだか少しホッとしました。
他国とはいえ誰かの魔道具製作所に任されるのではないのですね。
「分かりました。出来る限りお手伝いさせていただきます」
「ありがとう、マイヤお姉さん」
次に連れて行かれたのは大きなお屋敷で、門の警備をされている方がシャルル様を確認されるとそのまま中に入ることが出来ました。
「マイヤお姉さん、このお屋敷は昨日紹介したオーリエの実家だよ」
「とりあえず、今日はもう外出しないつもりだけど、後でマイヤお姉さんにはもう一つ相談したいことがあるんだ…」
「お帰りなさいませ、シャルル様」
「皆さんようこそおいでくださいました」
「サンディお姉さん、こんにちは」
「サマンサ様にお会いできますか?」
「も、もちろんです。例え寝ておられても用を足しておられてもすぐにご案内します」
「い、いや…、それはさすがに僕が困るから…」
コンコン、コン。
「はい…」
ガチャ…。
「サマンサ様…」
「あら、どうしたのサンディ…」
「シャルル様をお連れしました」
「シャ…シャルル様~!?」
「こんにちは~、サマンサ様」
「ど、ど、どうされたのですか、先日お戻りになられたばかりですのに…」
部屋に入ってこられたシャルル様の隣には見たことも無い女性が立っています。
「まずはお座りになってください」
サマンサ様に長椅子に座るように勧められ、僕とマイヤお姉さんがサマンサ様の向かいに座り、僕の後ろにトリスお姉ちゃん達が立っています。
「サマンサ様、こちらの女性がマイヤお姉さんです」
「あれから偶然エルスタイン領都に来られたので紹介しに伺いました」
「えっ、こちらの女性が皆さんの話に出てきていたマイヤさんなのですか?」
「そうすると…」
「は…初めましてマイヤと申します。シャルル様と縁がありまして“シャルルの風”を製作させていただいています」
「魔道具製作所の相談をする為にこちらに来てもらったんだよ」
「そ、そうでしたか…、あなたが…」
「私もルーシャ様から頂いてから毎日重宝しています。素晴らしい魔道具ですね」
「そんな…、シャルル様の発明があったからこそです。私は形にしたにすぎません」
「とにかくシャルル様が信頼されている方は大歓迎です。どうぞ屋敷ではご自由にお寛ぎ下さい」
「後程部屋の方へ案内させます」
「メンテールお姉ちゃんとキルシッカお姉ちゃんは今日は僕と一緒でいいよ」
「「シャ、シャルル様、嬉しいです」」
「ではシャルル様、私はマイヤさんと同じ部屋でも良いでしょうか?」
「う、うん…、マイヤお姉さんさえ良ければね」
「私は勝手が分からないのでトリスさんと一緒の部屋の方が嬉しいですよ」
「そう、それならトリスに任せるよ…」
「はい!」
「シャルル様は、私は~?」
「サマンサ様はまた今度ね! 今回はマイヤお姉さんの疲れも取ってあげたいから…」
「なっ!? そ、それは…」
「……?」
サマンサ様の驚き方もすごいものでした。
シャルル様が私の疲れを取ってくださるというのはそれほどの事なのでしょうか…。
なんだかそれほど驚かれると、どうやって疲れを取って下さるのか興味が湧いてきます。
XX XY
サマンサ様に紹介された後、私はシャルル様に付いて屋敷内のどこかに向かっています。
「シャルル様どちらへ…」
「厨房だよ。そこでマイヤお姉さんにさっき言っていたもう一つの相談があるんだよ」
「シャルル様、だからキルシッカを連れてこられたのですね」
「……」
私への相談とこちらのキルシッカさんとどういう関係があるのでしょう…?
「お帰りなさいませ、シャルル様」
「こんにちは、ソニアお姉さん」
「こちらはマイヤお姉さんだよ」
僕がそう言うと二人がお互いに挨拶をしています。
「ソニアお姉さん、“ばななん”の飲み物を作るから器具と材料を用意してくれるかな」
「はいっ、ただいま!」
「シャルル様、飲み物ですか…?」
「これからキルシッカお姉ちゃんに飲み物を作ってもらうけれど、この作業をするための魔道具を形にしてもらおうと思っているんだよ」
「それって…、新しい発明品ですか…?」
「まぁ、そういうことになるかな」
「お待たせしました。準備が整いました」
「ありがとう、ソニアお姉さん」
「じゃあトリスとキルシッカお姉ちゃんは準備して…」
「「はい」」
トリスお姉ちゃんが“ばななん”の皮を剥き、凍らせてから容器に入れていき、ミルクやクリームなどの材料も容器に入りました。
「マイヤお姉さん、良く見ていてね」
「キルシッカお姉ちゃん、お願い…」
「はい!」
ガコッ…、ガコッ…、グシュ…、グシュ…。
キルシッカお姉ちゃんが容器の中で渦を巻くように【風刀】を発動させると、“ばななん”が細かくなりながら材料が混ぜられていきます。
容器の中から音がなくなり、滑らかな液体状になったのが分かると完成です。
「どうかな、マイヤお姉さん?」
完成した“ばななん”の飲み物をコップに注ぎ、マイヤお姉さんに差し出します。
ゴク…ゴクッ…。
「お、美味しい~!」
「今はルージュ領都で採れる“ばななん”という果実を使ったけれど、色々な食材を細かく切りながら混ぜられるようにしたいんだよ」
「す、すごいです。こんなこと考えたことも無かったです」
「これはキルシッカお姉ちゃんが一人で【風刀】を発動させながら同時に混ぜているのだけれど少し難しいらしいんだ」
「だから魔道具にする場合は【風刀】と混ぜる機能を分けても良いかなって思っているんだよ」
「そうですね。一つのボタンでキルシッカさんのように二つの要素を同時に調整しながら作用させるのは難しいですね」
「シャルル様のおっしゃるように分けると使用者の好みで調整出来そうです」
「さすがマイヤお姉さん…」
「それから魔法の作用は下からにして、容器は大きさを変えられるように…」
「なるほど…、容器の大きさを目的に合わせて変えられるようにするのですね」
「さすがシャルル様。画期的な発明ですよ」
「今度ケープノット領都に戻ったら試作品を作ってもらえるかな?」
「任せて下さい!」
「は…い…」
昨日はせっかくシャルル様とゆっくり話せて嬉しかったはずなのに、なんだか色々考えてしまって夜もよく眠れませんでした。
シャルル様に頼られているのですから余計なことを考えずに頑張らないと…。
バルトリア王国って遠いのかな…、一体何日掛かるのでしょうか…。
それにバルトリア王国って名称しか知りませんでしたが本当に存在するのですね。
「マイヤお姉さん、なんだか元気がないみたいだね」
「ごめんね。せっかくの休暇なのに…」
「いえ、そんなわけでは…。昨晩少し眠れなかったもので…」
「そう…、そうだルージュ領都に行っている間に僕がマイヤお姉さんの疲れを取ってあげるよ」
「「シャ…シャルル様…!?」」
「シャルル様がですか?」
シャルル様の側にいるメイドの方が驚いた顔をされています。
そ、そんなに驚かれることなのですか…?
「あ、ありがとうございます」
私はとりあえずお礼を言っておくのでした。
「シャルル様、ずいぶん少人数で向かわれるのですね?」
魔動力車の運転席には1人、乗客室には私とシャルル様を含めて4人しか乗ってません。
バルトリア王国がどのあたりにあるか分かりませんが、長旅になるはずだと思うのですが…。
それに皆さんの荷物も少ししかありません。
「そう?」
お母さんがいないときは4人以上で移動しないといけないし、今回はメンテールお姉ちゃんとキルシッカお姉ちゃんの疲れも取ってあげようと思っています。
トリスお姉ちゃんはこの間一緒にお風呂に入ってあげたし…。
「シャルル様、ここって“転移の祠”…」
私達を乗せた魔動力車が、昨日エバーミット様に連れてきていただいたエルスタイン領都の“転移の祠”内に入っていきます。
「さてと、いくよ…【転移】」
シャルル様がそうおっしゃると、昨日感じたあの身体がブレる感覚を再び体験した後、エルスタイン領都のそれとは違う雰囲気の“転移の祠”にいることが分かったのです。
「シャルル様、ここは…?」
「ここはバルトリア王国のルージュ領都の“転移の祠”だよ。色々あって僕も【転移】が出来るようになったんだよ。でも今のところは秘密だからね…」
「は、はい…」
まさか“転移の祠”を使って他国に来られるだなんて…。
それで皆さんの荷物が少なかったのですね。
それにしても男性であるシャルル様が【転移】の魔法を発動されたことに驚きです。
エバーミット様が使っておられた魔力の魔道具も持っておられませんでしたが一体どうやって転移されたのでしょう…。
“転移の祠”を出てしばらくすると大きな門扉のある建物の前に到着しました。
「マイヤお姉さん、この建物を魔道具製作所にするつもりなんだ…」
「せっかくだから少し中を見ておいてもらおうかな…」
「なんて大きなところなの…」
門扉をくぐると大きな中庭になっていて、それを取り囲むように建物が建っています。
シャルル様の考えを伺うと、この場所で生産と販売と従業員の住居を兼ねるという事でした。
「マイヤお姉さんが生産量を増やすためにいくつも場所を増やしているって聞いてね、ここでは出来るだけ一ケ所に纏めようと思ったんだよ」
「す、すごいです…」
魔道具製作所が分散しているのも利点はありますが、私も出来れば魔道具製作所は纏まっている方が良いと思っています。
その方が生産管理し易いですからね。
「マイヤお姉さんにはここに必要な設備などを揃えてもらって、来年早々に従業員の面接もしてもらいたいんだ」
「僕が直接雇うことになるからね」
「それから最初だけでも“シャルルの風”の製作指導を頼めるかな…」
「それではこの魔道具製作所は…?」
「ごめん、言っていなかったね。シャルル魔道具製作所兼販売所かな…」
「そうだったのですか…」
なんだか少しホッとしました。
他国とはいえ誰かの魔道具製作所に任されるのではないのですね。
「分かりました。出来る限りお手伝いさせていただきます」
「ありがとう、マイヤお姉さん」
次に連れて行かれたのは大きなお屋敷で、門の警備をされている方がシャルル様を確認されるとそのまま中に入ることが出来ました。
「マイヤお姉さん、このお屋敷は昨日紹介したオーリエの実家だよ」
「とりあえず、今日はもう外出しないつもりだけど、後でマイヤお姉さんにはもう一つ相談したいことがあるんだ…」
「お帰りなさいませ、シャルル様」
「皆さんようこそおいでくださいました」
「サンディお姉さん、こんにちは」
「サマンサ様にお会いできますか?」
「も、もちろんです。例え寝ておられても用を足しておられてもすぐにご案内します」
「い、いや…、それはさすがに僕が困るから…」
コンコン、コン。
「はい…」
ガチャ…。
「サマンサ様…」
「あら、どうしたのサンディ…」
「シャルル様をお連れしました」
「シャ…シャルル様~!?」
「こんにちは~、サマンサ様」
「ど、ど、どうされたのですか、先日お戻りになられたばかりですのに…」
部屋に入ってこられたシャルル様の隣には見たことも無い女性が立っています。
「まずはお座りになってください」
サマンサ様に長椅子に座るように勧められ、僕とマイヤお姉さんがサマンサ様の向かいに座り、僕の後ろにトリスお姉ちゃん達が立っています。
「サマンサ様、こちらの女性がマイヤお姉さんです」
「あれから偶然エルスタイン領都に来られたので紹介しに伺いました」
「えっ、こちらの女性が皆さんの話に出てきていたマイヤさんなのですか?」
「そうすると…」
「は…初めましてマイヤと申します。シャルル様と縁がありまして“シャルルの風”を製作させていただいています」
「魔道具製作所の相談をする為にこちらに来てもらったんだよ」
「そ、そうでしたか…、あなたが…」
「私もルーシャ様から頂いてから毎日重宝しています。素晴らしい魔道具ですね」
「そんな…、シャルル様の発明があったからこそです。私は形にしたにすぎません」
「とにかくシャルル様が信頼されている方は大歓迎です。どうぞ屋敷ではご自由にお寛ぎ下さい」
「後程部屋の方へ案内させます」
「メンテールお姉ちゃんとキルシッカお姉ちゃんは今日は僕と一緒でいいよ」
「「シャ、シャルル様、嬉しいです」」
「ではシャルル様、私はマイヤさんと同じ部屋でも良いでしょうか?」
「う、うん…、マイヤお姉さんさえ良ければね」
「私は勝手が分からないのでトリスさんと一緒の部屋の方が嬉しいですよ」
「そう、それならトリスに任せるよ…」
「はい!」
「シャルル様は、私は~?」
「サマンサ様はまた今度ね! 今回はマイヤお姉さんの疲れも取ってあげたいから…」
「なっ!? そ、それは…」
「……?」
サマンサ様の驚き方もすごいものでした。
シャルル様が私の疲れを取ってくださるというのはそれほどの事なのでしょうか…。
なんだかそれほど驚かれると、どうやって疲れを取って下さるのか興味が湧いてきます。
XX XY
サマンサ様に紹介された後、私はシャルル様に付いて屋敷内のどこかに向かっています。
「シャルル様どちらへ…」
「厨房だよ。そこでマイヤお姉さんにさっき言っていたもう一つの相談があるんだよ」
「シャルル様、だからキルシッカを連れてこられたのですね」
「……」
私への相談とこちらのキルシッカさんとどういう関係があるのでしょう…?
「お帰りなさいませ、シャルル様」
「こんにちは、ソニアお姉さん」
「こちらはマイヤお姉さんだよ」
僕がそう言うと二人がお互いに挨拶をしています。
「ソニアお姉さん、“ばななん”の飲み物を作るから器具と材料を用意してくれるかな」
「はいっ、ただいま!」
「シャルル様、飲み物ですか…?」
「これからキルシッカお姉ちゃんに飲み物を作ってもらうけれど、この作業をするための魔道具を形にしてもらおうと思っているんだよ」
「それって…、新しい発明品ですか…?」
「まぁ、そういうことになるかな」
「お待たせしました。準備が整いました」
「ありがとう、ソニアお姉さん」
「じゃあトリスとキルシッカお姉ちゃんは準備して…」
「「はい」」
トリスお姉ちゃんが“ばななん”の皮を剥き、凍らせてから容器に入れていき、ミルクやクリームなどの材料も容器に入りました。
「マイヤお姉さん、良く見ていてね」
「キルシッカお姉ちゃん、お願い…」
「はい!」
ガコッ…、ガコッ…、グシュ…、グシュ…。
キルシッカお姉ちゃんが容器の中で渦を巻くように【風刀】を発動させると、“ばななん”が細かくなりながら材料が混ぜられていきます。
容器の中から音がなくなり、滑らかな液体状になったのが分かると完成です。
「どうかな、マイヤお姉さん?」
完成した“ばななん”の飲み物をコップに注ぎ、マイヤお姉さんに差し出します。
ゴク…ゴクッ…。
「お、美味しい~!」
「今はルージュ領都で採れる“ばななん”という果実を使ったけれど、色々な食材を細かく切りながら混ぜられるようにしたいんだよ」
「す、すごいです。こんなこと考えたことも無かったです」
「これはキルシッカお姉ちゃんが一人で【風刀】を発動させながら同時に混ぜているのだけれど少し難しいらしいんだ」
「だから魔道具にする場合は【風刀】と混ぜる機能を分けても良いかなって思っているんだよ」
「そうですね。一つのボタンでキルシッカさんのように二つの要素を同時に調整しながら作用させるのは難しいですね」
「シャルル様のおっしゃるように分けると使用者の好みで調整出来そうです」
「さすがマイヤお姉さん…」
「それから魔法の作用は下からにして、容器は大きさを変えられるように…」
「なるほど…、容器の大きさを目的に合わせて変えられるようにするのですね」
「さすがシャルル様。画期的な発明ですよ」
「今度ケープノット領都に戻ったら試作品を作ってもらえるかな?」
「任せて下さい!」
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