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第299話 一人の女性として
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コンコン、コン。
「は~い」
ガチャ…。
「ルーシャ様、グレイス様をお連れしました」
『グレイス様、お久しぶりですね』
「やはりシエラさんもルーシャ様も一段とお綺麗になられていますね」
『まぁ、それについては後々お分かりになられますよ』
私達は普段顔を合わせているから分からないけれど、たまにお会いする方にはやっぱり違いが分かるのね…。
「……それより、“転移の祠”で偶然シャルル様にお会いしたのですが、本当にルーシャ様は屋敷におられたのですね」
『シャルルに会われたのですか?』
「ええ、何か急いでおられたようで、一言二言お話したらどこかに転移されました」
「ルーシャ様もおられずどうやって転移されているのですか?」
『そうですか…、シャルルと…、話せばとても長いのですが簡単に説明しますと…』
『そ、そうだわ。シエラ、エリシアさんとオーリエさん、ユナさんを呼んで来てくれるかしら…』
「かしこまりました」
シエラはそう告げると執務室から出ていきました。
XX XY
「なるほど、それでシャルル様はお一人で転移が出来るように…」
「それよりもエルスタイン領都からバルトリア王国のルージュ領都と王都へ転移できるようになったというのが一番の驚きですね」
『そうなんです。ルージュ領領主のサマンサ様に教えていただくまで今ある“転移の祠”で他国と行き来でき、魔力さえあれば誰でも知っている“転移の祠”へ【転移】が可能だとは知りませんでしたよ』
『まぁ、他国間となるとシャルルの膨大な魔力があってこそなんですが…』
『オーリエさんも、これからご紹介するバルトリア王国王女のユナさんも形の上ではシャルルのパートナー候補になりました』
「いやはや、本当にすごい縁ですね…」
「それにしてもルーシャ様が楽しそうで羨ましいですよ」
『今年中にルージュ領領主のサマンサ様もバルトリア王国女王のシェリー様もこのエルスタイン領都へ来られることになっています』
『皆さんも私達と同じように“シャルルの奇跡”を体験され、シャルルの為に生きたいと思ってくださる仲間です』
『今度皆さんをご紹介しますので、またバルトリア王国にもシャルルに連れて行ってもらいましょう』
「それは楽しみですね」
『それより、グレイス様が早めにこちらに来られて良かったです。今度の領主会議について打ち合わせをしておきたいのですが…』
「分かっております。私やエリシアの事もありますからね」
シャルル様に早くお会いしたかっただけなのですけれどね…。
『エリシアさんについてはどうされるおつもりですか?』
「このお屋敷で今後ともお世話になっていくのは変わりませんから、今回はっきりとエリシアがシャルル様のパートナー候補になったことは報告しようと考えています」
『やはりそのおつもりでしたか…』
「各領主様から王領の後継者について論議はあるとは思いますが、私が納得していることを示せば問題は大きくはならないでしょう」
(確かに…)
このローマン帝国の女王様であり、王領の領主でもあるグレイス様がそうおっしゃれば、サリー様やシクスエス様も今は何も言えないでしょう。
『でも、問題はグレイス様ですね』
『私も毎年各領主様からの追及をかわしてきましたが、グレイス様までこんなに若返ったようになられると、どう誤魔化せばいいか…』
『追求が激しくなりそうですよ』
「それはもう仕方がないでしょう」
「魔法でも食べ物でもないという事は皆さんもご存知なのでしょう?」
『はい…』
「では、後は成り行きです」
「これまではルーシャ様と身内の方だけだと思われていたのが、私までが若返ったようになったこと、エリシアがシャルル様のパートナー候補になったことで、頭のキレる領主様ならきっと気付かれるはずです」
「シャルル様はまだ“男”になられていないのですか?」
『はい、いつなってもおかしくはないとは思うのですがまだですね』
「そうですか…。私がエリシアのおかげで覚醒できたように、領主様達のお嬢様とシャルル様に縁があればきっと私達と同じようになりますよ」
「シャルル様は大変になられると思いますけどね…」
『フフ…、本当ですね…』
コンコン、コン。
「は~い」
ガチャ…。
「ルーシャ様、皆さんをお連れしました」
「お母様、お久しぶりですね」
「本当ね、エリシアも元気そうで何よりです。それに益々女性らしくなりましたね」
「そうでしょう。シャルルに綺麗にしてもらっていますし、私もシャルルの為に女性器の観察を頑張っていますからね」
まだ、シャルルの男性器を挟むことは出来ませんが十分胸だと分かるように成長してきています。
「私も今晩はシャルル様に観察の成果を見ていただかないと…」
「もう、お母様……」
『グレイス様、オーリエさんはご存知ですよね』
「オーリエさんもしばらく見ないうちに女性らしくなってこられましたね。ルーシャ様から聞きましたが、まさかあなたもシャルル様のパートナー候補の一人になるなんて…」
「お久しぶりです。グレイス様」
「私も度重なる幸運とルーシャ様のおかげでシャルルのパートナー候補の一人になれて嬉しく思います」
「シャルルの為なら何だってしますし、エリシアさんにも負けないつもりです」
「フフ…、とっても良い心掛けです」
「私やルーシャ様はあなた達よりも年上ですから、いずれあなた達よりも先に亡くなります」
「あなた達は私達よりも長い時間をシャルル様と過ごすことになるのです」
「お母様…」
「グレイス様…」
「しかし、今は私も一人の女性として、シャルル様への想いで負けるつもりはありませんよ」
「そして、この身のすべてもシャルル様の為にあるのですから…」
『グレイス様…』
「そしてあなたが…?」
「はい、初めましてグレイス女王様、私はバルトリア王国女王シェリー・バルトリアの娘、ユナ・バルトリアと申します」
「私もシャルルの為ならこの身がある限り支えるつもりです」
「私はシャルルの為に生まれてきたのですから…」
「ユナさんは見かけによらず意思の強そうな方なのですね…」
「エリシアもうかうかしていられませんね」
『それでグレイス様、オーリエさんとユナさんを皆さんに紹介するかどうかなのですが…』
「そうねぇ、難しいところですね…」
「ですが、この際二人ともシャルル様のパートナー候補として紹介しましょう!」
「彼女達の素性は伝えませんが、エリシア以外の者がシャルル様のパートナー候補になりえると分かれば、各領主様もシャルル様を自分の娘のパートナーにとは言いにくいはずです」
『なるほど…、そうですね』
そうなれば確かに後継者についてとやかく言われることはなくなります。
後は、シャルルが“男”になれば私も一人の女性として見守れば良いのですから…。
『分かりました。オーリエさんとユナさんも皆さんに紹介しましょう。皆さんがエルスタイン領都に集まられるのも4年に一度のことですしね』
『大発表会といきましょう!』
『では、オーリエさんもユナさんもそのつもりでね』
「「はい!」」
「さて、私はシャルル様のお側に行こうかしら…」
「ルーシャ様、今晩はシャルル様と一緒にいられるようにしてくださいよ」
『わ、分かりました。明日のグレイス様にお会いするのが楽しみですよ』
「ど、どういうことかしら…?」
XX XY
あれから“ばななんのシャルル巻き”をいただいた後、僕達はすぐにエルスタイン領都に戻ってきました。
エマ達も頑張っているのかとても上手になっていました。
クリスもお店に置いてこようと思ったのですが、どうもネンネさん達と一緒だと揉めそうなので連れて帰ってきています。
ネンネさん達にとってもあのクズの印象が悪いのでどうしても雇われていたクリスも良くは思えないのでしょう。
こればかりは時間とクリス次第です。
屋敷に着くと僕はクリスとメルモアお姉ちゃん達と別れ厨房に向かいます。
「シャルル様、今度は厨房ですか?」
「うん、明日、フランお姉ちゃんにお店の最終指導をしてもらおうと思ってね」
「フランお姉ちゃん…」
「シャルル様~」
「「「キャー、シャルル様よ~」」」
「ごめんね夕食の準備の忙しい時間に…」
いつもは人のいない厨房でほとんど見たこともないメイドのお姉ちゃん達が調理をしていました。
本当に一体どれだけのお姉ちゃんがいるんだろう…。
「こんな場所ですがいつでもいらしてください」
「それで何か御用ですか?」
「うん、2日後にお店を始めることになったんだけど、明日、最終指導をして欲しいんだ」
「特にたくさん作る為の段取りとかね…」
「初日は“シャルル巻き”を70本、560人分にするけれど、その後は100本ぐらいにしたいんだけどね」
「ようやく開店なのですね」
「大丈夫です。一応彼女達全員が作れるように教えましたから、前日からの下準備や段取りさえ分かれば余裕でしょう」
「良かったぁ。じゃあ明日朝から向かうから頼むね」
「はいっ」
「は~い」
ガチャ…。
「ルーシャ様、グレイス様をお連れしました」
『グレイス様、お久しぶりですね』
「やはりシエラさんもルーシャ様も一段とお綺麗になられていますね」
『まぁ、それについては後々お分かりになられますよ』
私達は普段顔を合わせているから分からないけれど、たまにお会いする方にはやっぱり違いが分かるのね…。
「……それより、“転移の祠”で偶然シャルル様にお会いしたのですが、本当にルーシャ様は屋敷におられたのですね」
『シャルルに会われたのですか?』
「ええ、何か急いでおられたようで、一言二言お話したらどこかに転移されました」
「ルーシャ様もおられずどうやって転移されているのですか?」
『そうですか…、シャルルと…、話せばとても長いのですが簡単に説明しますと…』
『そ、そうだわ。シエラ、エリシアさんとオーリエさん、ユナさんを呼んで来てくれるかしら…』
「かしこまりました」
シエラはそう告げると執務室から出ていきました。
XX XY
「なるほど、それでシャルル様はお一人で転移が出来るように…」
「それよりもエルスタイン領都からバルトリア王国のルージュ領都と王都へ転移できるようになったというのが一番の驚きですね」
『そうなんです。ルージュ領領主のサマンサ様に教えていただくまで今ある“転移の祠”で他国と行き来でき、魔力さえあれば誰でも知っている“転移の祠”へ【転移】が可能だとは知りませんでしたよ』
『まぁ、他国間となるとシャルルの膨大な魔力があってこそなんですが…』
『オーリエさんも、これからご紹介するバルトリア王国王女のユナさんも形の上ではシャルルのパートナー候補になりました』
「いやはや、本当にすごい縁ですね…」
「それにしてもルーシャ様が楽しそうで羨ましいですよ」
『今年中にルージュ領領主のサマンサ様もバルトリア王国女王のシェリー様もこのエルスタイン領都へ来られることになっています』
『皆さんも私達と同じように“シャルルの奇跡”を体験され、シャルルの為に生きたいと思ってくださる仲間です』
『今度皆さんをご紹介しますので、またバルトリア王国にもシャルルに連れて行ってもらいましょう』
「それは楽しみですね」
『それより、グレイス様が早めにこちらに来られて良かったです。今度の領主会議について打ち合わせをしておきたいのですが…』
「分かっております。私やエリシアの事もありますからね」
シャルル様に早くお会いしたかっただけなのですけれどね…。
『エリシアさんについてはどうされるおつもりですか?』
「このお屋敷で今後ともお世話になっていくのは変わりませんから、今回はっきりとエリシアがシャルル様のパートナー候補になったことは報告しようと考えています」
『やはりそのおつもりでしたか…』
「各領主様から王領の後継者について論議はあるとは思いますが、私が納得していることを示せば問題は大きくはならないでしょう」
(確かに…)
このローマン帝国の女王様であり、王領の領主でもあるグレイス様がそうおっしゃれば、サリー様やシクスエス様も今は何も言えないでしょう。
『でも、問題はグレイス様ですね』
『私も毎年各領主様からの追及をかわしてきましたが、グレイス様までこんなに若返ったようになられると、どう誤魔化せばいいか…』
『追求が激しくなりそうですよ』
「それはもう仕方がないでしょう」
「魔法でも食べ物でもないという事は皆さんもご存知なのでしょう?」
『はい…』
「では、後は成り行きです」
「これまではルーシャ様と身内の方だけだと思われていたのが、私までが若返ったようになったこと、エリシアがシャルル様のパートナー候補になったことで、頭のキレる領主様ならきっと気付かれるはずです」
「シャルル様はまだ“男”になられていないのですか?」
『はい、いつなってもおかしくはないとは思うのですがまだですね』
「そうですか…。私がエリシアのおかげで覚醒できたように、領主様達のお嬢様とシャルル様に縁があればきっと私達と同じようになりますよ」
「シャルル様は大変になられると思いますけどね…」
『フフ…、本当ですね…』
コンコン、コン。
「は~い」
ガチャ…。
「ルーシャ様、皆さんをお連れしました」
「お母様、お久しぶりですね」
「本当ね、エリシアも元気そうで何よりです。それに益々女性らしくなりましたね」
「そうでしょう。シャルルに綺麗にしてもらっていますし、私もシャルルの為に女性器の観察を頑張っていますからね」
まだ、シャルルの男性器を挟むことは出来ませんが十分胸だと分かるように成長してきています。
「私も今晩はシャルル様に観察の成果を見ていただかないと…」
「もう、お母様……」
『グレイス様、オーリエさんはご存知ですよね』
「オーリエさんもしばらく見ないうちに女性らしくなってこられましたね。ルーシャ様から聞きましたが、まさかあなたもシャルル様のパートナー候補の一人になるなんて…」
「お久しぶりです。グレイス様」
「私も度重なる幸運とルーシャ様のおかげでシャルルのパートナー候補の一人になれて嬉しく思います」
「シャルルの為なら何だってしますし、エリシアさんにも負けないつもりです」
「フフ…、とっても良い心掛けです」
「私やルーシャ様はあなた達よりも年上ですから、いずれあなた達よりも先に亡くなります」
「あなた達は私達よりも長い時間をシャルル様と過ごすことになるのです」
「お母様…」
「グレイス様…」
「しかし、今は私も一人の女性として、シャルル様への想いで負けるつもりはありませんよ」
「そして、この身のすべてもシャルル様の為にあるのですから…」
『グレイス様…』
「そしてあなたが…?」
「はい、初めましてグレイス女王様、私はバルトリア王国女王シェリー・バルトリアの娘、ユナ・バルトリアと申します」
「私もシャルルの為ならこの身がある限り支えるつもりです」
「私はシャルルの為に生まれてきたのですから…」
「ユナさんは見かけによらず意思の強そうな方なのですね…」
「エリシアもうかうかしていられませんね」
『それでグレイス様、オーリエさんとユナさんを皆さんに紹介するかどうかなのですが…』
「そうねぇ、難しいところですね…」
「ですが、この際二人ともシャルル様のパートナー候補として紹介しましょう!」
「彼女達の素性は伝えませんが、エリシア以外の者がシャルル様のパートナー候補になりえると分かれば、各領主様もシャルル様を自分の娘のパートナーにとは言いにくいはずです」
『なるほど…、そうですね』
そうなれば確かに後継者についてとやかく言われることはなくなります。
後は、シャルルが“男”になれば私も一人の女性として見守れば良いのですから…。
『分かりました。オーリエさんとユナさんも皆さんに紹介しましょう。皆さんがエルスタイン領都に集まられるのも4年に一度のことですしね』
『大発表会といきましょう!』
『では、オーリエさんもユナさんもそのつもりでね』
「「はい!」」
「さて、私はシャルル様のお側に行こうかしら…」
「ルーシャ様、今晩はシャルル様と一緒にいられるようにしてくださいよ」
『わ、分かりました。明日のグレイス様にお会いするのが楽しみですよ』
「ど、どういうことかしら…?」
XX XY
あれから“ばななんのシャルル巻き”をいただいた後、僕達はすぐにエルスタイン領都に戻ってきました。
エマ達も頑張っているのかとても上手になっていました。
クリスもお店に置いてこようと思ったのですが、どうもネンネさん達と一緒だと揉めそうなので連れて帰ってきています。
ネンネさん達にとってもあのクズの印象が悪いのでどうしても雇われていたクリスも良くは思えないのでしょう。
こればかりは時間とクリス次第です。
屋敷に着くと僕はクリスとメルモアお姉ちゃん達と別れ厨房に向かいます。
「シャルル様、今度は厨房ですか?」
「うん、明日、フランお姉ちゃんにお店の最終指導をしてもらおうと思ってね」
「フランお姉ちゃん…」
「シャルル様~」
「「「キャー、シャルル様よ~」」」
「ごめんね夕食の準備の忙しい時間に…」
いつもは人のいない厨房でほとんど見たこともないメイドのお姉ちゃん達が調理をしていました。
本当に一体どれだけのお姉ちゃんがいるんだろう…。
「こんな場所ですがいつでもいらしてください」
「それで何か御用ですか?」
「うん、2日後にお店を始めることになったんだけど、明日、最終指導をして欲しいんだ」
「特にたくさん作る為の段取りとかね…」
「初日は“シャルル巻き”を70本、560人分にするけれど、その後は100本ぐらいにしたいんだけどね」
「ようやく開店なのですね」
「大丈夫です。一応彼女達全員が作れるように教えましたから、前日からの下準備や段取りさえ分かれば余裕でしょう」
「良かったぁ。じゃあ明日朝から向かうから頼むね」
「はいっ」
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