DNAの改修者

kujibiki

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第296話 シャルル様に会えた!

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エマ達の引っ越しが済み、皆をエルスタイン領都へ連れてきてクーシアの所で制服を依頼し再びルージュ領都へ送り届けた後、僕達はエルスタイン領都へ戻ってきています。

お店用の制服もお姉ちゃん達のメイド服と同じにしたのでクーシアならすぐに用意してくれるでしょう。

すっかり忘れていましたが、しばらくするとエルスタイン領都で領主会議が行われるのです。
ジェシカやナーナも来るって言ってたよね。

お店もなんとか形になりましたし、後は制服が出来れば準備完了と言いたいところですが、何かもう少し考えておかないといけないような気がします。

サマンサ様に日程を聞いていませんでしたが、出来ればルージュ領都で行われる領主会議までにお店を開店させたいところです。



「シャルル、ルージュ領都の“シャルル巻き”のお店はどうですか?」

「うん、今のところ順調だよ。エマ達も一応“シャルル巻き”を作れるようになったし…」

「オーリエはどうしていたの?」

「私達はユナさんにエルスタイン領都を案内したり、魔法の練習をしたりしていました。今度は食べた分だけ身体を動かすようにしていますよ」

「ハハ…、オーリエはお菓子ばっかり食べないでご飯をちゃんと食べないとね」

「わ、分かっていますよぉ~、もぅ~」

「それで、エリシアやユナはどうしているの?」

「ユナさんはクーシアさんのところだと思います」

「先日エルスタイン領都を案内している時にクーシアさんのお店に連れて行ってあげたのですが、とっても気に入られたみたいで…」

「そう、良かった」
「クーシアももうすぐしたら屋敷に来るからね。服も頼みやすくなると思うよ」

「エリシアさんは今度の領主会議についてルーシャ様と打ち合わせをされているんだと思います」
「各領主のお嬢様がお見えになられるそうなので、ルーシャ様も私達をパートナー候補として発表するかどうか考えておられるのでしょう」

「パートナー候補ねぇ…」

物心ついた時からの記憶だと、男性は好きなだけパートナーを作る事が出来ますが、体質上実際にはパートナーは一人になってしまうようです。

お母さんがことあるごとに僕が“男”になったら決める事だと皆に言っているのはその為でしょう。

僕としてはお姉ちゃん達やオーリエ達もパートナーとして幸せにしてあげたいところですが、僕が“男”にならないことには分からないなぁ…。

「私はシャルルのパートナーになれなくても離れませんからねっ!」

「うん、そう言ってくれると嬉しいよ」

「そこはもう…、ほんとシャルルったら~」
ルーシャ様達は心配ないと言っておられますが、可能なら私だってシャルルと“誕生の儀”をして子供を産みたい…です。

「オーリエ、少し背が伸びて胸も大きくなってきたんじゃない?」と、ちょっとプンプンと怒って見えるオーリエの機嫌をとっておきます。

「やっぱりぃ~! シャルルもそう思う?」

屋敷に戻ってきてから欠かさず女性器の観察をしていると、以前のエリシアさんのように少しずつ胸が大きくなってきたと感じていたのです。

「それで…、シャ、シャルル…。まだ屋敷の岩風呂では一緒に入ってもらったことがないから、一緒に入って欲しいんだけど…」

「そう、そうだったね。うん、いいよ。落ち着いたら入ってあげるよ」

「やったぁ~。ありがとう、シャルル!」

勇気を出して言ってみて良かったわ。
シャルルの役に立てていないから断られるかと思っちゃった…。



「シャ、シャルル様、こちらでしたか…」

「どうしたのヌエットお姉ちゃん?」

「シャルル様にお会いしたいという者が来ております」

「えっ!? 誰? クーシアなら自由に出入りさせてあげてね」

「いえ、クーシアさんでは…。実は王都の“一口かすとら”の店員のようなのです」

「えっ!? あの“一口かすとら”のお姉さんたち? 一体どうしたんだろう…」

「それに、なぜかあの商人の護衛だったメイドまで一緒にいるのです」

「それは想像できない組み合わせだね…」
「うん、良いよ。会うから応接室へ通してくれるかな」

「かしこまりました」

そうかぁ…“一口かすとら”のお姉さん達かぁ…。

「シャルル、私も付いて行って良いかしら…」

「うん、良いよ…」



コンコン、コン。
ガチャ…。

「お待たせ~、お姉さん達…」

「シャ、シャルル様~」
「「本当にシャルル様だぁ~」」
「……」

一度長椅子から立ち上がったお姉さん達を座らせ、僕とオーリエも向かい側の長椅子に腰を掛けます。

ヌエットお姉ちゃんはお茶の用意をすると僕の後ろに控えて立っています。

「それで…お姉さん達、よく僕のいる所が分かったね。って言うか良く来られたね」
「“一口かすとら”のお店はどうしたの?」

「王城で聞き込みしました」
「はい、シャルル様に会いたくて休業してきました」
「……、え~っと、みんなで旅をして知見を広めようと…」

「そ、そうなんだ…」

「こんなに気軽にお会いして下さって感謝します」

「それで、何から聞けばいいか分からないけれど、そちらの女性はどうしてここへ?」

「はい、私はクリスと申します。その節は馬鹿な商人に雇われていた身とはいえ失礼をいたしました」
「私もあの者に嫌気がさし、シャルル様にお会いするために商会を辞め旅に出てきたのです」
「そして“ふとう”の町で彼女たちに偶然出会ってここまで一緒に来ることが出来ました」

「英断ですね。あのクズの側にいても人生の無駄です!」

「ハハ…ハ…」
ヌエットお姉ちゃんもあのクズの事を思い出したのかけっこう辛辣です。

「シャルル様、私達“ふとう”の町でムーランさんに出会って収穫を手伝わせていただいたんです」
「とっても美味しい“ふとう”を食べさせていただきました」

「そうなんだ、ムーランお姉さんに会ったんだ。元気にしていた?」

「はい、毎日一生懸命にシャルル様のために“ふとう”を育てておられます」
「またお会いしたいとおっしゃっていましたよ」

「元気で良かったよ。収穫が終わったら一度ゆっくりさせてあげないとねぇ」
「ヌエットお姉ちゃん、後で手紙を書くからムーランお姉さんに送ってくれるかな」

「はい、分かりました」

「そうだ、紹介がまだだったね。こちらはオーリエ、今はここに住んでいるんだ」

「はじめまして、オーリエ…です。シャルル様のパートナー候補の一人としてお傍においていただいております」

「「「なっ!?」」」

「シャルル様、エリシア様がパートナー候補ではなかったのですか?」

「い、いや…、なぜかパートナー候補がたくさんいるんだよ。オーリエもパートナー候補の一人だって言っていたでしょ」

「そ、そうですか…」
身長も胸も私達より小さいですが、銀髪が眩しいほど艶々で肌も瑞々しくて綺麗な女性です。
それにパートナー候補がたくさんいるって…、さすがシャルル様ですね。

「私達も王都のお店で名乗る機会がなくて失礼しました。私はネンネ、こちらがイリナ、パスチェです」

「そう言えば名前を聞いていなかったね」
「それで、旅をしてきて僕と会えたわけだけど、これからどうする予定だったの?」

「す、すいません。正直なところシャルル様にお会いすることで頭がいっぱいで予定は…」

「私は…私はシャルル様にお仕えさせていただきたいと思っています!」

「「「ク、クリスさん…!?」」」

「シャルル様…」

「分かっているよ、ヌエットお姉ちゃん…」

「クリスお姉さん、僕はまだ“男”にもなっていないし、屋敷のメイドを決める権限は無いよ」
「残念ながらお母さんに認められないと…」

「私はシャルル様にお仕えしたいのです」

「う~ん、そう言われても…。僕には専属のお姉ちゃんの他にも優しくて頼りになるお姉ちゃんがいっぱいいるからねぇ」
「クリスお姉さんは何か得意なことがあるの?」

「そうですね。今までは護衛や情報収集をしていました」

「……、僕には護衛は必要ないからほとんど一緒にいられることはないけれど、もし運送に興味があるなら考えてあげるよ」

「運送…ですか…?」

「シャルル、それって…」

「数日はここにいても良いから考えておいてよ」
「実はまだ計画段階だからどうなるか分からないし、無理にお願いするつもりもないからね」

「「「いいなぁ~」」」
「私達もシャルル様のお力になりたいです!」

「……じゃあ、ネンネお姉さん達は短期間だけちょっとお願いしようかな」

「「「はい! 何でも言ってください」」」

「じゃあ、ヌエットお姉ちゃんはお姉さん達を迎賓館の方に案内してあげて」

「その後、誰かにネンネお姉さん達3人をクーシアの所に連れて行ってもらって、お店の制服を3着追加してきて欲しいんだ」
「クーシアには3着分は急がないと言っておいてね」

「はい! かしこまりました」
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