DNAの改修者

kujibiki

文字の大きさ
上 下
259 / 567

第259話 ルージュ領編10

しおりを挟む
「おはよう、お母さん、お姉ちゃん達…」

「「「「おはようございます。シャルル様…」」」」
『シャルル、おはよう』

「今日はエリシアさんもトリスもいつもより艶々して、なんだかこうスッキリした感じですね」

「そうなんです! 今日はいつもより身体の満足感があるような気がします」

「メンテール先輩もなかなか挑戦者ですね…」

「と言うことはあなた達も…」

「なんですか…? メンテールもトリスもニアニア笑って…」

「シエラ先輩、機嫌を悪くしないでくださいよぉ。次にシャルル様と一緒の部屋になれば分かりますから…」
「今知ってしまっても何も嬉しくありませんから…」

トリスの横でエリシアさんも少し顔を赤くして頷いています。

「そ、そう…、それなら仕方が無いわね」

ルーシャ様のおかげでここに滞在している間に順番も回ってくる可能性もありますし、気になりますが待ちましょう。



迎賓館の食堂で朝食を食べ終わってゆっくりしていると、サマンサ様とオーリエが入ってきました。

「皆さん、おはようございます」
「シャルル~、おはよう」

『おはようございます。サマンサ様』
「おはよう、オーリエ」

「エ、エリシア様…、昨日よりもなんだか艶々されているようですが…」

食堂に座っておられる皆さんを眺めると、エリシア様と一人のメイドの方が一際艶々と輝いているように見えました。

「そ、そうですか? 昨日はゆっくり眠れたからでしょうか…」

エリシアがそう言うとトリスお姉ちゃん達が苦笑いをしています。

「……」
昨日はエリシアさんとトリスさんがシャルルと同じ部屋だったのね…。
羨ましいわ~。
私もまたシャルルと一緒にお風呂に入って寝たいわ。

「お、お母様…」

「そ、そうでした」

「ルーシャ様、シャルル様、昨日は“シャルルの風”をいただきありがとうございます」
「とっても気持ち良くて感動しました。あんなにすばらしい魔道具があるなんて…、ローマン帝国でも人気があるのが分かります」

『それは良かったです』

「うん、サマンサ様にも喜んでもらえて良かったよ」

「ではルーシャ様、後ほどよろしくお願いしますね」

『はい…』



XX XY



コンコン、コン。

「はい…」

ガチャ…。
「サマンサ様、ルーシャ様をお連れしました」

「ありがとう、グリシャ…」

長椅子に座られたルーシャ様は私と対面されるとニッコリとされています。

この方が本当に28歳…。
何度見ても信じられません。

『どうかされましたか?』

「いえ、本当に若々しくていらっしゃるから見蕩れてしまって…」
「正直なところ羨ましいですよ」

グリシャもお茶をテーブルに置きながらルーシャ様を一度見てから少し離れたところに控えました。

『それで、お呼びされた理由はなんでしょうか?』

「まずは改めて、オーリエの長期間の滞在と命を救っていただいたお礼をと思いまして…」

『行動力のあるお嬢様ですね』

「確かに行動力だけはありますね」
「身長や色々なところは年齢に比べて小さくてまだまだ子供ですが…」

『でもそのおかげでオーリエさんはシャルルに出会えたのですから…』

『オーリエさんがお話されたかどうか分かりませんが、最初は領都の外の町で偶然知り合ったそうなのです』
『私の屋敷に最初に訪問されてきた時、再び私の息子としてシャルルに会った時はとても驚かれていましたよ』

『おそらく前もってシャルルと面識が無ければ私は屋敷に滞在を勧めることも無かったでしょう』

「……」

『そして、オーリエさんの命を救えたのもシャルルがいなければ不可能でした』
『息の止まっている者を生き返らせることは魔法でも出来ませんから…』

「そう…ですか…」

改めて聞くと、本当に危険な目にあっていたのだと分かります。
オーリエがシャルル様の為に生きたいと言っているのも良く分かります。

シャルル様がバルトリア王国民なら何が何でもオーリエのパートナーになってもらいたいぐらいです。

「それで…、オーリエがこれからはシャルル様の為に生き、側にいたいと言っているのです」

『……』

「オーリエが自分より大切な男性を見つけたということは母親としてはとても嬉しいことです」
「しかし…」

「オーリエはシャルル様のパートナーになれなくても側にいたいと言っているのですが、やはり他国の女性ではパートナーにはなれないのでしょうか?」

「シャルル様なら“男”になられたら“誕生の儀”2回分の精子が採取できる可能性もあると思いますので、オーリエとの子供をルージュ領都の後継者にいただきたいのです」

『……』
なるほど、サマンサ様はオーリエさんがシャルルの側にいることは認めておられますが、やはり後継者の心配をされているようです。

『サマンサ様のおっしゃることはもっともですね』
『私もローマン帝国内では他の領主様達から後継者をどうするのかとよく言われています』

「男性の寿命は短いですからね…」

『シャルルのパートナーはシャルルが“男”になったら自分で決めると思っています』
『ですから、オーリエさんがシャルルに選ばれるかどうかは私には分かりません』

「……そ、それでは…」

『そこで私からご提案があります』
『サマンサ様が了承してくださるのなら、それらのご懸念を払拭できるかもしれませんよ』

「そんなことが出来るのですか!?」

私が気にしているのは後継者のこと…。
オーリエがシャルル様のパートナーになれなくても、後継者については心配がいらなくなるというのでしょうか…。

『しかし…、その後、サマンサ様の残りの人生は大きく変わってしまうかもしれませんけれど…』

ゴクリ…。




ーグリシャー

ルーシャ様…。
お茶をお出しするときに近くで見ましたが、本当に若々しくてお綺麗な方です。

そしてこの方が私と同い年だなんて…。
5つ、6つ…?
見た目だけでもそれ以上の差があるように感じます。

サンディ達がシエラさん達と比べて悲観するのも分かります。

ルーシャ様一行の女性の方達はとても若々しく、女性らしくて艶々とされているのですから…。

この世界に男性と女性、性別があるのは理解できます。
でもこの胸は一体何のためにあるのでしょうか…。
私達一般の領民にとって子宮は何のためにあるのでしょうか…。

女性として体現されている皆さんを見ると、“誕生の儀”をしない自分は何のために女性として生まれてきたのか分からなくなっていくのです。

サマンサ様が以前に話されていたように、オーリエ様がシャルル様の元へ行かれる代わりに後継者をいただきたいと伝えられました。

なんだかんだ言いつつサマンサ様はオーリエ様を大切に思っておられますからね。
オーリエ様があんなに気に入っておられる男性なのですから望みをかなえてあげたいのでしょう。

あれほどたくましいシャルル様なら本当に“男”になったら“誕生の儀”2回分の精子を採取することも可能かもしれません。

しかし、ルーシャ様のお話を聞いているとなんだか精子について心配がないようにも聞こえます。
そんなことがあるのでしょうか…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。 ※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。 『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

スカートの中を覗きたい騎士団員達

白木 白亜
ファンタジー
超美人で噂の新米騎士、クレナ。 彼女が騎士団に入団すると決まったとき、騎士団には女性用の制服がなく、クレナ専用にわざわざデザインされた。 しかし、それは黒く、短くてしかも横にスリットの入ったタイトスカートで…… そんな中で、いろんな団員が偶然を装ったり連携したりして必死にパンチラを狙う下品な話。 ※この物語はスライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話のスピンオフ的作品となります。 不定期更新です。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...