DNAの改修者

kujibiki

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第228話 オーリエの帰領編5

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「おは…よう…ござい…ます」
「シャルル様…」

「う~ん、もう朝なの~」

「朝ですよ~」と、言いながら優しい手付きで僕の髪をサワサワしてきます。

「あっ…、マドリーンお姉さん…。お姉さんが起こしに来てくれたの?」

「はい、もちろんじゃないですか」

「シャルル様は私の運命の男性なんですから…」

今度は僕の寝ている側に腰をかけ、顔を近づけながら自分の髪を少し持って、それで僕の顔を撫でてきます。
お母さんに頼まれたことでしたが、これだけ嬉しそうな顔をされたら悪い気もしません。



朝食を食べる時も僕の横に座ってニコニコしていました。
お姉ちゃん達もマドリーンお姉さんの変わりように驚いているようです。

『マ、マドリーン、気持ちは分かりますがシャルルにくっ付きすぎですよ』

「だって嬉しいんですもの…」

『……』
リリアンといい、理想の相手が見つかると、こうも変わってしまうのね。
海からの帰りに寄った時はやっぱり覚醒させてあげた方が良いでしょうね。

「ルーシャ様、本当に今日発たれるのですか? もっとゆっくりしていってほしいですよ」

『ちゃんと海からの帰りにもう一度寄りますから…』
『そうそう、マドリーンは魔動力船を持っているの?』

「はい、港に保管しています」

『機会があったら借りてもいいかしら?』

「ええ、どうぞ。もし海で泳がれるなら魔動力船で海岸から少し離れた小さな島に行かれてはどうでしょう」

「小さい島ですが綺麗な砂浜ですよ」
「その島も私の方で管理していますので他の人もいませんから…」

『それは良いわね。ぜひ行ってみるわ』

「シャルル様、帰りに寄られた際は一緒に川遊びに行きましょうよ」
「昨年、とっても面白そうな物が出来たんです」

「男の人と一緒に楽しめたらなぁ~って思っていたんですよぉ」

「へ~、そんな楽しそうな物があるんだ」
「帰りに寄ったら行ってみようかな」

「ぜひ! 私も楽しみにしておきます」



XX XY



『さて、では出発しましょうか』

「「はい」」

今日はトリスお姉ちゃんとキルシッカお姉ちゃんが運転席に座っています。

「マドリーン様はとってもご機嫌でしたね」

『よっぽど昨晩の『運命の硬貨』が嬉しかったのでしょう』

「あれには驚きましたね。まさかシャルルの拾った物がマドリーン様の物だったなんて…」
「私でも運命を感じますよ」

『……、オーリエさん、あれはきっかけにすぎません』
『何よりも大切なものに気付ければ縁は本当に運命になるのですよ』

「……」
ルーシャ様は今も私に大切なものは何かを考えるようにおっしゃっているんですね。

マドリーン様がシャルルの側にいるために都市長を辞めるとおっしゃられたのには驚きましたが、それだけ早く決意できることに羨ましくも感じました。



リコッタを出て、しばらくすると左手に大きな川が見えてきました。

「想像以上に大きな川だね」

「はい、この川が海にまで続いているそうです」

川はかなり高い位置から流れてきているようで、川の流れがとても早いです。

「この川にマドリーンお姉さんの言っていた面白いところがあるんだよね」

「マドリーン様が男の人と行ってみたいとおっしゃっていましたから私も楽しみですよ」

『帰りはリコッタに数日いるつもりですから色々と楽しめそうですね』

「……」
うぅ~、皆さんが楽しそうな話をされています。
ルージュ領に戻ったら二度とシャルルと会えないんじゃないでしょうか。
魔動力車が海に近づくほど気持ちが沈んでいきます。

「オーリエ様、どうかされましたか? 魔動力車酔いですか?」

「大丈夫よ、サンディ…。このままルージュ領に戻っても良いのかなって思っていただけ…」

「皆さん、いつも楽しそうですものねぇ」



XX XY



オーリエ様達はリコッタに一泊されただけで海の方に向かわれましたか…。

都市長の迎賓館に滞在されていたところを見ると、同行者はエルスタイン領主一行のようですね。

まぁ、昨日はたくさんのメイドもいましたし、もしやとは思いましたが…。

ここでエルスタイン領都へ戻られないということは、やはりオーリエ様を海までお送りされるみたいですね。

面倒なことにならないといいのですが…。

さて、私もようやくリコッタから離れられますか…。
でも…、私も最後に“シャルル巻き”を食べてから後を追うことにしましょう。



XX XY



一日、魔動力車を走らせて今晩泊まる町の宿に到着しました。

これまでと同じように僕達は大部屋でオーリエ達は3人部屋です。

夕食をとってお風呂に入ると、今日はお母さんが僕の前をシエラお姉ちゃんが背中を洗ってくれています。

『シャルル、あなた男性器が少し大きくなっているんじゃない?』

男性器を胸で挟んで洗ってくれていたお母さんがそんなことを聞いてきました。

「そうかな? 身体が少しずつ大きくなっているからじゃない?」

『男性器って成長するんでしたっけ?』

「え~っ! 成長しないの?」

そういえば昔、男性用の大浴場で一緒に入った大人の人も、その子供と同じくらいの大きさだったような気がします。
でも、あの頃よりは確かに大きくなっています。

『でも成長する方が良いのよ、きっと…。男性器がもっと大きくなるといいわね』
精巣が大きくなれば精子の採取数も増える可能性はありますよね…。

「え~っ! シャルルの男性器が大きくなったら私の胸で挟むことが出来なくなりますよ~」

隣で身体を洗っていたエリシアが自分の胸を下から揉み上げながら言っています。

『それは残念…、エリシアさんも早く大きくならないとダメですね。フフフ…』

身体を洗ってもらってから最後に皆で湯船に浸かっている時に、なんとなく皆の身体を見ました。
やっぱり今のところはエリオンお姉ちゃんを除いて、みんな疲れや弱っているところはなさそうです。

エリオンお姉ちゃんは胸が大きい為か、肩や下半身が光っています。

お母さん達の話を聞いていると、いずれエリオンお姉ちゃんと2人部屋になる機会があるみたいなので疲れや弱っているところを取ってあげようと思います。



お風呂から上がると、今晩もそのままお母さんとシエラお姉ちゃんが僕の両隣りで寝ることになっています。

「あれ? お母さん、寝る時にパジャマを脱ぐの?」

『シャルルの横で寝る時だけよ。どうせ朝には上ははだけて、下は濡れているのだから…』

「えっ…!?」

『シャ、シャルルは気にしないでいいのよ。私はシャルルの横で寝る時は裸の方が心地よく眠れると思うの』

良く考えれば、王城でも一度グレイス様と一緒に裸で寝たことがありますね。
あの時はシャルルも急にグレイス様の部屋へ連れて行くことになったから、裸で寝ていたんですよね。
気を失っていたとはいえ、裸で寝ていたのは気持ち良かった気がします。
今度シャルルと2人部屋になった時は、シャルルにも裸で寝てもらおうかしら…。

「そうなんだ…」

「あっ…、ルーシャ様、ご自分だけずるいですよ」

『ずるいもなにもシエラも好きなようにすれば良いじゃない…』

「では、私も脱ぎます」と、シエラお姉ちゃんも裸になって挟まれながら寝ることになりました。



翌朝、お母さんとシエラお姉ちゃんがとても気持ち良く眠れたと言っていたので、他のお姉ちゃん達もこれから真似をするかもしれません。

「おはよう、エリオンお姉ちゃん。どうかした?」

「お…おはようございます。シャルル様…」
「ルーシャ様とシエラ先輩がとっても艶々とされていましたので…」

この旅で、先輩達やキルシッカが綺麗になっていくのを目の当たりにすると、シャルル様の隣で寝ると綺麗になるということに疑いの余地はありません。

「エリオンお姉ちゃんもこの旅で機会があるみたいだからその時にね」

「は…はい…」
ルーシャ様達のように裸で寝るのは少し恥ずかしいですが、私も早くシャルル様の隣で寝てみたいです…。
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