DNAの改修者

kujibiki

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第202話 旅から戻れば…

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「ふぅ~」
ようやく自分の部屋に戻ってきたよ…。

部屋の扉を開けた時はお母さんが言っていたように部屋が小さく感じたけれど、やっぱり落ち着きます。

今回は領主会議を終えてからの旅だったから領主会議がずいぶん前に感じます。
領主会議も終わったから、しばらくするとエルスタイン領都も少しずつ寒くなっていくのかな…。

僕が久しぶりに部屋に戻って出入口の側にある白い石を撫でながら「ただいま」と声を掛けると、今回は最初の時のように急に光だし、石の中で光が少し動きながら「待ってたよ~」と、頭の中に聞こえてきました。

(あれ?)
石が光った時に一瞬ですが、以前に“転移の祠”用の魔道具に魔力を補充した時のような感覚になりました。

もしかして石に魔力を吸われている…?

まぁ、僕にとっては魔法が使えないのに魔力があっても仕方がないし、それに微々たる魔力を吸われたところで何ともないのですが…。

本当に不思議な石です。

さて、フランお姉ちゃんに持って帰ってきた“ふとう”を用意してもらってお父さんの部屋に行こうかな。
今回はたくさん人にも出会ったし、いっぱい土産話もあるからね。



XX XY



ガチャ…。

「エリシアさん、どうぞこちらの部屋をお使いください」

「ありがとう、トリスさん」

「王都のエリシアさんの部屋に比べるとかなり小さいのですが、ルーシャ様より王女としてではなく、シャルル様のご友人として応対するように言われておりますので…」

「もちろんそうしていただける方が嬉しいです。それに十分な広さですよ」

「良かったです…」

え~と、エリシアさんの担当は誰にしようかしら…。
ルーシャ様やシエラ先輩に聞いていなかったですね。

エリオンは…、まだ目覚めてもいませんでしたね…。
ヌエットは…、彼女に任せるとエリシアさんがすごく変わってしまいそうです。

キルシッカなら覚醒もしているし、個室だし、同じ風属性だからエリシアさんにとっても良いわね。

「それでは屋敷内の担当はキルシッカという者に任せるつもりです。後でご挨拶に伺わせます」
「彼女もシャルル様によって覚醒していますので、良い相談相手になると思いますよ」

「あ、ありがとうございます」
「そ、それでシャルルの部屋はどの辺りにあるのですか?」

「同じ階ですぐ近くですよ。王女様扱いでしたら迎賓館の方になりますのでかなり遠くなるところでしたね」

「そう、本当に良かったわ」

「そういえば、今、迎賓館の方にはエリシアさんと同じように滞在されているお客様がいらっしゃいますよ。またお会いすることもあるかもしれませんね」

「えっ!? そんな方が…。シャルルの事を想ってですか?」

「それは分かりませんが面白い方達ですよ」

「それで、シャルルは今どこに?」

「おそらくラルク様…、いつも領主会議から戻ってこられたらお父様のところでお話しされていますので、夕食までは部屋にも戻られないと思います」

「そうですか、私も一度ご挨拶をしておかなければなりませんね」



XX XY



「クシュン…」
急にどうしたのかしら…。

そろそろ窓はあまり開けておかない方が良いかもね。
エルスタイン領都も少しずつ寒くなってきているから…。

コンコン、コン。
ガチャ…。

「オ、オーリエ様。シャルル様が戻ってこられたそうですよ」

「ほ、本当ですかサンディ!」

「厨房でフランさん達と話をしていたら、シャルル様が持って帰ってこられたお土産が運び込まれてきました」

「あなた達はまた厨房に行っていたの?」
部外者が厨房に入り浸るって…。

「ローザはいないようだけれど…。二人とも、ちょっと丸くなって来たんじゃない?」

「オーリエ様、そんなことを言ってもいいんですかぁ」
「今、厨房ではさっき運び込まれたお土産で新しい“シャルル巻き”が作られているのですよ」

「な、何ですって~!?」

シャルルの顔も見たいけれど…、見たいけれど…。

「じゃあ、まずは厨房に行きましょう!」



「あっ、オーリエ、久しぶりだね。元気にしていた?」

私達が厨房に入った時にこちらに振り返って見せたシャルルの顔をみて、胸がキュウーっと締め付けられる感じがして、同時にとっても安心しました。

「えっ…、シャ、シャルル~」
「もう、いきなりいなくなっちゃうんだから~」

私は周りの目も気にせず、シャルルに駆け寄り抱き付いてしまいました。

「ごめんね。オーリエ」
「当分は領都にいると思うから…」

「サンディ、オーリエ様ってあんなにかわいい感じの設定だった?(ボソッ)」

「ローザ、設定は作り込んでこそ活きてくるの。恥かしいけれどあれはなのよ(ボソッ)」

「シャルルのお友達のお店にも付いて来てくれる?」

「あ~、クーシアのお店だね。もちろん! 僕も近いうちに行くつもりだから…」

「「……」」



「シャルル様、“ふとうのシャルル巻き”ができました!」

「ありがとう、フランお姉ちゃん。早速みんなで試食してみようか?」

「「はい」」

「オーリエ様、こっちに来て正解でしたね」

「ま、まぁね…」

今、厨房にはフランお姉ちゃんとロッキお姉ちゃん、オーリエ達3人がいます。
今回は“ふとう”を半分に切ってからシャルル巻きに入れてもらっています。

パクリ…。
切り分けられた物を僕が食べると、皆も食べ始めます。

「これも美味しいねぇ。やっぱり香りがすごいよ」

「この“ふとう”はすごい果汁ですね」

「そうなんだよロッキお姉ちゃん。王領では“ふとう”を搾って飲み物にしているんだよ」

「確かに飲み物にしても美味しそうですね」

「シャルル、この“ふとうのシャルル巻き”も美味しいわ~」

「“シャルル巻き”は奥が深い食べ物です」と、ローザお姉さんも頷きながら食べています。

ローザお姉さん達、しばらく見ない間にちょっと太ったんじゃ…。
あまりに美味しそうに食べていたので、太って見えたことは言わないでおきました。

「でも、果汁が多い分“シャルル巻き”にしたらすぐに食べないとダメだね」

「そうですね、少しずつクリームがべチャっとしてきますね」

「さすが、フランお姉ちゃんだね」

フランお姉ちゃんは果実とクリームの絡み方を見てそう言っていました。

「そうそうロッキお姉ちゃん、お母さんから話があるかもしれないけれど、王領の“ふとう”果樹園と提携したから“ふとう”が定期的にエルスタイン領に入ってくると思うよ」

「提携ですか…、それはすごいですね」

「たぶん、王領との領界近くの町かタイロンに運ばれてくると思うから、食材管理担当者がいるなら伝えておいてくれるかな」

「はい、分かりました」

「それから、タイロンでは“きうーい”という果実が採れて、それで作った“きうーいのシャルル巻き”が名物になっているんだよ」
「“きうーい”も美味しい果実だったから送ってもらえそうならお願いね」

「大丈夫です。シャルル様の望まれる物はなんでも揃えてみせます!」

「ありがとう、ロッキお姉ちゃん」

「じゃあ、フランお姉ちゃん、“ふとう”の果実と“シャルル巻き”一切れを用意してくれるかな?」

「はい、ただいま…」

「シャルル、どこかにいくの?」

「うん、これから夕食まではお父さんの部屋に行くから…」

「そう…ですか…」

「また夕食の後でね…」
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