DNAの改修者

kujibiki

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第180話 王領編12

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朝食を終え、いよいよエルスタイン領都へ向けて出発することになりました。

朝食時には皆がお母さんの変貌ぶりに驚いていましたが、先日のシエラお姉ちゃんのこともあってしばらくしたら納得していたようです。

僕にのは疲れと弱っているところだよね…?

グレイス様も一瞬誰だか分からないほど若返ったようになりましたが、泣くほど喜んでもらえたようで良かったです。

「エリシア、何をしているの?」

エリシアが荷物を魔動力車に積み、一緒に乗り込もうとしていました。

「えっ、私はシャルル達とエルスタイン領都に行って、ルーシャ様のお屋敷に滞在させていただくのよ」

「そ、そうなの?」

お姉ちゃん達も驚いた顔をしているので知らなかったようです。

「お母さん…?」

『エリシア様の言うとおりよ。しばらく私のところでお預かりすることになったの…。もしかしたらずっといるかも知れないわよ~』

「ルーシャ様…。シャルル、私もあなたの為に頑張るわ」

「う、うん…」

「ルーシャ様、皆さんも、これからはお世話になるのですから私のことを様付けで呼ばなくてかまいませんから」

お母様はやっぱり見送りに来てくださらないのね…。

「ルーシャ様、昨晩はお母様と用事があったとか…」
「お母様はどうかされたのでしょうか?」

『大丈夫ですよ。また近いうちのエルスタイン領都にも必ず来られますよ』
『さて、出発しましょう』



「それにしてもルーシャ様、どうして一晩でそんなに変わられたのですか?」
「シエラさんもそうでしたが、まるで若返ったようですよ」

僕はメルモアお姉ちゃんとエリシアに挟まれて座っているのですが、二人とも僕に密着してくるので身動きがとれません。

『いずれ分かると思いますが、シャルルのおかげです』

「シャルルの…おかげ?」

『何だか女性として生まれ変わった気がします。シエラもそうだったでしょ?』

「はい、言葉にするのは難しいですが身体の中の悪い物が無くなったようです」

『あっ、それは言えていますね。そんな感じもします』

「もぉ~、お二人の話は意味が分からないですよ…」

「シャルル様…、今朝は部屋におられなかったので、突起部分を縛ってもらえてないです(ボソッ)」

「ごめんね(ボソッ)」

お母さん達が話をしている間にメルモアお姉ちゃんが耳元でそう言ってきましたので僕も小声で謝っておきます。



XX XY



「ヌエット、エリシアさんが付いてきましたね」

「予想外でした。王女様なのに王領から出られるなんて…」

「シャルル様にベッタリですからちょっと心配です」

「そうですね。かまっていただけなくなると寂しいです」

「でも、良いところが一つ…」

「なんですか?」

「エリシアさんは風属性ですよ…」

「あっ、それじゃ…」

「今回【乾燥】を使える者がルーシャ様だけだったのですが、もしかしたらエリシアさんも使えるかも…」

「そうすれば、シャルル様に運転席に座っていただけるってことですね」

「そうよ、ヌエット」
「まだ運転席でシャルル様に弄っていただけるのを知っているのは、私とあなた、ロッキにキルシッカだけよ。キルシッカは知っているけれどまだ弄ってもらっていないと思うわ」
「この間、ロッキなんかシャルル様に弄ってもらって、魔動力車から降りられないほどヨロヨロだったのよ」

「ロッキ先輩も覚醒してからはシャルル様に対して全てをさらけ出しておられますからね…。負けてはいられませんよ」

「……」
「残念だけど水着ではロッキには勝てないわよ」

「そんなにすごい水着だったんですか…。水着を買ったお店って、シャルル様のご友人のお店なんですよね?」

「そうよ。クーシアさんて言うの。あの女の子はとってもすごいのよ。私も今度このメイド服を改良してもらおうと思っているのよ」

「え~っ、改良ですか? ちょっと興味があります」

「そうね、ヌエットには教えてあげるわ。シャルル様は運転中に太ももを触ってくださるでしょ?」

「はい…」

「それでね、直に触ってもらえるようにクーシアさんに改良してもらおうと思っているのよ」

「トリス先輩、それ最高です! それは思いつきませんでした。エルスタイン領都に戻ったらさっそく改良しましょうよ」

「ええ、そうね」



XX XY



休憩を挟み、夕方にはまだ早い時間に宿泊予定の町に入りました。

宿の前に到着すると、トリスお姉ちゃんとヌエットお姉ちゃんがエリシアと何かを話しているのが見えます。

「ルーシャ様、エリシアさんが加わったので部屋割りが難しくなりましたね」

『シエラ…、確か今日はヌエットの順番でしたよね?』

「はい」

『じゃあ、シャルルとヌエットを二人部屋にして私達は大部屋にしましょう。まだ“シャルルの風”も一つですから…』

「ルーシャ様さえ良ければそうしますけれど…」



「シャルル様、ようやく一緒です」

部屋割りを聞いて喜んだヌエットお姉ちゃんが僕の側にやってきました。

「うん、そうみたいだね。ヌエットお姉ちゃんには頑張ってもらっていたからいつも以上に丁寧に洗ってあげるよ」

「ほ、本当ですか、うっれしぃ~!」と、首元に抱き付いてきます。

「トリスさん、ヌエットさんはいつもああなのですか?」

「ええ、ことあるごとにシャルル様に上手に抱きつくのです」

「う、羨ましいですね」

(まぁ、みんな抱き付いているんですけど…ね)

僕たちを側で見ていたトリスお姉ちゃんとエリシアがそんなことを言っていました。



『エリシアさん、この町にはなにか観光が出来る所があるのかしら?』

「この町はカプランド領と比べると規模はとても小さいですが、“ちーす”を作るためにミルクを出す動物を飼っている施設が結構ありますよ」

「エリシアさん、ミルクから“ちーす”ってどれくらいで出来るのですか?」

「半年ぐらいで美味しい“ちーす”が出来るそうですよ」

「ルーシャ様!」

『トリスの言いたいことは分かっているわ』
『ミルクから“ちーす”を作ってくれるところを探さないといけないわね』

「ルーシャ様、大丈夫ですよ。この辺りの施設は“ちーす”を作るためにミルクを出す動物を飼っているのですから…」

『では、部屋に荷物を置いたら久しぶりに“ミルク搾り”に行きましょう!』

「「「「はいっ!」」」」

「シャルル、皆さんはどうしたの? すごい団結力ね」

「たぶん美味しい“ちーす”が作れると思っているんじゃないかなぁ」
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