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第164話 王領編2
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翌朝、僕達が食堂に向かうと先に女王様とエリシア達がテーブルに集まっているのが見えました。
『おはようございます、グレイス様、エリシア様』
「おはようございます。ルーシャ様…、シャルル様」
僕も同じように女王様やエリシアと挨拶を交わします。
「ルーシャ様、なんだか昨日よりも肌が艶やかに見えるのですが…」
『そ、そうですか…』
昨日はお風呂でシャルルを洗えましたし、寝る時も横で眠れたからでしょう。
最近は胸を弄られただけでもすぐに子宮に繋がる穴から透明な液体が出てくるようになりましたから…。
「ルーシャ様、本当にお綺麗ですよ」
『ありがとうございます。エリシア様』
挨拶がすみ朝食を食べ始めると、すぐに女王様から“シャルルの風”について話をされてきました。
「ルーシャ様、あの“シャルルの風”、最高に気持ちの良い魔道具でした」
「あんなに短時間でしっとり、さらさらと乾かせるなんて…」と、自分の髪を触りながら話されています。
「朝に髪の毛を整えるにも本当に重宝しますね」と、エリシアも自分の髪をさらりと撫でながらそう言っていました。
『そう言っていただけて嬉しいです』
「王都に戻り次第、私がすぐに登録させますのでご安心ください」
『ありがとうございます』
「これで、シャルル様のお名前は国中の女性が知ることになるでしょうね」
『後は生産量の問題でしょうか…』
『まずは魔道具製作所のあるケープノット領都で販売される予定ですから商品が手に入るのはかなり先になるかもしれませんね』
「えっ、そんな…」
『昨晩使っていただいた物は登録後にグレイス様がお使いください』
「それは嬉しいのですが…、何とか早く手に入れることは出来ないでしょうか」
「……」
エリシアも自分で使える物が欲しいという顔をしています。
『そうですねぇ。初めの発売が登録期間と生産の為に約1ヶ月後と聞いているので、登録の完了が早く確認出来たら少しぐらいは早目に融通してもらえるかもしれませんね』
「そうですか…、登録が済み次第、使者に連絡を兼ねて交渉させますわ」
『シャルルの了解を得ていると言ってもらえれば大丈夫だと思いますよ』
『勝手に言っちゃっていいかしら、シャルル?』
「うん、領民の方が困らない数なら良いよ」
朝食を済ますと、僕たちは今日の目的地である王領の都市の一つポルカに向かって出発します。
「皆様、私達がご一緒させていただくことで魔動力車内が窮屈になってしまってすいません」
グレイス様が席に座った状態で頭を下げられます。
『グレイス様、頭をお上げ下さい。ポルカまではそんなに遠くありませんから…』
僕は今、メルモアお姉ちゃんと女王様に挟まれ座っています。
一列三人までは座れるのですが、両方から大きな胸が密着してきます。
「お母様、そんなにシャルルに密着したら…」
「それにしても、シャルル君は良い匂いがするわね~」と、胸を僕の顔に押し付けながら僕の方に顔を近づけてこられます。
『グレイス様…』
「お母様!」
エリシアは女王様の向かい側でお母さんの隣に座っていて、女王様のメイドの方達は後ろの予備席兼荷台に座ってもらっています。
エリシアが残念そうな顔をしていますが、僕達が並んで座ってしまうと、片方の席がさらに窮屈になってしまうので仕方がないのです。
『それはそうとグレイス様、がけ崩れのことを伝えておいてもらえましたか?』
「ええ、昨日のうちに町長に伝えておきましたので、すぐにケープノット領側の町へ伝わることでしょう」と、グレイス様が後ろに座っているメイドのお姉さんを見ると、黙ってうなずかれていました。
『グレイス様、今回ケープノット領都での領主会議に参加できませんでしたが、どうされるのですか?』
「そうですね…。来年の領主会議はエルスタイン領都でしたよね?」
『はい、そうですが…』
「では、私達も来年エルスタイン領都で行われる領主会議に参加させていただくことにします」
「お母様…」
『そうですか…。なんだか来年の領主会議は賑やかになりそうですね』
「えっ…?」
『来年は各領主様のお嬢さん達もエルスタイン領都にお越しになる予定なんですよ』
「えっ、皆さんのお嬢さん達が…」
『ケープノット領のメラニーさんはまだ小さいので来られないとは思いますが…、連れて来られるとしたらエバーミット様は来る時にも“転移の祠”を利用されるかもしれませんね』
(なんて幸運なの)
ケープノット領都に行けていたら、エルスタイン領都には行かなかったところでしたわ。
「シャルル、私も必ず行きますからね!」
「うん、楽しみにしておくよ」
その後、お昼に休憩してからポルカまでにはそんなに時間も掛からずに到着しました。
警備の人が女王様を確認すると、慌てて都市長に報告する為に人を向かわせていました。
「ルーシャ様、都市長の執務館へ向かってもらえるかしら。皆さんも今晩は迎賓館にお泊り下さい」
『分かりました。ありがとうございます』
執務館に着くと、息を切らせた女性が3人立って待っていました。
「グ、グレイス様、先日ケープノット領都へ向かわれたところですのにどうされたのですか?」
「それにそちらにいらっしゃる方はエルスタイン領主のルーシャ様ではないですか…」
「ええ、王領からケープノット領に入る山道でがけ崩れに巻き込まれてしまい、山道から落下していた私達を偶然通りかかったルーシャ様に助けていただいたのです」
「そんなことが…、まずは、どうぞお入りください」
応接室に通されると、僕たちはグレイス様達と…、お姉ちゃん達は女王様のメイドのお姉さん達と一緒に分かれて座ります。
「ルーシャ様、ご挨拶が遅れました。このポルカの都市長を任されていますルナと申します」
「この度はグレイス様達を助けていただきありがとうございます」
『ご丁寧にありがとうございます。ちょうどこちらの都市にも立ち寄る予定でしたのでご挨拶できる機会があり良かったです』
「そちらの男の子はもしかして…」
『はい、息子のシャルルです』
「はじめましてルナお姉さん、シャルル・エルスタインです」
「お噂は聞いております。本当にかわいくて、格好いい男の子ですね。シャルル君はいくつなのですか?」
「10歳です」
「10歳ですって!? えっ…、エリシア様よりも少し大きいみたいですし、身体つきが10歳の男の子とは思えませんね」
「ルナ、私達はシャルル様のおかげで助かったのですよ」
「そうよ、シャルルが山道を通っていなかったら私達はたぶん…」
「ですから、ルーシャ様達には今晩は迎賓館にお泊りいただきますのでよろしくお願いしますね」
「はい、グレイス様」
「それから、明日までに魔動力車を一台用意しておいてもらえますか?」
「分かりました。早速準備いたします」
『おはようございます、グレイス様、エリシア様』
「おはようございます。ルーシャ様…、シャルル様」
僕も同じように女王様やエリシアと挨拶を交わします。
「ルーシャ様、なんだか昨日よりも肌が艶やかに見えるのですが…」
『そ、そうですか…』
昨日はお風呂でシャルルを洗えましたし、寝る時も横で眠れたからでしょう。
最近は胸を弄られただけでもすぐに子宮に繋がる穴から透明な液体が出てくるようになりましたから…。
「ルーシャ様、本当にお綺麗ですよ」
『ありがとうございます。エリシア様』
挨拶がすみ朝食を食べ始めると、すぐに女王様から“シャルルの風”について話をされてきました。
「ルーシャ様、あの“シャルルの風”、最高に気持ちの良い魔道具でした」
「あんなに短時間でしっとり、さらさらと乾かせるなんて…」と、自分の髪を触りながら話されています。
「朝に髪の毛を整えるにも本当に重宝しますね」と、エリシアも自分の髪をさらりと撫でながらそう言っていました。
『そう言っていただけて嬉しいです』
「王都に戻り次第、私がすぐに登録させますのでご安心ください」
『ありがとうございます』
「これで、シャルル様のお名前は国中の女性が知ることになるでしょうね」
『後は生産量の問題でしょうか…』
『まずは魔道具製作所のあるケープノット領都で販売される予定ですから商品が手に入るのはかなり先になるかもしれませんね』
「えっ、そんな…」
『昨晩使っていただいた物は登録後にグレイス様がお使いください』
「それは嬉しいのですが…、何とか早く手に入れることは出来ないでしょうか」
「……」
エリシアも自分で使える物が欲しいという顔をしています。
『そうですねぇ。初めの発売が登録期間と生産の為に約1ヶ月後と聞いているので、登録の完了が早く確認出来たら少しぐらいは早目に融通してもらえるかもしれませんね』
「そうですか…、登録が済み次第、使者に連絡を兼ねて交渉させますわ」
『シャルルの了解を得ていると言ってもらえれば大丈夫だと思いますよ』
『勝手に言っちゃっていいかしら、シャルル?』
「うん、領民の方が困らない数なら良いよ」
朝食を済ますと、僕たちは今日の目的地である王領の都市の一つポルカに向かって出発します。
「皆様、私達がご一緒させていただくことで魔動力車内が窮屈になってしまってすいません」
グレイス様が席に座った状態で頭を下げられます。
『グレイス様、頭をお上げ下さい。ポルカまではそんなに遠くありませんから…』
僕は今、メルモアお姉ちゃんと女王様に挟まれ座っています。
一列三人までは座れるのですが、両方から大きな胸が密着してきます。
「お母様、そんなにシャルルに密着したら…」
「それにしても、シャルル君は良い匂いがするわね~」と、胸を僕の顔に押し付けながら僕の方に顔を近づけてこられます。
『グレイス様…』
「お母様!」
エリシアは女王様の向かい側でお母さんの隣に座っていて、女王様のメイドの方達は後ろの予備席兼荷台に座ってもらっています。
エリシアが残念そうな顔をしていますが、僕達が並んで座ってしまうと、片方の席がさらに窮屈になってしまうので仕方がないのです。
『それはそうとグレイス様、がけ崩れのことを伝えておいてもらえましたか?』
「ええ、昨日のうちに町長に伝えておきましたので、すぐにケープノット領側の町へ伝わることでしょう」と、グレイス様が後ろに座っているメイドのお姉さんを見ると、黙ってうなずかれていました。
『グレイス様、今回ケープノット領都での領主会議に参加できませんでしたが、どうされるのですか?』
「そうですね…。来年の領主会議はエルスタイン領都でしたよね?」
『はい、そうですが…』
「では、私達も来年エルスタイン領都で行われる領主会議に参加させていただくことにします」
「お母様…」
『そうですか…。なんだか来年の領主会議は賑やかになりそうですね』
「えっ…?」
『来年は各領主様のお嬢さん達もエルスタイン領都にお越しになる予定なんですよ』
「えっ、皆さんのお嬢さん達が…」
『ケープノット領のメラニーさんはまだ小さいので来られないとは思いますが…、連れて来られるとしたらエバーミット様は来る時にも“転移の祠”を利用されるかもしれませんね』
(なんて幸運なの)
ケープノット領都に行けていたら、エルスタイン領都には行かなかったところでしたわ。
「シャルル、私も必ず行きますからね!」
「うん、楽しみにしておくよ」
その後、お昼に休憩してからポルカまでにはそんなに時間も掛からずに到着しました。
警備の人が女王様を確認すると、慌てて都市長に報告する為に人を向かわせていました。
「ルーシャ様、都市長の執務館へ向かってもらえるかしら。皆さんも今晩は迎賓館にお泊り下さい」
『分かりました。ありがとうございます』
執務館に着くと、息を切らせた女性が3人立って待っていました。
「グ、グレイス様、先日ケープノット領都へ向かわれたところですのにどうされたのですか?」
「それにそちらにいらっしゃる方はエルスタイン領主のルーシャ様ではないですか…」
「ええ、王領からケープノット領に入る山道でがけ崩れに巻き込まれてしまい、山道から落下していた私達を偶然通りかかったルーシャ様に助けていただいたのです」
「そんなことが…、まずは、どうぞお入りください」
応接室に通されると、僕たちはグレイス様達と…、お姉ちゃん達は女王様のメイドのお姉さん達と一緒に分かれて座ります。
「ルーシャ様、ご挨拶が遅れました。このポルカの都市長を任されていますルナと申します」
「この度はグレイス様達を助けていただきありがとうございます」
『ご丁寧にありがとうございます。ちょうどこちらの都市にも立ち寄る予定でしたのでご挨拶できる機会があり良かったです』
「そちらの男の子はもしかして…」
『はい、息子のシャルルです』
「はじめましてルナお姉さん、シャルル・エルスタインです」
「お噂は聞いております。本当にかわいくて、格好いい男の子ですね。シャルル君はいくつなのですか?」
「10歳です」
「10歳ですって!? えっ…、エリシア様よりも少し大きいみたいですし、身体つきが10歳の男の子とは思えませんね」
「ルナ、私達はシャルル様のおかげで助かったのですよ」
「そうよ、シャルルが山道を通っていなかったら私達はたぶん…」
「ですから、ルーシャ様達には今晩は迎賓館にお泊りいただきますのでよろしくお願いしますね」
「はい、グレイス様」
「それから、明日までに魔動力車を一台用意しておいてもらえますか?」
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