DNAの改修者

kujibiki

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第155話 領主会議ーケープノット領編6

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「ルーシャ様、これからどうしましょうか?」
「まだ時間も早いですから、隣の町に向けて出発することも出来ますが…」

『そうね。王都にも立ち寄ることになったから出発しましょう』

「はい、それでは準備を進めておきますね」



その後、僕達は魔動力車で王都に向けて出発しました。

「領都を少し離れるとすぐに山道になるんだね」

「これから向かう町も山に開けた穴をいくつか抜けていった所にあるんですよ」

「そうなんだ、それなら思ったより早く王都に行けそうだね」

「シャルル様、それが…、ケープノット領と王領の領界にあたる山々には穴が開いていなくて、山道を越えていかなければならないんです」

『そうね。昔は領界にも穴があったと聞きますが、大戦時に塞がれたのでしょう』

「昔の人は余計なことをしたものだね」
「そういえば、王都には“転移の祠”は無いの? あれば一瞬で行けたんじゃ…」

『シャルル、残念ながら王都には“転移の祠”が無いのよ。でも以前にシクスエス様がもしかしたら大陸間用の“転移の祠”があるかもとおっしゃっていたわ。それが見つかれば当然国内だって…』

「あるかもって、それは見つかっていないの?」

『そうよ。王領のことだから、もしかしたら山の穴のように壊されてしまっているのかもしれないわね』

「そうかぁ、昔の人達は簡単にオーリエの国へも行けたかもしれないんだね…」

僕達はそんな話をしながらいくつかの山の中を進んでいくのでした。



XX XY



「メンテールさん、最近屋敷の中でシャルル様を見ないのですが…」
それにルーシャ様達も…。

「オーリエ様、戻られていたのですか?」

「はい、先ほど…。紹介していただいたお店は何というかすごいお店ですね。見たことのない形の服ばかりでした」

「そうでしょう。私も始めて連れて行ってもらったときは驚きましたが、今はお気に入りのお店です」

「聞けば、シャルル様と同い年の女の子が形を考えているそうですね」

「ええ、水着もシャルル様に喜んでいただけましたし、本当に良いお店です。シャルル様がお留守の間にクーシアさんに私服でも作ってもらおうかしら…」

「えっ、シャルル様はお留守なんですか?」 

「はい、只今ルーシャ様の領主会議に同行されていて、このエルスタイン領から反対側のケープノット領に行っておられます」

「えぇ~っ、いつの間に…」

「本来は領主会議が行われるのはもう少し先だったのですが、ケープノット領主様のパートナーがお亡くなりになられて、急遽向かわれることになったんです」

「そう…ですか…」

「何かシャルル様に御用でも…?」

「いえ、変わった形の服が多かったので、一緒に見て欲しいなと思ったのです」

「そうでしたか…」
「おそらく後10日ほどでお戻りになると思いますよ」

「分かりました」

「サンディさんとローザさんはご一緒じゃないのですか?」

「こちらに戻ってきてから急いで厨房のフランさん達のところへ向かいました。“あまもい”と言うものについて聞きに行っているのだと思います」

クスッ…。
「そうですか…」

「どうされたのですか?」

「その“あまもい”もシャルル様が考えられたお菓子なんですよ」

「えぇ~っ! あんなにおいしいお菓子まで…」

「シャルル様は本当にすごい方ですから…。今回の領主会議の旅でも面白い土産話を持って帰ってきてくださるかもしれませんよ」

「そうそう、“あまもい”は食べ過ぎると太るとシャルル様もおっしゃっていましたので気をつけてくださいね」

「は、はい…、サンディたちにも伝えておきます」
シャルルがいないと退屈だわ…。
私も厨房に向かうことにします。



XX XY



いくつか山間の集落を抜けて、僕達は町に到着しました。

ケープノット領都に比べれば本当に小さい町ですが、この辺りの集落の為にお店などは充実しているようです。

山々から川もいくつか流れてきていて、山々に囲まれてる圧迫感さえ気にしなければとても住み易そうな町に見えます。

「なんだかすごく活気のある町だねぇ」

「近くの集落もそうでしたが、この辺りは木材と属性石の産地になりますからね」

山を歩くことが多いのか、町を歩いている女性は少し身体つきのしっかりした人が多そうです。



今日泊まる宿に着くと、ケープノット領都と同じように大部屋しか取れませんでした。
しかも今回は部屋に浴槽も無く、女性用の大浴場があるだけです。

宿の人の話によると、この辺りで働くには魔法と体力が必要になり男性がほとんどいないのと、たまたま、明日この町でお祭りが行われるために2人部屋や3人部屋はすべて埋まっているのだそうです。

「まさかこんな宿があるとわ…」

『宿の人の話を聞くと仕方が無いのかもしれませんね。男性がほとんどいないのなら男性用の浴場を設けても仕方がありませんから…』

「しかし、ルーシャ様…」

「僕は全然かまわないよ。お湯が浴びられたらそれでいいから…。部屋だけでも大部屋で良かったんじゃない」
「それよりも明日行われるお祭りって何?」

「え~と、二人一組で参加する鉱石探しだそうです」

「えっ、ナモアイと同じようなことが出来るの?」

「そうみたいですね。参加費は少し高いですが、開始からお昼までに探し出した鉱石の量で勝敗が決まるみたいです。自分達で採った鉱石はもちろん、優勝すると全参加者の参加料の半分が貰えるそうですよ」

「すごいねぇ。お金までもらえるなんて…」

「数年に一度のお祭りみたいなので、それについてはとても幸運ですね」

「へぇ~、楽しみだなぁ。僕も出場してみるよ」

「シャルル様が参加すれば優勝は間違いないですね」

「そうね。たぶんトリスの言う通りだけれど、このお祭りは有名なので採掘の専門家も参加するみたいですよ」

『じゃあ、誰がシャルルのお手伝いをするかだけど…』

「魔法が使えるならやっぱりヌエットお姉ちゃんじゃない?」

「はい…、このお祭りは魔法を使っても良いそうです」

「シャ、シャルル様~、私頑張ります!」

『そ、そうですね…、ヌエットに任せましょう』

「え~っ、シャルル様と一緒に出場したかったですぅ」



その後、一緒にお風呂に入れなかったと不満を言っていたお姉ちゃん達でしたが、“シャルルの風”を使って感動していました。

『シャルル、すごく良いわ。長い髪が早く乾かせますよ』

「シャルル様、毛先まで乾かせてとっても気持ち良いです。これは大発明ですよ」

「それに熱い風で乾かした後に冷たい風を当てると髪がなんだか落ち着きます」

シエラお姉ちゃんとメルモアお姉ちゃんも喜んでいます。

「そう、良かったよ。今は1個しかないけれど、たくさん届けばもう少し便利になるね」

『そうね。10個と言わず30個ぐらいあっても良かったわね』

「これは本当に一瞬で売り切れてしまうでしょうね」

「はい、女性にはなくてはならない物です」

その夜は再びシエラお姉ちゃんとヌエットお姉ちゃんに挟まれて寝るのでした。
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